日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

豊穣の加賀を行く - ひげ

2017-09-28 23:27:24 | B級グルメ
地元の酔客がなだれ込むラーメン屋はどこの土地へ行ってもあるもので、富山でもその手の店の心当たりは二、三あります。しかし、今まで見落としていた店があることに気付きました。駅前の呑み屋街から少しだけ離れていたため気付かなかったのでした。本日はそのラーメン屋で締めくくります。
昨日札幌で訪ねたのは「ひげ男爵」でしたが、こちらの店は「ひげ」といいます。店構えこそ現代的ながら、創業昭和37年の看板が誇らしく、地元客で賑わうカウンターの様子からしても、ここは間違いないだろうという期待感が湧いてきます。
入ってまず思ったのは、以前世話になった「まるたかや」に似ているということです。ラーメンだけでなく餃子、おでん、煮込みなど肴と地酒があり、酔客がさらに一杯ひっかけるにはお誂え向きの品書きです。ついでにいえば、背脂を揚げたものが備え付けられているのも同じで、透き通った醤油スープの味わいにも、どことなく似通ったものが感じられます。県外では富山ブラックの知名度が圧倒的ですが、むしろこれが富山の正統なのでしょうか。呑んだ後でも汁一滴残さずいただける、完成された味わいでした。

駅前ラーメンひげ 桜町店
富山市桜町1-2-1
076-456-6126
平日 1130AM-1330PM/1730PM-2400PMAM
土曜及び祝前日 1130AM-1330PM/1730PM-200AM
祝日 1730PM-2400PM
日曜定休
ワンタンメン850円
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豊穣の富山を行く - 親爺

2017-09-28 21:39:00 | 居酒屋
着くのが遅くなったこともあり、富山では今回も「親爺」一軒限りになることが予想されました。しかし、たまには趣向を変えたかったというよりも、ここで存分に呑めるという楽しみの方がむしろ大でした。教祖が双璧と位置づける「あら川」を始めとして「真酒亭」に「やつはし」など、名酒場がひしめく富山にあって、そう思わせるということは、この店がいかに盤石の安定感を持っているかということでもあります。
暖簾の向こうにカウンターが見え、おおよその混み具合を窺うことができるのがこの店の特徴です。今回も恐る恐るのぞいてみると、手前の方は隙間なく埋まっているように見える一方、奥の方は空いているようにも見えます。振られても代わりはあると高を括って飛び込むと、果たせるかな先客が鈴なりになっており、奥の方に三つだけ空席がありました。おそらく先ほどまではここさえも埋まっており、先客が出た後に滑り込んだということなのでしょう。入れるには入れるものの、余裕で入れることはまずないというのがここでの常で、それは遅い時間であっても変わりません。
そうなる理由として、店の実力が第一なのはもちろんですが、上記の通り外から様子を窺えるというのも大きいような気がします。この時間でいえば、既に一杯ひっかけた酔客が二軒目、三軒目を探すとき、この店をのぞいてみて、空いているようなら即飛び込むという芸当ができるからです。実際、そのようにして飛び込んできた酔客が自分の後に三組続き、一旦空いたカウンターは実質二回転目に入りました。通常の呑み屋なら早仕舞いもあり得る時間帯から、さらに一回転するということは、お客の出入りがどれだけ多いかということでもあります。やや変わった視点ではありますが、店の回転数ではここが「大甚本店」と並ぶ全国の双璧かもしれません。

親爺
富山市桜町2-1-17
076-431-4415
1600PM-2300PM
日祝日定休

幻の瀧・成政・吉乃友・親爺
突き出し(ばい貝おろし和え)
お造り八点
平目の煮こごり
アスパラ昆布〆
げんげ干物
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豊穣の加賀を行く - 富山の夜

