日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

北海道花見の旅 2021 - マサラカリス

2021-05-03 22:59:52 | 居酒屋
「てっ平」を出た時点で十時半でした。ラッキーピエロは引き続き早仕舞いをしており、その時点で歩ける範囲の店舗はマリーナ末広店だけです。あの店舗が性に合わないことについては前回も述べました。半年という比較的短い間合いでの再訪なら、そこまでして固執することもありません。しかし、そのまま帰るつもりで歩くと、沿道に看過しがたい店が現れました。浮いた余力で飛び込んだのは「マサラカリス」です。
屋号の通りカレーの店です。店先には無水カレーとありました。水を加えず、食材の水分だけで作られるということでしょう。見送りはしたものの、ラッキーピエロのカレーの残像がある状況で現れたこの品に、閃くものがありました。その閃きを信じて飛び込むと、これが掘り出し物でした。昼からの営業は三部に分かれ、今はヨナカリスと称するバータイムに当たるようです。カレーは気まぐれカリスカレーなる一種で量だけ選べ、あとは肴が三種という簡素な品書きではありますが、カレーだけいただくつもりで飛び込んだ自分にとっては十分です。定番らしき「カリスカレー」に「気まぐれ」の文字が加わるのは、バータイムだけ日毎に趣向を変えているからでしょう。鶏もも肉にトマト、玉葱、ニンニク、生姜を加えて作るというカレーに、今夜は豆腐とニラが加わり、その上から花椒が振りかけられていました。直裁に名付けるならば麻婆豆腐カレーですが、立ち上ってくる香りには様々な香辛料に由来するものが感じられます。完全にほぐれるまで煮込まれた鶏肉の食感と、食材から滲み出た味わいがその香辛料によって引き立てられ、カレーとして昇華されているのは天晴れです。再訪の余地は十分にある名店でした。

マサラカリス
函館市松風町14-3
0138-76-4740
1130AM-1445PM
1800PM-2045PM
2100PM-130AM
日曜及び第一・第三月曜定休
気まぐれカリスカレーハーフサイズ780円
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北海道花見の旅 2021 - てっ平

2021-05-03 21:23:16 | 居酒屋
青森で二日にわたり足踏みしたのは、フェリーの便と天候の関係によると今朝方申しましたが、実をいうともう一つの事情があります。函館で訪ねる呑み屋の問題です。昨秋二泊したことにより「てっ平」のよさを再認識し、今回も行くならここだと思っていました。しかし、連休初日の上陸は船便の問題で叶わず、その翌日は日曜でした。一人でも予約があれば営業すると、店先に告知されてはいるものの、たかが数回訪ねただけの分際で願い出るのは憚られます。その結果、本日上陸する形となったわけなのですが、万一早仕舞いしていれば全てが水の泡になりかねません。心持ち早足で店へ向かうと、行灯の明かりはついていたものの、その状況で振られることも店によってはままあります。恐る恐る暖簾をくぐり、店主に迎えられたとき、ようやく安堵するという顛末です。
前回訪ねたのは十月の末、北海道では晩秋のまさに最後といえる時期です。黒板にも冬の風物詩が書き入れられて、冬到来をしみじみ実感したのが思い出されます。それから半年の時を経て、今は桜の咲く時期です。品書きには春らしいもの、特に山菜野菜が目立ちます。ざっと挙げてもタラの芽、うど、アズキナといったところです。それらの中からまずシドケの胡麻和え、次いでヤリイカと新玉葱の天ぷらを注文。ホタテアスパラなる一品も気になるところではありますが、品数がこうも多いと、季節料理一辺倒というのもむしろ面白くありません。「変則やきとり」との二者択一で選んだのは「本日の玉子焼」です。その正体は〆鯖を包んで焼いたもので、さしずめう巻きの「う」を鯖に変えたといってもよいでしょう。〆鯖が酒に合わないはずはありません。目から鱗の一品でした。

てっ平
函館市若松町18-16
0138-22-7330
1730PM-2400PM
水曜及び日曜他不定休

サッポロクラシック
仁世古
男山
お通し
ちょい盛
シドケごま和え
やりいかと新玉葱天ぷら
今日の玉子焼
季節の味噌汁
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北海道花見の旅 2021 - 関心事

