本日の晩酌 - 庭のうぐいす

清涼感はビールで十分とは先人の言葉ですが、蓋し名言と思います。清涼感、軽快さを無闇に追求する結果、端麗で度数の低い、悪くいえば軽薄になりがちな夏場の酒については、常々否定的な見解を述べてきました。しかし近年、それに取って代わる新潮流が起こりつつあるような気がします。度数を保ち、旨味を残しつつも、酸度を上げて切れ味を高め、こざっぱりした味わいを持たせるという手法で、このblogでもおなじみの「明鏡止水」などはその先駆けといってよいでしょう。今季もまたその手の酒に出会いました。「庭のうぐいす」の限定品「いなびかり」です。
夏といえば青い空と白い雲を連想しがちなところ、あえて雷雨にちなんだ命名が心憎く、鶯色のラベルも秀逸です。控えめな香りはヨーグルトをどことなく連想させ、味わいは大胆に形容するなら甘酸っぱく、後味はさっぱりしています。「甘味と酸味が、そして深い味わいが口の中に広がる、まさに濃醇な純米吟醸酒」とされる蔵元による寸評の中でも、「甘味と酸味」がとりわけ印象的な一品です。

★庭のうぐいす いなびかり
山口酒造場(福岡県久留米市)
原料米 麹米：山田錦 掛米：夢一献
精米歩合 50%
日本酒度 0
酸度 2.1
アルコール分 15度
東京都新宿区 鈴傳にて購入