2017-09-28 21:29:32 | 北陸
生地の町で水を汲み、その後は8号線を再び走って富山に着きました。傾いていく半月を追いかけながらの走行でした。風連湖で針のような細い月を見たのは、記録をたどると六日前のことになるようです。あれからまだ六日かと思うほど、その間いろいろなことがありました。旅の長さを改めて実感します。
出発からの走行距離は2600kmを超え、新潟からは約270kmを走ってきたことになります。金沢には到達できなかったものの、高速道路に頼らずこの距離を稼いだという点では、上出来といってよいのではないでしょうか。
一応想定の時間内ではありますが、想定内の遅い方です。悠長に風呂まで浴びると呑み屋の看板が気になってきます。幸い今日は汗一つかかなかったため、後回しにして行ってきます。
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豊穣の加賀を行く - 園家山キャンプ場

2017-09-28 20:20:27 | 北陸
いよいよ時間が押してきたにもかかわらず、端折ることができないのが悲しい性です。続いては園家山キャンプ場に立ち寄ります。九月下旬の薄ら寒い平日に先客の姿はなし。しかし炊事場には明かりが灯り、湧水が滔々と流れています。明日の移動を考えると、前泊地が富山の東部、しかもキャンプ場ではさすがに厳しく、富山市内に宿をとりましたが、そのような制約さえなかったとすれば、このキャンプ場を借り切るにもやぶさかでないところでした。
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豊穣の加賀を行く - 海浜公園キャンプ場

2017-09-28 19:39:37 | 北陸
暮れていく西の空へ向かって8号線をひた走り、暗くなったと思ったところで、今度は上空に半月が浮かんでいました。その半月を垣間見つつさらに下り、富山との県境を超えたところです。只今北陸本線キャンプ場こと海浜公園キャンプ場に立ち寄っています。
現在の気温は14.5度、つまり北海道にいた頃とほぼ変わりません。大分弱まってはきたものの風もあるため、体感的には十勝の夜などよりもむしろ寒く感じられます。日中も20度に達することは一度もありませんでした。北海道を旅する間に、内地もここまで涼しくなっていたかと意表を突かれました。
現在地までで新潟から200km強を走ったことになりますが、金沢までは100kmほどが残っており、今日中にたどり着くのは厳しくなってきました。こうなりそうなことは比較的早い段階から予想できたため、既に富山の宿を押さえています。着くのは九時前後になるでしょうか。今回も「親爺」一軒限りになりそうですが、一年中で一番酒がうまいこの時期、しみじみ盃を傾けたいものだと思います。
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豊穣の加賀を行く - 夕焼け

2017-09-28 17:29:21 | 甲信越
新潟から130kmあまりを走って上越市街に入りました。あと10km少々で出発から通算2500kmです。上士幌で補給した燃料をほぼ使い切ったため、ここで給油を済ませていきます。先ほどから鮮やかな夕焼けが広がってきました。この空を追いかけながら走れるのが楽しみです。
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豊穣の加賀を行く - 夢の跡

2017-09-28 16:30:00 | 甲信越
初見の道だった柏崎までに対し、そこから先は8号線をひたすら下っていく経路になります。ならば粛々と移動するだけかというとさにあらず。米山のお立ち台に寄っていきます。
日本海の荒波が打ち寄せる米山駅と、前後の線路を高台から一望できる、日本海縦貫線の中でも屈指の名撮影地がここで、自身にとっても二十年来通い続けた思い入れの深い場所です。日本海と列車の取り合わせもさることながら、柿崎の方から直線状に海岸線が続き、数kmも先から前照灯が迫ってくるのがよく、ここで列車を待つ時間は何物にも代え難いひとときでした。
北陸新幹線の開業と引き替えに「北越」が姿を消し、さらには115系も安普請のワンマンカーに置き換えられて、かつての名撮影地も今となっては兵どもが夢の跡です。しかし、何一つやってこない眼下の線路を眺めていても、遠くから列車が迫ってきたときの高揚感がありありと思い出されてきます。この場所に対する愛着は終生失われることがないでしょう。短い時間とはいえ立ち寄れたのは幸いです。
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豊穣の加賀を行く - そばよし