2021-05-03 21:00:03 | 北海道
投宿して本日の走行は終了です。松前へ行くという構想は潰えたものの、汐首岬までの往復を含めて70kmほど走り、出発からの走行距離は1620kmに達しました。
夜桜と並んで気になっていたのが、函館の飲食店の動静です。再開の前に調べた限りでは、特に「要請」が行われているらしき様子はなかったものの、決まるや否や即適用という無理無体が全国各地で横行し、全く油断できません。物騒なご時世、「要請」が出たかどうかにかかわらず早仕舞いする可能性も十分あり得るため、何はさておき行ってきます。
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北海道花見の旅 2021 - 大森稲荷神社

2021-05-03 20:51:45 | 北海道
函館で夜桜といえば函館公園ですが、今年はどうかと懐疑的でした。淡い期待を抱いて訪ねるも、提灯とぼんぼりはなく、露店もとうに店仕舞いした後でした。明るいうちに露店だけ出し、夜桜は中止するという形に落ち着いたのでしょう。しかし、文字通り捨てる神あれば拾う神ありです。宿へ向かって車を走らせると、八重桜が投光器の明かりに浮かび上がっていました。
文字通りというのは、そこが神社の境内だったからです。大森稲荷神社といい、国道沿いの一角に白い八重桜が咲いていました。しかし、同じ道を明るいうちに一度、暗くなってからも逆方向にもう一度走っています。沿道にあっても二度見逃したということは、境内の奥にあったとすれば気付かなかったかもしれないということです。ソメイヨシノならとうに散り、照明されていたかどうかも分かりません。様々な条件が積み重なり、函館で夜桜を観賞できたのも、神のご利益と思えてきました。御礼を兼ね、参拝してから辞去するという顛末です。
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北海道花見の旅 2021 - 永寿湯温泉

2021-05-03 19:17:16 | 温泉
桜前線を追いかけながら北上すれば、気候もおおむね同じになるかと思いきや、全くそうではありません。特に今季はその傾向が著しく、行けば行くほど寒くなります。北海道に渡ったところで一段と寒さが増し、乗船後は真冬と同じ服装でした。気温が10度を超えていたにもかかわらずです。それだけ風が冷たいということでもあります。こうなると熱い風呂のありがたみも格別です。久々に湯の川温泉を訪ねました。立ち寄るのは永寿湯温泉です。
函館というと谷地頭ばかり贔屓にしてしまい、湯の川で風呂に入ったことはただの一度しかありません。ただし、一度とはいえ印象に残ったことはいくつかあります。その一つが、浴槽を三つに区切って一つにだけ湯を掛け流し、温度が下がって行くようにする仕掛けです。それに対してこちらの仕組みはやや異なります。浴槽は二つに区切られ、それぞれに同じ源泉が注がれるものの、大きさの違いによって温度も変わるというものです。そしてその温度が半端ではありません。この道中で最も熱かったお湯といえば大鰐の若松会館ですが、あれでさえたらいに汲んで浴びることだけはできました。ところがここでは、低温の浴槽でさえ直接浴びることができません。地元の御方も水栓を全開にしてから浸かるということは、どれだけ熱いお湯かということでもあります。自分など、水栓を全開にしても爪先でさえ無理でした。源泉を極力冷まさず浸かるのが、湯の川のしきたりなのかもしれません。

★永寿湯温泉
函館市湯川町1-7-14
0138-57-0797
600AM-2200PM
入浴料450円
泉温 64.5度
泉質 ナトリウム・カルシウム-塩化物泉(中性等張性高温泉)
pH 7.2
湧出量 毎分673リットル(動力揚湯)
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北海道花見の旅 2021 - 汐首岬

2021-05-03 18:18:11 | 北海道
道路化された線路をなおも辿っていくと、やがて国道に呑み込まれます。海沿いに走っていた旧道を切り替えるため、山側に建設された新道です。ここだけは、事前にそうと知らない限り線路の跡とは気付かないでしょう。その新道が尽きた先にあるのが汐首岬です。
ツーリングマップルには「本州・北海道最短地点」の文字があります。実際のところ、下北半島は山肌の陰影まで見分けられるほど鮮明です。陰影があるということは、西日が射してきたということでもあります。最大の遺構たるアーチ橋は日陰に隠れてしまったものの、北海道らしい鮮やかな夕景が広がりました。この空を追いかけながら函館へ戻ります。
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北海道花見の旅 2021 - 好車窓

