期末テストの結果を回収し、その点数を眺めながら我々講師が考えるのは、主に2つです。
ひとつは、高得点や前回からの伸長など、褒められるポイントはないか、という視点。
もうひとつはその逆で、苦手が芽生える良くない兆候や伸び悩みはないか、という視点です。
単純に点数のみだけでなく、学校の平均点や塾内での立ち位置も考慮しますし、
テスト勉強期間の取り組みの多寡や、取り組みの素早さやバランスなど、
様々な面から生徒一人ひとりについて現状の評価と今後の予測を行っていきます。
そのときに、まず第一に考えるのはいかに褒めるか、あるいは「承認」するかです。
人間の欲求における「承認欲求」は、動物的ないわゆる三大欲求に勝るとも劣らないほど大きく、
ゆえに、行動に対する承認は、子供のモチベーションを維持したり伸ばしたりするのに必須です。
ご家庭でもこの点に留意していただければ、お子様の「やる気」が見違えるほどになるはずです。
つまりは、とにかくいいところを探して褒めよう、というわけです。
人間は食事等の根源的欲求だけでなく、成功体験や知的活動、社会的承認(褒められる)ことでも、
快感物質のドーパミンを分泌します。
特定の行動を行ったときにこのドーパミンが分泌されると、それが条件付け促進する「報酬系」として作用します。
(その、ドーパミンの伝達回路を報酬回路と呼びます)
この報酬回路における刺激には、勉強・練習・訓練といった、習慣化することで感じる間接的な快感も含みます。
報酬回路は、繰り返し刺激が発生することで発達していき、再びその刺激を得たいという欲求に繋がります。
これを学習活動においてシンプルに並べてみますと、
勉強する(あるいはテストなどの結果が出る)
↓
褒められる
↓
ドーパミンの分泌(うれしい・気持ちいい)
↓
もっと褒められたい
↓
もっと勉強する
↓
更に褒められる
(以下繰り返し)
という回路が生まれるのです。
ですので、教室ではもちろんのことですが、ご家庭でも少しでも褒めるポイントがあれば、
あるいは、なんとしてでも、少しでも褒めるポイントを見つけ出して、
勉強後やテスト後に「全力で褒める」ということを習慣化してほしいのです。
今日、とある中学生の生徒が前回よりも20点伸びたテストの報告をしてくれました。
スゴイじゃない、頑張ったね!直前までしっかり粘って取り組んだかいがあったねぇ!
平均点もきっちり超えたんでしょ?頑張ったね!
と言った感じで褒めました。
そこからご家庭での様子を聞いてみると、
本人曰く、「前よりは良くなったんじゃない?」と言われた~と言っていましたが、
保護者様は褒めているつもりかも知れませんが、おそらく本人はそうは感じていない様子でした。
もっと大げさに行きましょう!あるいは、物足りなく感じてもその感情は抑えて、褒めるべきところをしっかり褒めましょう!
そうすれば、(教室が油断しないように誘導しますので)次回はもっと頑張るのです!
今回の生徒も、「次また20点伸ばせるんじゃない?」と間違った部分の分析も交えつつ煽ってみたら、
「え~」などと言いつつも満更でもない様子でした。さらに成長するチャンスが生徒自身の中に生まれています。
繰り返しになりますが、「褒める」の意識をあたまの中心に置き、大げさなくらいに褒めましょう。
小学生は早めに褒めまくることで、長期のモチベーションになりうる「好きな教科」が生まれますし、
中学生は定期テストなどで具体的な点数目標や細かい行動が改善されます。
また、高校生も体は大きくなりましたが、まだまだ子供。褒めて伸びる場面がほとんどです。
しっかり褒めて、次への意欲を引き出してから、徐々に先の展望や行動項目を浸透させていきましょう。
「やる気が出ていない」と嘆く前に、自身の行動をポジティブにすることがオススメです。
大塚