2017-09-28 15:37:29 | B級グルメ
出雲崎からは352号線に合流し、車窓は鄙びた海沿いの街道筋とでも形容すべきものに変わりました。しかし、その先に巨大な発電所が立ちはだかり、国道は陸の方へと大きく迂回。その後再び鄙びた町並みが現れ、そのまま柏崎の市街に入りました。
新潟を朝出発し、西へ下っていくという状況から、昼頃に柏崎を通るだろうと予想しました。柏崎といえば「そばよし」です。今日のお昼はこれしかないと決めていました。ところが寄り道を繰り返すうちに時間が押していき、三時過ぎなどという中途半端な時間になってしまいました。中休みの可能性もあろうと覚悟しつつ駅前へ向かうと、幸いにも暖簾が出ており安堵するという顛末です。
半端な時間ということもあり先客は二組三名のみ。店主、女将とおばちゃんの三人で仕切っていました。しかし、自分の後にもさらに二組入るなど、落ち着いてはいてもお客が途切れることはありません。店主と女将は、仕込みから片付けまで休むことなくカウンターに立ち続けているのでしょうか。おかげで今回も腹を満たせたことに感謝しています。
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豊穣の加賀を行く - 出雲崎

2017-09-28 14:31:46 | 甲信越
交通量のほとんどない快走路をひた走り、久々に現れた町らしい町が、良寛ゆかりの出雲崎でした。北国街道沿いにある妻入りの町並みというのが有名だそうです。長岡の市街にもよくある、切妻の建物の妻側を間口にした建物のことでしょう。そう思って訪ねると、間口も高さも長岡で見かけるものより一回り小さく、たしかに独特な町並みです。ツーリングマップルRによれば、この町並みが4km近くも続くとあります。全て歩き通せば日が暮れてしまうため、手短に散策して切り上げました。
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豊穣の加賀を行く - 日本海夕日ライン

2017-09-28 13:48:19 | 甲信越
さらに走ると寺泊の市街に入り、路線の通称が日本海夕日ラインに変わりました。それとともに線形と車窓も再び変わり、今度は直江津以西の8号線のごとく、海岸線を同じ高さでなぞって行く道になりました。連続して走ったからこそ気付く変化です。この天候では夕日など望むべくもなく、いわば羊頭狗肉の状況ながら、鉛色の空と荒れた海がむしろ日本海らしくてよいように思えてきます。あいにくの天候がよい方向に働いたという点では、「災い転じて福となす」の諺通りになりました。
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豊穣の加賀を行く - 佐渡島

2017-09-28 12:48:09 | 甲信越
記念館を出て少し走ると、釧路と旭川に次ぐ道中三度目のロータリーが現れ、そこを境に線形が一変しました。松林に囲まれた平坦な快走路が、佐渡の西海岸を彷彿させる、巨岩が屹立する海岸を上下しながら行く道に変わったのです。そして、沖合にはその佐渡島が、これほど近いかと思うほどの距離に迫っています。そして何より驚くのは、人家もなければ交通量もほとんどないこの場所が、まだ新潟市内だということです。
それにしても、粛々と西へ下っていくつもりが、初めて走る海沿いの経路が思った以上に楽しく、この期に及んでまだ50km足らずしか進んでいません。柏崎から先は8号線以外の経路が事実上なくなるため、比較的順調に進んでくれると思うのですが。
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豊穣の加賀を行く - 遠藤実記念館

