日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

東北縦断花見の旅 2021番外編 - 鎌蔵

2021-05-02 21:02:49 | 居酒屋
大黒寿司へ行った時点で、一八寿しは見送ったに等しいものがありました。ただし無下には捨てがたいものがありました。というのも、一八寿しが今夜の宿から至近なのです。大黒寿司を出て戻ると、袖看板の明かりはなおもついており、寿司だけでもと俄に悪魔が囁きました。しかし、仮に寿司だけいただくとしても、間髪入れずに飛び込む余力はありません。部屋に戻って一息入れ、それでもまだ開いているなら入るつもりで出直すと、無情にも明かりは既に消えていたという顛末です。しかし、青森に泊まる貴重な機会を、一軒限りで切り上げるのはいかにも惜しいものがあります。まだ入れる店を探した結果、行き着いたのは「鎌蔵」です。
「要請」の対象からは外れても、このご時世に遅くまでお客が入るとは思えません。まだ九時前にもかかわらず、一帯には店の明かりもほとんど見当たりませんでした。そのような中、心当たりがある中で唯一明かりを灯していたのが、「酒場放浪記」で見た当店です。ただし、見た記憶だけはあったものの、どのような店だったかについては記憶があやふやでした。有り体にいえば、是非行ってみたいとまでは思わなかったということで、玉石混淆様々なあの番組にはありがちなことともいえます。しかし、歳を追えば追うほどあの番組でいうところの「地元密着型」の店へと傾倒しつつあります。開いている店すらほとんどない状況で、手がかりもなく探しても、この店を超えるところに出会える保証はありません。意を決して暖簾をくぐると、ここの店主が曲者でした。威勢のよさを例えるなら、今はなき京都の名店「伏見」の女将を彷彿させるものがあります。品書きが一応あるにはあるものの、実態としては店主の勧めに従うのがここでの作法と見受けられました。先客に倣い、根曲がり竹と鰺をいただき辞去するという顛末です。

鎌蔵
青森市安方1-11-9
017-723-4696
1700PM-100AM
不定休

喜久泉

真鯵
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東北縦断花見の旅 2021番外編 - 大黒寿司

2021-05-02 19:30:38 | 居酒屋
明るいうちから呑むとすれば、大黒寿司と一八寿しを昼と夜にそれぞれ訪ねるつもりでした。しかしその前提が崩れたことで、どちらを優先するかという問題が浮上してきました。二軒欲張るつもりなら、看板が早い順に行くのは当然で、九時閉店の一八寿しが先となります。その一方で、大黒寿司を後回しにしがたい事情もありました。飲食店への無理無体が公然と罷り通る中、どこへ行くにも現状を確かめるのが必須です。青森についても調べてみたところ、直近から市内の一部地域に限って「要請」が発動されているようでした。念のため大黒寿司に問い合わせると、平常通りとの返答ではあったものの、早仕舞いの可能性を示唆するような発言もありました。ならばどちらを先にしようと五十歩百歩です。こうして腹は決まりました。
二兎追う者は一兎を得ずと割り切ったのは、やはり昨秋の借りを返したかったという事情によるところが大です。それに加えて、いわゆる居酒屋使いができるという点では、当店が一八寿しに勝るという事情もあります。ただし、長年通ったことにより、居酒屋と似て非なる部分もあると気付いてきました。端的にいうなら、蕎麦屋で呑むのに近いものがあるとでもいえばよいでしょうか。お通しともう一品で二合飲み干し、最後に寿司をいただく程度がちょうどよく、それ以上の長居は野暮に感じます。しかし、そのつもりで寿司を摘んでいたところ、粋な計らいがありました。女将から差し入れられたのは酒を満たしたぐい呑みです。日頃の愛顧に感謝してとのことでした。ありがたく飲み干したのはもちろんです。

大黒寿司
青森市新町1-2-6
017-722-6480
1100AM-2200PM
祝日除く火曜定休

竜飛
田酒
豊盃
お通し(帆立)
特上にぎり
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東北縦断花見の旅 2021番外編 - 埋め合わせ

