FSXでは大変有名なPMDGがついにX-Planeの機体を発売しました。その一番機は4発レシプロ機として大ベストセラーとなったDC-6です。
ダグラス社が製造したDC-6は、ジェット機の花形B707、DC-8が登場する前のレシプロ機の時代の花形で、今でも飛んでいる機体があるそうです。タイプは貨物用のAと旅客用のBがあり、旅客用は座席配置が国内線用、国際線用、スリーパーなど何種類かあります。
日本では日本航空が購入して国内線、国際線を飛ばし、昭和39年の東京オリンピックの聖火を輸送したことでも知られています。この機体 City of Tokyo はもともと貨物用でしたが、日本航空が導入を急いで貨物用を旅客用に改造して就航させました。
操縦席はこんな感じです。現代のオール液晶パネルの操縦席とは全く違います。
操縦室の扉もついています。また機関士席はジャンプシート。
さらにその後ろに天測用の窓がついています。写真の上は酸素のバルブです。
操縦室後方にはブレーカーが並びます。
これがオーバーヘッドパネル
これがペデスタル。スロットルは左右2セットついています。左右のスロットルの前の赤いつまみは燃料タンクおよびクロスフィードのスイッチ。左のスロットルのすぐ右側の赤いつまみはスロットルのロック、その右側の白いつまみはプロペラピッチの調整。通常はオートですべてのエンジンをひとつのつまみで調整します。中央の赤い横棒が逆ピッチのバー。その前のオレンジと青いランプ、その後ろの4つの小さなつまみが各エンジンのピッチの調整。
ペデスタルの後ろ側、黄色い大きなレバーがフラップ。一番下げて50度まで下がります。真ん中の赤いレバーがギア。左側の赤いバーがガストロック、すなわち地上で舵とスロットルの動きを止める装置です。その左の赤い小さなバーはパーキングブレーキ、右下の青い4つのレバーはキャブレターの温度の調整、左下の赤い4つのレバーはミクスチャー、その右の赤いレバーはミクスチャーのロック。ミクスチャーのレバーの下に出ている銀色のレバーはオートパイロットのメカニカルオン・オフ。
ギアの上の黒い大きな丸いつまみ周辺がオートパイロット。
ペデスタルの後ろの赤い床は開くようになっていて、燃料投棄を行います。
夜間の照明もきれいです。これはVHF無線機です。NAV1とNAV2。ただし、このソフトではダミーで、別に現代風の無線機がついています。周波数をタテに合わせているのがわかりますでしょうか。
これはCOM1とCOM2。
これは長波と中波の無線機。ダミーです。X-Planeでも天測とか、ロランとか、昔の航法を使えるといいですね。
これも無線の切り替えパネル、ダミーです。もったいない!
そしてジャーン、こんなのが風防の前についています。GNS430は他のX-Plane10の機体でもおなじみで、これがあればどこでも飛べます。
昔から疑問に思っていた、風防の前の水平のこの大きな輪っか。これ、ラダートリムなんですね。右席からも左席からも操作できます。巡航に入るとこれを微妙に左右に動かして滑りを止めるのですね。初めて知りました。
左席正面のパネルです。古典的なT型。
一体どうやって飛ばせばよいのだろうと愕然としてしまいますが(笑)、このソフトにはAIパイロットがいて、多くの操作をAIパイロットがやってくれます。ですからAIパイロットを使うと最初からスムーズに飛ぶことができます。もちろん全部自分で飛ばすことも可能で、本物のマニュアルの抜粋が無料でダウンロードできます。
では今日は、フロリダ州のタンパからキーウエストまでDC-6BでAIパイロットを使って飛んでみます。
旅客の乗り降りは左側後方の扉から行います。
このソフトには各種のメニューがついています。これは燃料、旅客、貨物の量を設定するメニューです。
リアリティーの設定です。キャブレターの凍結も起こります。
エンジンは酷使するとすぐ壊れます。エンジン、プロペラ、オイル、水・アルコール、防氷液、機体の保守メニューです。
機体の状態の設定です。ドアの開閉や地上支援、出発準備の状況を設定できます。今日はコールドアンドダークからのスタートです。そのほかにエンジン始動前、地上走行前の設定があります。また操縦室の照明も一斉にここで設定することができます。
このタンパ空港はX-Plane10のデフォルトの空港です。最近のバージョンアップで次々にこうした3次元空港が誕生しています。
ではAIパイロットを呼び出します。ソフトではAFE、「人工」航空機関士となっています。エンジン始動前の準備です。
