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日本は官僚政治から脱皮できるか 天下国家を語る 池田信夫氏

2011-07-29 10:03:36 | 学ぶ
 毎日新聞によれば、経産省はきのう、古賀茂明氏(大臣官房付)に退職を打診したそうだ。
その3日前にBLOGOSでインタビューしたばかりだが、彼も言っていたように、政府の方針を官僚が批判することは珍しくない。
公務員制度改革についても、いろいろな怪文書がばらまかれた。むしろ彼のように実名で批判するほうがフェアである。

 ただ所属する官庁の政策を公務員が批判することに問題があることも事実で、「批判するのはいいが、辞めてからしろ」という同僚からの批判も強い。
古賀氏もずっと居座るつもりはなく、職が見つかれば辞めるつもりのようだが、問題は行き先がないことだ。
こういう場合、アメリカなら野党系の政策シンクタンクがあり、そういう政策の競争が政権交代のエネルギーになっているのだが、日本には政策によって政権を競うしくみがないため、政策シンクタンクが育たない。

 これはよくいわれるように、霞ヶ関がシンクタンクとしての役割を果たしてきたからで、かつてはそれでよかった。
先進国に追いつくという目的がはっきりしていたので、自民党政権が何も決めなくても、官僚が欧米のお手本をコピーすることで政策が決まっていた。

 そういう状態が半世紀以上続いたため、政治家が政策立案能力を失い、行政機関が立法機能をもつようになってしまった。

 この状況で政権だけ交代しても、実質的な政策立案機能は官僚機構にあるので、「政治主導」は空回りしてしまう。
本来は局長級以上を政治任用にするとか、首相直轄の「国家戦略スタッフ」を置いて民間からも起用するとか、官僚内閣制といわれる統治機構を変える必要がある。
 それがまさに古賀氏の手がけた公務員制度改革だった。

 しかしこれは官僚が政策立案機能を手放す改革なので、強い抵抗にあう。
それを押し切って政治主導を進めるはずの仙谷行政刷新相(当時)が財務省の圧力に屈したために、古賀氏はハシゴをはずされてしまったのだ。

 これは彼も『日本中枢の崩壊』で書いているように、オール霞ヶ関を敵に回せない民主党としてはやむをえない選択だったかもしれない。
細川政権のときも、連立与党は大蔵省に頼ろうとして自滅した。

 政権担当能力のない民主党にも問題はあるが、これは基本的には政権交代がほとんどなかった日本の民主主義が成熟していないためだろう。
選挙のときはバラマキ福祉を約束すれば票は取れるが、それは政権についたら破綻してしまう。
 本当に実行可能な整合性のある政策を掲げないと政権を失う、という教訓を民主党が学べば、もう少し政策に金をかけるようになるだろう。

 それと同時に重要なのは、官僚機構の中の改革派が「脱藩」して政権のアドバイザーになる受け皿だ。
かつては民主党も自前のシンクタンクをつくろうとして「プラトン」という勉強会を開いていたのだが、小沢代表のときつぶしてしまった。

 これは「政権を取ったら霞ヶ関を使えばいい」という小沢氏の持論によるものだが、大きな間違いだった。官僚機構が実質的な立法機能をもっている日本では、むしろ霞ヶ関の政権交代が必要なのだ。

 ただ政策シンクタンクがやっていく上で最大の障害は、資金である。
アメリカでは、大富豪が自分の政治的信念を実現するためにシンクタンクを設立するケースが多いが、日本ではそういうしくみが成り立ちにくい。
先日のNPO法改正と税制改正で少しは条件はよくなるが、基本的には寄付という慣習がないことが原因だろう。

 この問題を克服するには、日銭の稼げるシンクタンクを工夫するしかない。
政策がここまでボロボロになっている現状では、それはかなり重要なsocial entrepreneurshipだと思う。

 官僚政治を改革しない限り新たなる日本の姿は完成しない。
政治屋・小沢は、すでに亡霊であり日本の異物である。 目覚めよ国民。
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