2021-05-02 19:19:42 | 東北
油川から海岸沿いに走っていくと青森市街に至ります。再開後の二日をかけて弘前との間を行き来するにとどまり、出発からの走行距離は1550kmとなりました。
弘前を出た時点で五時が迫っていました。さらに一泊していきたくなる時間帯です。しかしさすがにきりがありません。それよりも、青森に一泊していきたい事情がありました。県下では弘前を専ら贔屓にしてしまい、青森には汽車旅の帰りに寄るのがせいぜいです。ところが、長年恒例行事としてきた汽車旅は、物騒なご時世の煽りを食って頓挫しました。その埋め合わせをしたかったのが真相です。
もう一つの背景として天候がありました。どのみち雨なら見切りをつけ、早いうちから一杯やるのもよいでしょう。その前提で考えると、寿司屋で呑める青森は弘前よりもお誂え向きだったのです。しかし、結果としては短い間ながらも晴れ、あちらを出るのが夕方に延びたことにより、投宿が七時を回ってしまいました。持ち時間が限られるため、何はさておき行ってきます。
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東北縦断花見の旅 2021番外編 - 油川温泉

2021-05-02 18:46:01 | 温泉
国道7号線に入るや眩しい西日が射してきました。いつの間にやら上空が晴れていたのです。低い空には依然として分厚い雲が立ち込めており、岩木山は裾野を残して雲の中です。弘前を後にするとき、いつまでも見送るように佇んでいる岩木山が視界に入ると、津軽への名残惜しさがなおさら募ってきます。その再現はならない代わりに、夕日がこちらを見送っているかのようでした。そのまま下って峠を越えるという経過です。本日も投宿の前に一風呂浴びていきます。立ち寄るのは油川温泉です。
弘前方面から向かう場合、昨日走った県道に7号線から分岐して野木和公園を素通りし、海岸までそのまま走った地点にあります。昨日訪ねた喜龍温泉を、銭湯風と評しましたが、こちらは油川の市街にある紛うかたなき銭湯です。国道の旧道沿いに佇む看板建築は一見すると安普請ながら、木製の下駄箱を含めかなりの年代物でしょう。磨りガラスの引き戸を潜るとまず前室があり、左右に分かれた入口から脱衣場に入るという玄関の造りは、岩見沢の五月湯を彷彿とさせる一方で、突き当たりの壁際に浴槽を置いた造りは関東風です。ただし天井は蒲鉾型で、脱衣場と浴場の要所に細かいタイルが使われるなど、小洒落た設えが印象に残ります。コンビーフの缶詰を丸い盆に乗せ、そのまま裏返したような形の番台が独特です。
仕切り壁から滝のように流れ落ちる源泉は平凡ながら、銭湯の真髄はお湯よりも雰囲気、あるいは生活臭を味わうことにあるというのが持論です。雰囲気に関する限り、道中で訪ねたどの温泉にも引けを取らない一軒でした。

★油川温泉
青森市油川大浜102
017-788-3008
1300PM-2100PM(日曜 1200PM- )
入浴料400円
泉質 単純温泉(低張性弱アルカリ性低温泉)
泉温 25.2度
pH 8.34
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東北縦断花見の旅 2021番外編 - 城北公園

2021-05-02 16:58:32 | 東北
今夜の宿を手配して、弘前を後にするのは確定的となりましたが、その前にもう一ヶ所だけ寄り道です。城北公園を訪ねます。
全国各地に点在する交通公園の一種で、園内には模擬の信号、標識、踏切があります。その片隅に鎮座するD51の保存機がこちらの目当てです。当地ゆかりの892号機で、屋外展示にもかかわらず黒光りするほどよい状態を保っています。しかし、通年にわたりこの状態では、開放式の運転台に雪にが吹き込むのは明らかです。シートに覆われ冬を越し、再び日の目を見たのはつい最近のことでしょうか。動輪まで真っ黒に塗装されているのが唯一惜しまれるところではありますが、大切にされているようなのは幸いです。
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東北縦断花見の旅 2021番外編 - 餞

