日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

豊穣の加賀を行く - 紋や

2017-09-30 21:25:44 | 居酒屋
一昨日富山に泊まったときもそうでしたが、短い間隔で再訪し、訪ねる店まで同じということになると、今更撮るべきものもありません。今夜は手ぶらで出てきました。道中最後の夜を飾るのは「紋や」です。
先日の北海道編では釧路に三泊したにもかかわらず、新規の店を一つも試さず、既出の店で注文を変えることにより趣向を変えるという方針を採りました。その方針は福井においても貫かれます。まず刺身、次いで地鶏と油揚げをいただき、腹具合に応じてもう一品というのが、最も多く踏襲してきた手順のところ、今回は刺身から先を変えることにしました。しかし、変えるにしても悩ましい選択です。というのも、数百円台の後半でいただける地鶏と揚げ焼きに対し、他の品のほとんどは倍近くしてしまうからです。そこを奮発できるのは、道中最後の夜という大義名分があってのことですが、結果としては前夜の「浜長」よりも一回り以上高くなりました。この店が高いというより、あちらがそれだけ良心的というのが実態なのだとは思います。とはいえ、値段を気にせずいただける「浜長」と違って、ここでは取捨選択を考える必要があるのかもしれません。
器の小ささを露呈してしまいましたが、支払いを気にせず呑める店がよかったと思っているわけではありません。買っているのは安さではなく居心地であり、それが道中最後の夜ならなおさらです。ここで最後を飾れたことを幸いに思います。

紋や
福井市中央3-4-6
0776-23-0040
1700PM-2400PM
日曜定休(祝日の場合は営業し翌日休業)

常山・早瀬浦二合
突き出し(玉子豆腐海苔あんかけ)
お造り盛り合わせ
万願寺ししとうのえびすり身いこみ焼
笹かれい一夜干し
出汁巻き玉子
塩うに(おごり)
コメント

豊穣の加賀を行く - 最後の夜

2017-09-30 20:51:32 | 北陸
沿道の案内板が的確で、指示に従い県道、国道を複雑にたどっていくと、ことごとく交通量の少ない快走路でした。そのおかげもあり小一時間で福井に到着。出発からの走行距離は2820kmに迫っており、北陸編で3000kmに達する可能性が出てきました。
福井まで下ってくるとさすがに暖かく、日中こそ汗をかいたものの、現在の気温は16度に下がっており、最高でも25度を超えることはありませんでした。日中、夜間とも北海道との気温差は5度に満たないわけであり、今季はいともあっさり涼しくなったというのが実感です。

予想はおおむね的中し、今から出れば呑み始めるのが九時頃になりそうです。結論から申しますと、今回も「紋や」の世話になります。短い間隔で再訪した以上、趣向を変えてみたいという考えがないわけではないものの、よくよく考えれば今夜は道中最後の夜だからです。北海道と北陸の環境が違いすぎ、あたかも新潟から再出発したかのような気がしていて、長旅の終わりという実感は乏しいのが実情ながら、ともかく最後の夜ならば、慣れ親しんだ店で終わりたいというのが第一でした。
先ほど電話を入れたところ、店主は名乗る前からこちらの素性を察してくれたようでした。それでこそ心おきなく酒が呑めるというものです。福井でもひやおろしが出揃っている頃でしょう。じみじみ盃を傾けたいものだと思います。
コメント

豊穣の加賀を行く - 三国港駅

2017-09-30 19:06:08 | 北陸
その後東尋坊で夕景を眺め、残照が褪せたところで三国港の駅に戻ってきました。上空には半月よりもさらに満ちた月が浮かび、周りからは秋の虫の大合唱が聞こえています。
空振り続きだと先ほど申しました。特に大きく外したのが北陸本線の駅です。どの駅も既に一度は訪ねているため、めぼしい駅だけ再訪しつつ進むつもりが、ほとんどの駅で逆光または逆光気味になってしまったばかりか、余計なものが写り込んでしまうなどの誤算もあり、まともに撮れたのは大聖寺だけといっても過言ではありません。ほぼ無駄足といってもよい結果でした。いっそのことまっすぐ走ってしまえば、少なくとも列車だけは撮れたのではないかと思うと悔やまれます。
結局、収穫らしい収穫といえば、すしべんと8番らーめんに寄れたのと、489系の保存車両を見学できたのがせいぜいで、撮影に関していえば駅も列車も惨敗に近い結果でした。そのような中、東尋坊の夕景だけは期待通りで、これがせめてもの埋め合わせになってくれました。日の傾く早さはおおむね分かったため、この教訓を明日に活かします。
今から福井に移動し、投宿して一風呂浴びると、おそらく九時前後にはなるでしょう。無理にはしごをするよりも、一軒で心行くまで呑んだ方がよいかもしれません。
コメント