2017-09-28 12:02:56 | 甲信越
車外に出るのも憚られる風雨が続き、立ち寄るとしても屋内の施設以外に考えられない状況です。しかし渡りに船というか何というか、その屋内施設が現れました。遠藤実記念館です。
文化功労者かつ国民栄誉賞受賞者でもある大家だけに、記念館の類は当然あるのだろうと思っていましたが、それが新潟で唐突に現れるとは思いませんでした。新潟出身ではないものの、少年時代に疎開したことから、少なからぬ縁があるということのようです。
この手の施設を訪ねた経験がないだけに、同種の施設とは比べようがありません。しかし、貧しかった少年時代に始まり、歌手を夢見て上京し、流しをしながら独学で作曲を学んだ下積み時代、昭和30年代から50年代にかけての全盛期、さらには大御所として君臨した晩年に至るまで、昭和を代表する名作曲家の生涯が、無数の杯、盾、賞状、レコードジャケットなどの資料とともに余すことなく記録された、秀逸な展示であるのは分かりました。五千曲ともいわれる全作品が収録されているかは不明ながら、端末の画面を操作することにより作品を視聴できる装置もあり、それぞれの作品には作曲者しか知り得ない裏話が解説として表示されます。これなら一日滞在しても飽きないでしょう。何分辺鄙な場所だけに、どれだけの来館者があるのかは不明ながら、歌謡曲好きには一見の価値ありの施設でした。
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豊穣の加賀を行く - 越後七浦シーサイドライン

2017-09-28 10:45:41 | 甲信越
先を急ぐと申しましたが、8号線を下っていくのも芸がありません。まずは越後七浦シーサイドラインこと国道402号線で柏崎方面へ向かいます。
その名の通り、新潟の市街から日本海をなぞって直線的に進む快走路です。防風林で遮られる区間が多いものの、時折見える日本海は真冬のように荒れ狂っています。撮影しようにも雨風が強すぎ、一瞬たりとも車外に出られないという状況は、北陸新幹線開業前最後の活動を彷彿させるものです。「路面の砂に注意」とツーリングマップルRにある通り、折しも浜辺の砂が風で飛ばされ、砂だらけになっている区間もありました。考えようによってはこの路線の真骨頂を体験できたともいえます。雨の日に海沿いの道など走ってどうなるのかと懐疑的だっただけに、これは思わぬ収穫です。
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豊穣の加賀を行く - 白山駅

2017-09-28 10:01:41 | 甲信越
16時間の航海を終えて新潟に着きました。雨もさることながら風が強く、道内で台風に見舞われた日と比べても大差がありません。新津の鉄道資料館に寄りたかったのですが、この雨風では屋根付きの展示であっても厳しいものがあります。今回は見送って先を急ぐことにしました。
ちなみに、白山駅で国鉄新潟色と一次新潟色の115系6連に遭遇。信越本線に直通し長岡まで走るようです。この雨ではどうにも撮りようがありませんが、もし晴れていれば高速道を飛ばしてでも先回りし、然るべき地点で待ち構えたいところでした。撮影はともかく、最後にもう一度だけ乗りに行くのも一案でしょう。
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豊穣の加賀を行く - レストラン

2017-09-28 07:52:25 | B級グルメ
往路では何度か世話になってきた新日本海フェリーも、復路で乗船するのは初めてです。これは、朝食の時間帯に重なるのが初めてということでもあります。貴重な機会を活かし、本日はレストランで朝食をいただくことにしました。
往路では昼だけレストランを利用してきましたが、これはカレーだけならさほどの割高感がなく、船上のレストランでいただけるという付加価値が大きくなってくるからです。そのカレーが朝食の時間帯に限り500円になっていました。ただし、朝食向けに分量を減らしたというわけではなく、700円する通常のカレーと同じものです。牛丼屋のカレーでも400円近くすることを考えると、これで500円ならお値打ち品といってよいでしょう。
共用の空間が極度なまでに切り詰められる中、このレストランだけは十分な区画が割り当てられ、往路も復路も悠然といただくことができました。この空間が夕食と朝食、合わせて四時間ほどしか使われないというのももったいない話です。営業終了後の食堂が、深夜でも煌々と明かりを灯している光景には苦笑するしかありませんでした。ここを開放してくれれば、船内の居心地は大分違ったものになると思うのですが。現状の接客設備がお粗末すぎるだけに、いずれ改善されることを期待したいものです。
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