2021-05-02 15:54:58 | 東北
無料で車を止められる一時間以内で退散するはずが、二時間半を費やしました。短い間とはいえ晴れ、思った以上に楽しめたということでもあります。日が射した時間をつなぎ合わせても、20分あったかどうか分かりません。しかし、元々の予報を思えば上出来でした。あの青空を餞に、弘前を後にせよという思し召しかもしれません。感謝を胸に、次なる目的地へ向かいます。
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東北縦断花見の旅 2021番外編 - 露店

2021-05-02 13:42:10 | B級グルメ
弘前における今季の戦績を、空前絶後の完勝と度々評してきましたが、全てが噛み合うなどということは当然ながらありません。田沢食堂に二度寄ることはできたものの、再開後は月に一度の土日連休に重なりました。代わりとなりうる店の候補の筆頭といえば来々軒ですが、入りづらいのは相変わらずです。禅林広場を出た後で通りがかると、店先では三人組が順番待ちをしていました。その様子を見て素通りし、弘前公園を訪ねて現在に至ります。このまま昼を抜くことも考えていたところではありますが、ふと妙案が浮かびました。露店でお昼を調達するというものです。
花見に露店はつきものですが、自身ほとんど世話になることはありません。その理由として大きいのは、一つだけでは物足りず、だからといって二つも三つも買ったとすれば高くつくという半端さです。たとえていうなら、MOSで飲み食いするのに近いといってもよいでしょう。今回も、露店で買い食いするつもりは元々ありませんでした。しかしよくよく考えると、どこへ行っても自粛自粛と叫ばれる中、道中で露店を見たのは米沢の上杉神社だけでした。露店で買い食いすること自体、このご時世にあっては貴重な贅沢なのです。ならば一度はよかろうと思い直しました。
露店の数こそほとんど変わっていないものの、何もかも例年通りというわけにもいきません。非常時に対応すべく採られたのは、酒を売らず、飲食できる場所も限るというものでした。飲食できる区画といっても、ゴザを敷いての宴会までは許されず、テントの下にテーブルを置き、それを拝借しつつ立ち食いできるというだけではありますが、あらゆることを「自粛」の二文字で排除する動きが目に余る昨今、はるかに前向き、かつ合理的な対応といってよいでしょう。
利用してみて分かったのは、テーブルとテントを設置するだけでなく、見張り役が常駐して、テーブルが空くとその都度消毒していることです。常駐するということは、お客がいるかどうかによらず常にいることを意味します。昨晩も、雨の中でテントを守る見張り役の御仁を見かけました。非常時に見物客を受け入れるための配慮の周到さに、かねて感服していたところではありますが、改めて感謝したいものです。
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東北縦断花見の旅 2021番外編 - 雨上がり

2021-05-02 13:33:49 | 東北
前夜から降っていた雨が予報通りに止みました。再び弘前公園を訪ね、追手門から市民広場、二の丸を経て四の丸に着いたところです。
一時は終日雨の予報も出ていた中、昼までに止んでくれただけでも上出来でした。しかし、園内を歩いていくと次第に薄日が射し始め、青空も所々に見えてきました。ついに日が射した瞬間を捉え、雨上がりの青空を背にした八重紅枝垂と八重桜を写し止めるという経過です。その後再び曇ったものの、所々に青空が広がっている空模様だけは変わりません。見切りをつける必要はまだなさそうです。
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東北縦断花見の旅 2021番外編 - 加藤酒店