豊穣の加賀を行く - 蕎麦畑

2017-09-30 17:17:05 | 北陸
旭川から札幌まで移動した日もそうでしたが、朝から慌ただしく動き回った割にはさしたる収穫もなく、時間だけが瞬く間に過ぎるような気がします。
その後の顛末を申しますと、まず先月訪ねた細呂木の撮影地を再訪したものの、特急を一本撮っただけで斜面の影になってしまいました。そこで三国芦原線の電車を撮りに車を走らせると、前回はまだ青々としていた稲穂が、一本残らず刈り取られていました。しかし、大関の駅の近くに蕎麦畑があったため、これを入れて上下列車を一本ずつ撮ったところです。日の傾く早さにしても田圃の眺めにしても、一月という時の流れを実感せずにはいられません。
西日は大分傾いてきており、次に来る上りが撮影できる最後の列車になるかと思います。何かと空振り続きですが、夕景だけは期待できそうです。久々に東尋坊へ行ってみます。
コメント

豊穣の加賀を行く - 牛ノ谷駅

2017-09-30 15:43:05 | 北陸
福井との県境を越えて最初の駅が牛ノ谷です。またも逆光気味ではありますが、山間の静かな駅の雰囲気は好ましいものがあります。
コメント

豊穣の加賀を行く - 大聖寺駅

2017-09-30 15:30:16 | 北陸
本日は何かと時間帯が噛み合わず、訪ねた駅のほとんどが逆光か逆光気味の条件でしたが、ようやく順光の駅が現れました。加賀市の代表駅にして石川県最南端の大聖寺駅です。
昭和28年改築の駅舎は、前面を高く、ホーム側を低くしたMOSの店舗のような屋根を持ち、中央にある玄関をガラス張りの柱のように仕立て、右側にある待合室をやや手前に、左側にある事務室をやや奥に配置することで、待合室の側から少しずつ奥まって行くという小洒落た造りをしています。事務室側には円柱のような構造が立ち上がり、そこに正方形の石が四枚並んで、「大聖寺駅」と一文字ずつ刻印されているところも秀逸です。
吹き抜けの待合室に入れば、奥へ向かって下がる屋根の角度がよく分かり、角の丸い長方形を二つ並べたようにくり抜いた天井も凝っています。壁際には動橋の駅にもあった駅の開業以来の年表が。由緒の正しさと立派な駅舎は甲乙つけがたく、特急停車駅の座を争ったのも宜なるかなと納得させられます。
コメント

豊穣の加賀を行く - 8番らーめん

2017-09-30 14:55:23 | B級グルメ
動橋の駅前食堂が健在で、強く興味を引かれるものはありました。しかし、ここまで来たからには巡礼すべき場所があります。8番らーめんの本店です。
屋号の由来でもある8号線の拡張に伴い、移転したという話は聞いていました。下り線側にあった店舗は反対側に移っており、先日世話になった入善店と同様の、よくも悪くも現代的な店舗に変わって、広大な駐車場と、レジの背後の壁一面に描かれた創業当時の店舗の写真が、辛うじて本店であることを物語っています。しかし、福井ではラーメンよりもカツ丼が主役になると予想される中、8番らーめんを発祥の地でいただけたのは幸いです。

★8番らーめん本店
加賀市西島町チ3番2
0761-75-7503
1100AM-2400PM
コメント

豊穣の加賀を行く - 動橋駅

2017-09-30 13:57:25 | 北陸
続いて訪ねるのは難読で知られる動橋駅です。駅前から階段を上がって入る駅舎は、今のご時世スロープを取り付けられてもおかしくはなさそうなところ、今なお往年の姿を保っており、少なくとも趣味的な観点からは好ましいものがあります。駅舎は一見すると標準的な大きさのように見えながら、広角レンズを使っても相当引かなければ全貌を収めることができず、かつて特急列車も発着した由緒の正しさが窺われます。
しかし、この駅も時代の流れと完全に無縁ではいられなかったようで、ICカードの読取機の設置に伴い改札のラッチは取り払われ、さらにはホームの一部が柵で囲われ立ち入れなくなっています。鉄道華やかなりし頃を彷彿させる堂々としたホームの造りが、駅舎と並ぶこの駅のよさでもあっただけに、それが損なわれてしまったのは残念です。
コメント

豊穣の加賀を行く - 粟津駅

2017-09-30 13:30:36 | 北陸
続いては粟津駅を訪ねます。背の高い瓦屋根と立派な車寄せを持つ木造駅舎、その前にある手入れの行き届いた植栽、地下道をくぐって上がる長いホームに広い構内など、鉄道華やかなりし頃の面影を随所に残した造りが秀逸です。
コメント