2021-05-03 17:41:57 | 北海道
築堤が尽きたところで線路の跡は再び道路に転用され、海岸段丘に登ります。ただし、やや内陸を通っていたこれまでの区間と違い、眼下はすぐに海岸という状況です。路肩に止まって来し方を振り返れば、緩やかな弧を描く海岸線の彼方に函館山が鎮座して、左側には下北半島が横たわります。仮に開業していれば、道南でも屈指の好車窓となったのはもちろんのこと、名撮影地になっていたかもしれません。
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北海道花見の旅 2021 - 木喬月却

2021-05-03 17:04:18 | 北海道
湯の川から走ってきた道が左に折れたところで、線路の跡は判然としなくなりました。しかし、砂利道を辿って行くと、それらしきものと交差しました。築堤と切り通しを併用し、海岸段丘から平地へ下りていたようです。下りた地点には汐泊川を跨いでいた鉄橋の橋脚があります。上り方には橋台があり、それに続く築堤上に見えるのはコンクリートの擁壁でしょう。対岸の橋台こそ撤去されはいるもののの、戸井方面には線路の跡と一目で分かる築堤が続きます。戦時中に建設され、そのまま打ち捨てられたものが、今もなおこれだけ形をとどめているのは奇跡的です。
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北海道花見の旅 2021 - 志海苔ふれあい広場

2021-05-03 16:32:27 | 北海道
道路となった戸井線の跡を辿っていくと、遠目にはまだ満開のソメイヨシノ見えてきました。東屋があることからして公園でしょう。しかも、こちらが走ってくるのを見越したように、雲間から日が射すというおまけ付きです。花見は切ると申しましたが、沿道にたまたま桜があって、そこに晴れ間が重なれば、むざむざ見過ごす手もありません。咄嗟に入った駐車場には、志海苔ふれあい広場なる案内板がありました。
先ほど寄った地点もそうだったのですが、空港用地に隣接する緩衝地帯が公園化されたもののようです。海を見下ろす高台にあり、手前には桜が咲いて、沖合には下北半島の影が見えます。冷たい西風が吹き付けているにもかかわらず、なかなか散る様子がないのは大したものです。走ってきた道が前を横切っているため、写真に撮っても画竜点睛を欠く眺めではありますが、眺めるだけならこれで不足はありません。ささやかながら今日も花見ができました。
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北海道花見の旅 2021 - 戸井線

2021-05-03 15:32:58 | 北海道
引き続き花見の旅を標榜してはいるものの、北海道の桜に対して多くを期待しているわけではありません。函館市街を軽く流した限りでは、当地でも既に盛りを過ぎています。時折薄日が射す程度では半端にならざるを得ません。今日のところは花見を切ることにしました。
自分にしては珍しく、早めに見切りをつけたのは、戸井線という題材を用意していたからでもあります。五稜郭から分岐して西進するのは江差線改め道南いさりび鉄道ですが、逆方向を目指していたのが戸井線です。目指していたと表現するのは、いわゆる未成線だからですが、かなりの区間が道路に転用されるなどの形で残り、アーチ橋の遺構はとりわけ知られています。日中の残り時間を費やすにはお誂え向きと考えて、この機会に辿ってみようと思い立ちました。
丁度よいとはいっても30kmです。くまなく歩く時間はなく、めぼしいところを拾っていくしかありません。そのような前提で、まずは湯の川まで走りました。線路の跡が海沿いに出る地点です。先人の踏査結果とカーナビの地図を照らし合わせることにより、空港の用地をなぞる細い道を線路の跡と特定できます。戸井までたどり着けるかどうかは未知数ながら、明るいうちに行ける場所まで行くつもりです。
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北海道花見の旅 2021 - 元祖小いけ

2021-05-03 14:11:00 | B級グルメ
心変わりが結果的には吉と出ました。「小いけ」でお昼をいただきます。
弘前での花見は空前絶後の大勝でしたが、昨秋の北海道も同じでした。ただし、些細な心残りはありました。その一つが、函館に二泊したにもかかわらず「小いけ」に寄れなかったことです。とはいえ、今回いの一番に行きたいと逸っていたわけでもありません。上陸後は函館の市街に入らず、直ちに移動するつもりでした。松前の桜とやらを一度観てみたかったのです。ところが、洋上では日が射す場面があったものの、上陸後は平凡な曇り空に戻ってしまいました。行ったところで既に盛りは過ぎており、咲いているのは八重桜が関の山、なおかつ曇っているとなれば、片道につき100km近くも走る理由は見出せません。その結果、上陸まで眼中になかった「小いけ」が浮上して、逆方向へ走ってきたという顛末です。
そうなるに至ってよくよく調べてみたところ、店は火曜が定休でした。明日に回せば、定休なのを当日知って立ち尽くしたかもしれません。心変わりが奏功したと表現するのはそのためです。