2021-05-02 12:23:56 | 酒屋
去年の初冬、北海道からの帰りに津軽を訪ねたとき、花見で再訪できるかどうかは全く見通せませんでした。幸いこうして再訪できたわけなのですが、その間に起きた変化があります。禅林広場へ向かう途中に酒屋ができていたのです。それも、一目見て閃くものを感じさせる店構えでした。先週は素通りするほかなかったものの、弘前を出るに先立ちようやく訪ねることができます。続いて立ち寄るのは加藤酒店です。
弘前城の方から向かって行った場合、田沢食堂の先で右折し、鉤状に二回曲がった先にあります。禅林広場へ行き来する都度通ってきたにもかかわらず、全く記憶にないということは、半年足らずの間に新築されたということです。よくよく考えると、すぐ近くに酒屋は一軒ありました。ただし、あの酒屋が移転によってこうも一変したとは考えにくいものがあります。
そのように思わせるほど、とにかく立派な店舗です。縦書きの扁額を七枚並べた外観もさることながら、店内にも風合いのよい木材が奢られます。今の自分にとっては猫に小判ながらも、奥には角打ちのカウンターまであるようです。飲食業がこうも槍玉に挙げられると、酒販業とて無関係ではいられないでしょう。そのような中、あえて立派な店舗を新築した気概は頼もしいばかりです。志ある酒販店がまた一つ現れたことを喜びたいものだと思います。

★加藤酒店
弘前市西茂森1-2-1
0172-32-9346
900AM-1830PM
水曜定休
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東北縦断花見の旅 2021番外編 - 長勝寺

2021-05-02 11:33:38 | 東北
性懲りもなく禅林広場に戻りました。ただし、この空模様で岩木山の眺望など期待すべくもありません。目当ては長勝寺の境内のカスミザクラです。ソメイヨシノが散ってから咲く一本桜の名木を、明るいうちに今一度眺めようという算段でした。あいにくの雨といえども、由緒正しきお堂に重なる一本桜は絵になります。
ちなみに現在の気温は7.5度、暑がりの自分も半袖ではさすがに厳しく、こちらに着いたところで長袖に着替えました。長袖の出番は会津若松以来ですが、あれはあくまで夜に限ったことでした。会津と津軽の気候の違いを改めて感じます。
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東北縦断花見の旅 2021番外編 - 酒の柳田

2021-05-02 10:10:19 | 酒屋
南東北編では何度も酒屋に寄りましたが、弘前に着いてからというもの来る日も来る日も慌ただしく、それどころではありませんでした。しかしあいにくの雨となったことにより、ようやく余裕ができました。立ち寄ったのは酒の柳田、手に取ったのは「はすや」で呑んだ当店特注の「豊盃」です。

★酒の柳田
弘前市親方町32-1
0172-32-1721
1000AM-1800PM(日祝日 -1700PM)
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東北縦断花見の旅 2021番外編 - スマイルホテル弘前

