日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

本日の晩酌 - 大那

2016-08-23 22:41:55 | 晩酌
栃木の地酒の中でも知名度ではかなり上位の「大那」ですが、過去の記録を繙く限り、酒屋で買ったことは過去一度しかありません。これは、いかにも流行の路線を追求したらしき現代的な味わいが、わざわざ一本買うにあたって決め手に欠けるという事情によるところが大です。しかし限定品となれば話は違ってきます。酒販店の別誂品という物珍しさにつられ、RACINESなる横文字の品を選びました。発売当初は一升瓶のみの予約販売だったところ、頒布会向けに四合瓶も用意し、その一部を小売りに回したというのが実態のようです。
樽酒にも通ずる独特の含み香が非常に印象的です。その香りは冷酒でも熱燗でもほぼ変わることなく保たれ、温めの燗で最も持ち味を発揮します。よく似た酒を挙げるとすればズバリ「不老泉」です。「不老泉」といえば、山廃を主体にした一癖も二癖もある酒が真骨頂であり、万人受けする食中酒を宗とする「大那」本来の路線とはかけ離れています。一見対極とも思える酒を完璧に仕上げてくる懐の深さに、この蔵の実力の一端が窺われました。

★大那 純米吟醸 RACINES
菊の里酒造(栃木県大田原市)
原料米 那須産五百万石
精米歩合 55%
アルコール分 17度以上18度未満
東京都港区 朧酒店にて購入
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