元祖インドカレー小いけ
函館市宝来町22-4
0138-23-2034
1100AM-1530PM
火曜定休
大カレー780円
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北海道花見の旅 2021 - 次なる旅

2021-05-03 12:49:47 | 北海道
出港から着岸まで、めくるめく場面が続く青函航路です。好天なら甲板に立ち続けてもよいところでした。しかし、空模様は予報通りに冴えません。何より風が冷たくて、長時間立ち続けるのはとても無理です。暖をとるべく船室に戻ると、旅の疲れが噴き出して、そのまま眠りに落ちました。一時間ほど横になってから再び甲板に出たところ、行く手には函館山が見えていました。その函館山を目印になおも航行し、港内で大きく右に旋回してから定刻に着岸。自身にとっては半年ぶりの北海道です。ここからは表題を変え、気分も新たに次なる旅へ臨みます。
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東北縦断花見の旅 2021番外編 - 御来光

2021-05-03 08:20:47 | 東北
船が離岸を始めるや、後方に鎮座する岩木山が見えてきました。山頂こそ雲をかぶっているものの、雪を被った山頂が御来光に染まっています。改めて見送りに出てくれたかのような光景に、津軽への名残惜しさが募ってくるのは人情です。
函館へ向かって航行する場合、甲板からの眺めでは右舷の方が上回ります。八甲田山、夏泊半島と下北半島が視界に入り、さらに北上していけば函館山も見えるからです。しかし、今日に関する限りは岩木山を遠望できる左舷も悪くありません。非常時とはいえ連休の影響は避けられず、大型車が少ない代わりに乗用車の数は結構なものです。取りも直さず船室は混みます。いわゆる「密」の状態です。航送料が安い代わりに設備については貧弱な青函フェリーではありますが、甲板上にも雨風を凌げる場所は一応あります。適度に暖をとりつつも、甲板で海峡を眺めながらの航海となりそうです。
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東北縦断花見の旅 2021番外編 - 青函フェリー

2021-05-03 07:35:18 | 東北
出航の45分前という、自身としては過分なほどの余裕を持って青森港に着きました。出発から1562kmを走破して東北編は完結です。
わざわざ車を渡すなら、道内に長くいられるようにするのが当然です。しかるに、青森で二日にわたり足踏みしたのは、大型連休特有の事情に起因しています。人出が減った非常時とはいえ、腐っても鯛の諺通り、五連休の初日はさすがに別でした。前日の晩に照会したところ、日中の便は既に埋まって、最速でも深夜着の便まで待つしかないと判明。津軽海峡フェリーは空いていたものの、片道で一万円も違うとなると、さすがに考えざるを得ません。「迷ったら買え」が原則とはいえ、それは合理的な出費で買えるということが暗黙の前提となっているからです。大型連休とはいえども、一万円もの料金差に合理性を見出すことはできませんでした。そうなるに至ってよくよく考えると、すぐにあちらへ渡ったところで翌日は雨と予想されました。その雨をやり過ごしてから渡ればよいと考えて、今朝の便に落ち着いたという顛末です。
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東北縦断花見の旅 2021番外編 - ほっかほっか亭

2021-05-03 07:18:27 | B級グルメ
早く出たのは朝風呂のためだけではなく、その足で朝食を済ませるためでもありました。目当ては長尾中華そばです。一風呂浴びれば開店時刻の七時になります。手早くいただき港へ向かえば、頃合いの時刻に着いて一石二鳥というつもりでした。ところが足をすくわれます。定休日の立看板が出ていたのです。
公式サイトを調べたところ、たしかに月曜定休でした。ただし、祝日の場合は営業して翌日休むともあります。字句通りに捉えれば、今日営業して明日休むということです。その明日も休日になる関係上、定休日を振り替えることができないため、いわば例外の例外として今日を休みにしたのでしょうか。真相のほどはともかく、立看板まで出ていては退散するしかありません。せめてもの救いは、少し走れば済む場所に7時から開くほっかほっか亭があったことです。四国ほどの独自性こそないものの、青森、岩手の両県にも独自の品がいくつかあります。のり玉弁当が本日の朝食です。
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