GNS430はユーザーが設定します。とりあえずキーウエスト国際空港(KEYW)を設定しておきます。大圏航路で209マイル。
エンジン始動前の準備が終わり、出発です。プッシュバックトラックはダミーで、動きません。今後のバージョンアップで動くようになると思いますが。
昔からあるGround Serviceのプッシュバックトラックを接続しました。
パーキングブレーキをオフ。
プッシュバックが終わり、エンジンスタート。
AIパイロットは最初に始動する3番エンジンのミクスチャーをオートリッチに、マグネトーをBothに、そしてスターターのセレクターを3にして待っています。
3番のミクスチャーがオートリッチになっています。
そこでスターターをオン。スターターはこんなスイッチで、4つのつまみを同時に動かします。
3番エンジンの計器が動き出しました。アナログですから時間が経たないと安定しません。またレシプロエンジンの振動で常に機体と針が揺れています。
続いて4番エンジンのスタート。セレクター、マグネト―、ミクスチャー、スターターは自分で動かします。
そしてすべてのエンジンが始動しました。
セレクターをオフにしておきます。
エンジン計器が安定するのを待ちます。
地上電源を切り離し。
アフタースタートのAIパイロット
AIパイロットがアフタースタートチェック。ガストロックを外します。
QNHを合わせます。
今日のタンパはいい天気です。
誘導路を滑走路へ向かいます。
誘導路の途中で止まってウォームアップです。パーキングブレーキをかけ、マニフォルドの圧力を大気圧と同じ30インチにします。スーパーチャージャーがついていますからメモリは75インチまであります!ただし、赤いラインが53インチのところにあります。グリーンのバンドの上限は49インチ。この制限を超えてマニフォルドの圧力を上げるとオーバーブーストですと画面に警告が出て、それでもスロットルを戻さないとエンジンはほどなく壊れます。
プロペラの回転数を下げます。
回転数をもとに戻します。
個々のプロペラの回転数を動かします。
オートフェザーのチェック。
続いてビフォーテイクオフ
離陸フラップは20度です。AIパイロットが設定してくれます。
フラップ20度。
カウルフラップの調整はAIパイロットがやってくれます。現在はフルオープン。離陸時に3度まで閉めます。
その左側に着陸灯。外部に展開して点灯。
では滑走路に正対しました。
AIパイロットがテイクオフ。離陸にはドライとウエットがあります。ウエットは水とアルコールをエンジンに注ぎます。より高い出力を出すことができます。今日はドライ。
まずマニフォルドの圧力が30インチまで上がります。ここまでがAIパイロットの仕事。ここで4つのエンジンの計器が揃っていることを確かめます。
続いてマニュアルでフルパワーを設定します。離陸は100ノット。
スムースに離陸しました。ちょっと上昇率が高すぎるかも。
上昇率を加減しながら130ノットまで加速します。130ノットを超えるとテイクオフのAIパイロット機能が動き出して上昇推力の設定とプロペラピッチの設定、フラップの格納をやってくれます。
タンパの街を北向きにゆっくり上昇していきます。
連続定格出力が設定されました。南へ向かいます。
続いて上昇推力の設定。すべてAIパイロットがやってくれます。エンジンの設定は高度や温度に合わせてAIパイロットが最適な値にしてくれます。優れものです。
眼下はタンパの街です。
南へ向かいます。
オートパイロットを入れます。GNS430の設定に合わせてヨコ方向の操舵を自動でやってもらいます。縦方向は150ノットで上昇するようにピッチをマニュアルで動かします。
順調に上昇していきます。まだ1550フィート。上昇率550フィート。
上昇率を下げて加速してみます。180ノット。上昇率300フィート。
ゆっくりと上昇していきます。
キーウエスト国際空港への直行ルートを設定します。GNS430のCDIをGPSに、オートパイロットをLocalizerにするとGNS430に設定したコースを飛んでくれます。
シリンダーヘッドの温度は100度。カウルフラップを閉めると温度は上がります。キャブレターの温度はマイナス13度。キャブレターの凍結に気をつけます。燃料の流れ方をよく見ておきます。
