漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

【漫文・おもしろ古事記】大国主神

2018年01月13日 | ものがたり
【漫文・おもしろ古事記】大国主神

■ 『稲羽の素兎』

スサノオ六世の子孫、
オオクニヌシの尊(みこと)には多くの兄神がありましてね、

その兄らが雑談してる時、

「稲羽と云うのはいい国らしいよ、
 おまけにそこのヤガミ姫と云うのは美人らしいぜ」と云う話になった。

「じゃぁ、ナニかい、
 その ヤガミ姫とやら云う美人をゲットしたら、

 一緒に稲羽の国も付いてくると云うわけかい」

そこで兄神ら 口々に、
「そりゃ、いいや、嫁取りに行こう行こう」と衆議一決、

打ち揃い、稲羽 目指して旅に出た。

オオクニヌシも行こうとしたが、
一番年下のことですからね、従者なみに扱われ、

兄らの荷物を持たされる羽目に。

やがて一行が気多と云う処へ差しかかると、
そのあたりの浜に赤裸にむかれた兎が伏せってうめいている。

チラリとそれ見た兄神のひとりが、
兎に、

「今、そなたがするべきは、
 まず海水で肌を洗い、強い陽ざしと潮風にあたることだな」と教える。

兎がよろこんで、
その通りにすると、

むき出しの赤肌を潮水に漬け、
強い陽ざしを当てたんだからタマラナイ、

肌が乾いてヒビが入り、
そこへ塩分が沁みて、痛いのなんの、

地獄の苦しみに転げ回った。

そこへ通りかかったのが大荷物 担いだオオクニヌシの命、

兎みて哀れに思われ、
「何ゆえに泣き伏すぞ」と問えば、

兎こたえて申すは、

「我、沖ノ島に住みて、
 この地に渡らんと欲すれど、海を渡る術なし。

 ゆえに海のフカをあざむきて、

 『君ら一族と我ら一族の多寡を数えその優劣を比べん

  依って一族を呼び集め、
  この島より向いの浜まで、背を連ねるべし、

  我、その上を踏みて数えん』と言えば、

 フカ騙されて海を埋めるに、
 我 その上を踏み数を読み渡り来て、
 
 今まさに浜の地に降りんとする時、
 
 『ヤ~イ、きさまたちはオレにダマされたんだぞ』と叫べば、
 端にいたフカ、我に噛みつき皮をはぎたり。

 これにより、浜に伏せて泣きたれば、
 先ほど通りし八十神ら、

 『潮を浴び陽に当たれ』と教えき、
 ゆえにその如くに成せば、わが身痛みてなき伏せリ」と言う。

オオクニヌシそれを聞き、

「そりゃダメだ」とひと言。

「今すぐ川へ行き、真水で体を洗ったら、

 そのあたりに生えるガマの花を集め、
 撒きひろげてその上に寝ころべば、その肌、必ず治るよ」と教えれば、

兎、その身、元の如くの白うさぎとなりたり。

うさぎ涙を流して言うは、

「兄神らがヤガミ姫を得ること成らじ、
 袋を負いた姿と云えども貴方さまこそが姫を賜ること確かなり」と申しき。

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ナンダ、その話ならよく知ってるよ、って思うでしょ、
この話は童話としても有名だからネ、

でもさ、この話の続きも、中々オモシロいんだヨ。




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