
-------”麦わらの一味”とフランキー一家サイド------------
エニエス・ロビー本島中央部を突ッ走る「ソドム」と「ゴモラ」は、自分達の言葉を理解し、人間達に伝えてくれるチョッパーの存在が嬉しくて、今までの思いの丈を存分に話していた。
海王類に食われて胃袋の中で死にかけていたところを、海王類を食っていたフランキー一家に助けられた事。
フランキーのアニキが大好きで、命の恩人フランキーに忠誠を誓ったこと。
長鼻が乗っていないけど、大丈夫なのかと言う事。
ここで”麦わらの一味”は、「そげキング」を置いてきてしまった事に気づく。
心配するナミにゾロが言う。
「あいつはあいつで何とかやるさ。おれ達は一つ島を超える度、知らず知らず力をあげている。
”あいつ”も、行く島々で毎度死線を超えてきたんだ。ちょっとやそっとで死ぬようなタマはウチにゃいねェよ!!」
ゾロは、ウソップを信じていたし、まだ仲間だと思っているのだ。
だが海兵、衛兵達も、ただ手をこまねいて見ているわけではない。
司法の塔まであと一息という所で、巨大な目標物である「ソドム」に、戦艦用砲弾の爆撃を命中させた。

爆撃はソドムの胸筋を砕き、ソドムは悲痛な叫び声をあげて止まった。
普通ならそのまま倒れこむのだが、ソドムは全身を硬直させてブルブルガクガクと踏ん張っていた。
自分の背にいる小さな人間達が、無事にゴモラに乗り移るまでは、倒れるわけにはいかないと踏ん張った。
フランキー一家は叫んだ。
「ソドムはもうダメだ!!!倒れる前に早く乗り移れ!!!お前達が前へ進まなくて誰が報われるんだ!!!!」

誰が倒れても前へ進め、とは言われていたが・・・躊躇する”麦わら”の4人にソドムが最後の力で「バヒン!!!」と鳴いた。
チョッパーが涙ながらに言葉を伝える。「『行け』って!!!」
4人が「ゴモラ」に乗り移ったのを確認すると、「ソドム」は力尽きて倒れ込んだ。
「ゴモラ」はコクンと頷くと、大きくいななきながら全速力で前へ前へと走り出した。

兄弟であるゴモラは、家族であるフランキー一家は、胸筋を破壊されたキングブルがどうなるのかはわかっていた。
それでも「ソドム」をそこに残して、先へ進んだ。
覚悟は出来ている。誰がどれだけ倒れても、"麦わら達"を先へ送り届けるんだと。
"麦わらの一味"は、この惨状から目を逸らさなかった。
何があっても、この"思い"を自分達が引き継がねばならないのだから。
ゴモラが、ソドムを倒した砲撃をかいくぐって前へ前へと進んでいた時、ゴモラの背でナミの小電電虫にココロさんからの指令か入った。
「裁判所」から「司法の塔」へと続く道はない。
「司法の塔」へ渡るには、「裁判所」の左右両脇にある塔の上階に左右1つずつレバーがあり、それを引くと裁判所から「司法の塔」ヘ行く跳ね橋がかかる仕組みになっていて、それが唯一の通路となるのだと言う。
それから、視力のいいチムニーが、「裁判所の屋上」でルフィが暴れているとの報告もあった。
これで目的地は決まった。
"麦わらの一味"は裁判所の屋上でルフィと合流、フランキー一家は左右二手に分かれて"跳ね橋"を下ろすこと!!!
「頼むぞゴモラ!!!裁判所まで!!!」と言ったその時だった。
11人の何者が振り回す巨大な鉄球が「ゴモラ」の体にめり込み、ゴモラは壁に激突して倒れた。
それは、裁判長が『法番隊』の次に出してきた切り札、『公正なる11人の陪審員』であった。

海軍の衛兵達は、海賊の乗るキングブルを2体とも仕留めて、足止めに成功したことで歓喜に沸いた。
しかも場所はエニエス・ロビー中央部「裁判所」前である。
「ゴモラ」は、あっとい間にぞくぞくと集まってきた数千単位の衛兵達に取り囲まれた。

仕方がない、「ゴモラ」を降りて「裁判所」まで突っ切ろうと下りかけた時、チョッパーが叫んだ。
「誰も下りるな!!!『しっかり捕まってろ!!!』ってゴモラが言ってる!!!」

ゴモラは、荒い息でゆっくりと苦しげに起き上がった。
怪物の復活に、衛兵達はゴモラめがけて一斉に銃や迫撃砲を撃ちこむ。
ゴモラは、立ち上がったが網膜をやられて視力を失っており、ボロボロの体で周囲の建物に激突を繰り返しつつ、無茶苦茶に前に突き進んだ。
気が狂ったかのように、何度もいななきを響かせて、前へ前へと突き進んだ。
「もう無理だ!!」とゴモラを止めようとするフランキー一家に、チョッパーがゴモラの「言葉」を伝えた。
「ソドムと約束したんだって・・・!後のことは俺に任せろって!!俺がお前の分もみんなを乗せて走るから、って・・・!!!!」
ゴモラが見えない目で見ていたのは、かつてのフランキー一家だった。
フランキーに海王類の腹から助け出してもらい、非常食として連れて帰って貰ったあの日の出会い、
自分達が海王類にやられたなら、フランキーは自分の事のように怒り、仇を討ってくれたこと、
いつも家族の一員だと愛してくれていたこと。
彼らがいたから毎日が楽しかった。
兄弟の意志を引き継ぎ、仲間達を守り、フランキーを取り返す・・・「ゴモラ」はそれだけの為に走っていた。
ゴモラの突き進む先には、「裁判所」の建物があった。
だが目の見えないゴモラは止まらない、このままではゴモラは激突して死んでしまう!!!
ゾロが言う。 「行き止まり?そんなもん見えるか?」
サンジは「いやぁ、どこにも見あたらねェな」と答えると、二人は同時に飛び出し、ゴモラの進行方向にそびえる建物を破壊した。

ゴモラは、建物内に入ったところで力つきたが、そこは約束の「裁判所」だった。
目を閉じて横たわるゴモラの口元には、かすかに笑みがこぼれていた。

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