そしてこの機体のひとつ面白いのが与圧の調整です。これはAIパイロットはやってくれません。マニュアルに設定の仕方が書いてありますが、ちょっと間違えると上空でいきなり与圧が抜けちゃったりします。左下のメーター。最初18000フィートまで上がる予定でしたので、18000のところにFlightの針があり、7500のところにCabinの針があります。現在の客室高度はその上の高度計で、これはいつも規正値が29.92インチに調整されています。今回は客室=機の高度が7500フィートになるとそれ以上客室高度が上がらないように与圧が働き始めます。そして一番上の差圧計の針が上がりはじめ、右下の客室高度の昇降計の針がゼロになります。今は客室=機の高度が3100フィートですからまだ与圧はかかっておらず、上昇するにつれて外気と同じように気圧が下がっていき、客室高度が上がっていきます。
これが客室の温度計です。実際にはヒーター用のエンジンが搭載されています。このソフトではこのエンジンの運転は自動になっています。
交流、直流の電圧、電流計です。
オーバーヘッドパネルの一番上です。予備用の計器スイッチが並びます。またウエットで離陸するときは左下にある水の噴射ポンプをオンにします。
その手前のオーバーヘッドパネルです。ライト、電源、燃料ポンプ関係が並びます。丸くて赤い押しボタンはフェザーのボタンです。押すとフェザーに、引くとアンフェザーになります。飛行中に押すとそのプロペラはフェザーになって回転が止まり、エンジンが止まります。アンフェザーにすると風の効果でプロペラが回り始めてエンジンが始動します。
燃料タンクは全部で8つついています。これもバルブの動かし方が決まっています。
ヒーター、防氷関係です。ヒーター用のエンジンはこのソフトでは自動運転です。左側の赤いスイッチはエンジンの消火器です。二酸化炭素をボトルから放出して消化します。
防氷装置の設定があります。
油圧の圧力計は右席脇にあります。フラップ、車輪、地上走行、ブレーキなどを動かします。なお、空気ブレーキもついています。B727にもついていてものすごく効くのに驚きましたが、この機のマニュアルで空気ブレーキのところを読むと、あれは弁を開いて閉じ、開いて閉じしてブレーキ圧を調整しながら使うのだそうです。そうしないとタイヤがロックしてしまうそうです。
NAV1の入力はGNS430で行います。
もうすぐ5000フィート。
ここでマイアミ空港上空に寄ってからキーウエスト国際空港に行くようにルートを変えます。
マイアミに向かいます。
さてもうすぐ7500フィートです。与圧が働き始めました。昇降計がゼロになり、差圧計が動き始めています。
今日は予定を変えて11500フィートで巡航に移ります。
AIパイロットが巡航の設定をしてくれます。
エンジンのマニフォルド圧力は37インチ、プロペラは2050回転。ミクスチャーは最初からオートリッチで、自動的に調整してくれます。
シリンダーヘッドの温度はグリーンのバンドに入っています。
外気温はマイナス8度。油圧の圧力、温度は正常。キャブレターの温度はマイナス28度。
燃料の圧力も正常です。
BMEP(正味平均有効圧力)は150です。スロットルをアイドルにすると60です。この数字が大きいほどトルク(プロペラ軸を回す力)が大きくなります。
もうすぐフロリダ半島の東側に出ます。速度は190ノット。
もうすぐマイアミです。
巡航中、カウルフラップは閉じています。
マイアミ市内上空です。
ここからマニュアルで方位を決めます。キーウエストに向けて南下します。
マイアミ国際空港の真上です。
この黒い大きなつまみを左右に動かして機体を左右に傾け、針路を変えます。
左右に傾けた後、黒いつまみのすぐ上にある丸い銀色の板をクリックするとつまみが中央に戻ります。
ここからキーウエストまで長い半島が続きます。
PMDGの機体は客室内部に入ることができません。しかし外から見ると客席が見えます。
エンジンを前から見たところです。エンジンの排気口からは青白い炎が出ています。
操縦席には3人のパイロットがいます。
前から見たところです。なかなか壮観です。ダグラスは機体が丈夫だといいます。
キーウエストに向けて飛んでいきます。
巡航高度を変えたので客室高度も変わりました。現在3000フィート。
キーウエストへは島伝いに長い道路がつけられています。
途中に空港があります。昔、昔、サブロジック社のフライトシミュレーターで遊んでいたころ、マイアミからキーウエストまで小型機でよく飛んでいました。
(つづく)