2021-05-02 09:14:51 | 東北
弘前の宿は二重に痛手を被ったかもしれません。物騒なご時世により宿泊客が激減しているのに加え、連休前に早々と桜も散ってしまったからです。五連休の初日の宿を難なく手配できたのも、手放しでは歓迎できなくなってきます。昨晩世話になったのは弘前国際ホテルです。
観桜期を除いて考えると、弘前の定宿は当館か弘前東栄ホテルです。当館には帰京の前に泊まったことを考えると、昨晩はあちらにしたいところでしたが、そこまで虫のよい話はさすがにありませんでした。その結果として当館に舞い戻ってきたわけなのですが、結果としてはこれでよかったともいえます。というのも、早朝に発った前回は、当館自慢の朝食を見送らざるを得なかったのが些細な心残りでした。図らずも再び機会を得た今回、朝食付で手配したのはもちろんです。
物騒なご時世の影響は免れず、朝食の形式が見直されたと聞きました。予め取り分けた小鉢を選ぶと聞かされて、想像したのは米沢で世話になったモントビューの朝食です。それはおおむね的中したものの、意表を突かれたこともあります。まず食堂のテーブルが一新されていました。お客同士の間隔を空ける目的で、元々あった長いテーブルを置き換えたということでしょう。それと同時に気付いたのは、品数が相当減っていることです。遅めの時間に訪ねたため、その時点で切れていたものはあるかもしれません。しかし、名物の一つだった帆立のカレーが見当たらないため、始めからなかったものがいくつかあるのは間違いないでしょう。そのような事情もあり、品数はモントビューの朝食に及びません。
ただし、品数を減らしても質を全く落とさないのはさすがです。まず用意されていたのは、皿一枚と箸一膳、それに小さなトングとおしぼりを載せたお盆でした。全ての品が小鉢になったわけではなく、温かいものについては取り分ける形が踏襲されていました。小さなトングはそのために用意されたものだったのです。衛生上の対策を万全にしつつ、少しでもお客に満足してもらおうと試行錯誤を重ねた結果、この形に行き着いたのでしょう。今季のさくらまつりと同様、周到な工夫の跡が窺われました。もう一つ特筆すべきは盛り付けの美しさです。特にたこ酢は居酒屋の小鉢としてそのまま出てもおかしくありません。温かい惣菜を取り分け、小鉢を選んでご飯と味噌汁を加え、ラップを剥がして写真に撮れば、いわゆる「インスタ映え」する朝食の出来上がりです。品数が減らされた分を補って余りある朝食でした。
そのようなわけで、今回も非常に満足できましたが、些細な心残りが一つだけありました。最後にりんごジュースをいただこうとしたところ、目の前で切れてしまったのです。ただし、頼めば補充されると知りつつ、あえて求めはしませんでした。代わりに酒を呑めという思し召しのような気がしてきたからです。酒も地産の飲み物には違いありません。未曾有の危機に直面する飲食業の支援にかこつけ、今夜も一献傾けます。
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東北縦断花見の旅 2021番外編 - 二日目

2021-05-02 06:51:22 | 東北
おはようございます。出発前夜は三時間仮眠をとっただけでした。ところが一日活動し、夜も三軒はしごして、宿に戻ったときには午前様でした。体力の陰りを自覚する昨今、我ながらよく持ちこたえたと思います。その影響は今朝に及び、二度寝、三度寝を繰り返しつつようやく起き上がったところです。
連休中の天候に多くを期待し難いことは、出発前から分かっていました。あとは車を回送できればよかろうと思っていたのが実情です。その一方で、端から割り切る必要もないと思っていました。たとえ予報が雨だとしても、止まずに数日降るなどということは滅多にないからです。その経験則は昨日も妥当し、昼過ぎまでは晴れました。最新の予報によると、明日、明後日も晴れ間はありそうです。そうなることを期待しつつ、この雨空をやり過ごします。
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東北縦断花見の旅 2021番外編 - 藪きん

2021-05-02 00:02:32 | B級グルメ
「はすや」で味噌汁をいただき、そのまま宿に戻っても不足はありませんでした。しかし、弘前は今夜限りのつもりでいます。最後と思えばもう一軒欲張りたくなるのが人情です。わずかな余力で「藪きん」の暖簾をくぐりました。
ある程度間隔が空けばカレー南蛮の一択ですが、短い間隔での再訪なら趣向を変える余裕ができます。そのようなときに試してみたいと思っていたのが冷しとろろそばです。店先の行灯に、カレー南蛮、天ざる共々掲げられるということは、自慢の品の一つなのでしょう。なら一度はいただこうと考えていた次第です。
こうして店へ乗り込んだまではよいものの、席につくなり考えが変わります。品書きにはとろろそばに「温・冷」の括弧書きが添えられていました。日中はまだよかったものの、日が暮れて雨も降り出し、店内では五月に入ってなおストーブが焚かれています。身体は冷たいものより温かいものを欲していました。咄嗟に心変わりして、温かい方を所望するという顛末です。当然のことではありますが、出汁の力強さにはカレー南蛮と相通ずるものが感じられます。白くて細い更科そばの喉越しも上々。最後を飾るにふさわしい一杯でした。

藪きん
弘前市鍛冶町26
0172-32-5013
1100AM-200AM
月曜定休
とろろそば850円
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