豊穣の加賀を行く - 土居原ボンネット広場

2017-09-30 12:48:18 | 北陸
続いては小松駅、というより駅の近くの小公園を訪ねます。「土居原ボンネット広場」と名付けられた一角に鎮座するクハ489が目当てです。
現役末期まで「能登」の運用に入っていた、関東にもゆかりのある編成の先頭車が、引退後に小松の駅前で保存されたという話は聞いていました。有志の手により維持管理されていることについても。折しも土曜に重なったため車内が開放されており、外では有志の御仁が車体を手入れしているところでした。個人の手による維持管理には限度があるのか、側面の外板がやや痛んでいるようではありますが、屋外での保存であることを考えれば、十分よい状態を保っているともいえます。現存する貴重なボンネット型車両の一つが、心ある人々により守られたのは喜ばしいことです。
コメント

豊穣の加賀を行く - 小舞子駅

2017-09-30 11:51:56 | 北陸
同じく強い逆光の美川駅を飛ばし、小舞子駅を訪ねます。昭和30年代の建築という鉄筋コンクリート駅舎は、一見ありふれた形をしているものの、同年代の駅舎に比べてやや小柄です。
それにしても、加賀笠間でもそうでしたが、かなりの頻度で特急が通過していき、北陸本線の健在ぶりを実感させられます。しかし、新幹線が開業する数年後には、この区間も金沢以東と同様の、寂れたローカル線に転落する運命です。折しも到着した二両編成のワンマンカーが、来るべき現実を物語っているかのようでした。
コメント

豊穣の加賀を行く - 加賀笠間駅

2017-09-30 11:07:56 | 北陸
8号線をそのまま下っていくかというとさにあらず。北陸本線の駅に寄りつつ西進します。まず立ち寄るのは加賀笠間駅です。
沿線では今や貴重となった木造駅舎の羽目板は、近年色とりどりに塗り直されて、趣は若干損なわれてしまいました。しかしそれ以上に惜しまれるのは、強い逆光という条件です。それも、こちらが着いた瞬間には日が陰っていたにもかかわらず、直後に晴れてしまったというのがやりきれません。上空には雲がいくつか流れてはいるものの、それらが雲に重なりそうな気配は当分なく、今回はこのまま退散するしかなさそうです。
コメント

豊穣の加賀を行く - すしべん

2017-09-30 10:40:11 | B級グルメ
富山はともかく金沢を車で訪ねる機会が激減し、これが実に四年ぶりの再訪となります。車で来たなら朝食はここ以外に考えられません。8号線沿いの「すしべん」に入りました。
その名の通り寿司と弁当、さらには惣菜とおでんがあり、併設の客席で麺類と丼物も提供されるという業態は、熊本のヒライを含め、局地的に展開されるのがせいぜいで、全国的にはありそうでなかなかありません。兵庫のたいこ弁当にいたっては倒産により姿を消してしまいました。朝食にはとりわけ向いているだけに、この手の業態がもっと普及してくれれば、旅は一層楽しくなると思うのですが。
もっとも、鱒寿司とうどんを合わせて648円ということは、安さでは牛丼屋の朝食に敵わないわけです。それでも選んでしまうのは、ここでしかいただけないというありがたみによるところが大きいということになります。かような観点からは、あまりに普及するのも考え物であり、むしろこの程度が丁度よいのかもしれません。

★すしべん福留店
白山市福留町570-2
076-277-3322
600AM-2130PM(LO)
コメント

豊穣の加賀を行く - 三日目

2017-09-30 08:22:43 | 北陸
おはようございます。その後11時過ぎに「浜長」を出て、時間的にはもう一軒はしごできる状況でした。しかし昨夜は時間よりも先に体力が尽きました。無理して飲み食いしても仕方ないと考え、虫の声を聞きつつ宿の方へ戻り、深夜の茶屋街を散策して締めくくるという顛末です。
一夜が明け、窓の外には雲一つない秋晴れの空が広がりました。今日は絶好の活動日和になりそうです。しかし、この期に及んで後悔していることが一つだけあります。金沢に連泊すればよかったということです。来週末北近畿に転戦するという構想上、今週末は福井に車を置いて一旦帰るのが前提となります。週末に重なることもあり、福井の宿もかなり早い段階で押さえていました。しかし、先月末に福井を訪ねたことにより、今回は一月という短い間隔での再訪となってしまいます。一晩では回りきれないほど名酒場に事欠かない金沢と違って、福井では「紋や」一辺倒という状況が続いており、今後も新規の店を無闇に増やすつもりはないため、少なくとも宿泊に関していえば、金沢に連泊した方が好ましかったわけです。先月福井を訪ねた時点で、見直されて然るべきだったにもかかわらず、それに気付かなかったことを悔やんでいる次第です。
そのようなわけで、今日は福井へ向かいます。秋晴れの金沢にしばらく滞在して行きたいという考えはありながらも、緊急性の高い北陸本線の記録を優先するつもりです。福井では短い間隔での再訪という条件を生かし、たまには趣向を変えてみるのも一案でしょう。
コメント