日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

汽車旅in北海道 三日目

2012-12-24 22:18:17 | 居酒屋
二軒目は新規開拓です。宿の近くで鯨料理の行灯を掲げる「とん久」を訪ねます。
釧路に多い木造モルタル二階建ての長屋に構えた店は、三人掛けのベンチシートを二つずつ並べたL字のカウンターのみというささやかさで、角刈りの苦み走った店主が一人で営業しています。カウンターにしても内装にしても、贅沢さや細かい細工はなく、より直裁には安普請といってもよいでしょう。しかし、それにもかかわらず居心地よく感じるのは、古いながらもきれいに磨かれ、使い込まれたものだけがもつ味わいを放っているからで、釧路で心惹かれる呑み屋は総じてこの条件を満たしています。酒と肴にてらいがなく、予算が良心的なところも同じです。立派なカウンター席に腰を下ろして、高価な食材や繊細な味付け盛り付けを楽しむというより、どこにでもある酒と肴をくだけた雰囲気の中で楽しむというのが、釧路の居酒屋の典型的な姿ではないでしょうか。
とはいえ、どこにでもあるというのは必ずしも凡庸ということではありません。酒は賀茂鶴の上等、つまり特別本醸造で、ただ「酒」と頼んで出てくるものとしては一枚格上です。その賀茂鶴の名を入れた染付の徳利も、機能美と実用性を兼ね備えていて心憎いものがあります。

それとともに共通しているのが、呑み屋の店主に訛りがあるということです。札幌で訛りを感じることはまずないのに対して、内地の人間がイメージする北海道弁をそのまま体現したような話しぶりです。そんな訛りを聞きながら、ちびりちびりと酒を汲むのがよいのです。
これは店主の話しぶりから気付いたのですが、道内では気温にいちいち「氷点下」をつけません。たとえば10度といえば氷点下10度に決まっています。たしかに、この時期の北海道でプラスの10度はないわけで、いちいち断らないところに土地柄が現れているようです。 その流儀に従うと、気温は夕暮れ時に10度を切り、明日の明け方には15度まで下がると予想されています。どうりで寒いわけです。しかしこの店のカウンターには仕掛けがあり、ヒーターもないのにカウンターの膝元から暖かい空気が上ってきます。しばれる夜にはありがたい心遣いです。

とん久
釧路市栄町5-2
0154-25-3839
1700PM-200AM(不定休)

賀茂鶴
お通し(鮭なます)
鯨刺身
豚串・ツブ串
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汽車旅in北海道 三日目

2012-12-24 20:41:18 | 北海道
腹ごなしに釧路の街を歩きます。聖夜に浮かれる世間などどこ吹く風といわんばかりに、いつものごとく静まりかえった繁華街が釧路ならではです。川の畔の千島桜は、当然ながら花も葉もすっかり落ちて裸になっています。しかし、枝の先にはごく小さな蕾が。この蕾が厳しい寒さに耐えて花を咲かせるまでには、あと五ヶ月ほどの時間を要します。北海道の冬の長さを実感する光景です。
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汽車旅in北海道 三日目

2012-12-24 19:47:46 | 居酒屋
まずは聖夜にちなんでザンギの専門店「鳥善」を訪ねます。三年前の同じ日、クリスマスのせいなのか見切り閉店で振られてしまったという経験から、今夜の一軒目はこの店以外にないと決めていた次第です。
しかして店先にたどり着くと、待ち構えていたのは無情にも暖簾がしまわれ、袖看板の明かりだけが灯っているという光景でした。またしても同じ轍を踏んだかと一瞬落胆しながらも、だめでもともとと割り切って戸を開けると、店内には二人組の先客が。なんでもイヴは毎年予約制の持ち帰りのみで、店内飲食は断っているところ、今年に限って帯広からの常連客が訪れ、たっての願いで特別に通したのだそうです。結局まんまと便乗に与り目的を達成。とはいえ、彼等がいなければ返り討ちに終わっていたのでしょうから、まさに僥倖だったということになります。
前回花見の折に訪ねたときは食べやすさ重視に走り、あえて二番手と思われる骨なしのザンギを選んだため、今回は迷うことなく真打ちの骨付きを注文します。骨付きといってももも肉ばかりではなく、胸肉、手羽元、手羽先などいくつかの部位が混ざっていて、なるほど味わいに関していえばこちらの方が上です。ザンギは骨付きといわれる理由が初めて得心できました。

鳥善
釧路市栄町2-15 サンプラザビル1F
0154-22-8472
1700PM-2400AM
ザンギ一人前700円
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汽車旅in北海道 三日目

2012-12-24 19:24:22 | 北海道
投宿して一息入れたところで、今年も聖なる夜が始まります。このところ花見の旅で毎年二泊している釧路の街ですが、これは日本列島最後の桜を鑑賞するという本来の目的もさることながら、港町の情緒と古い呑み屋街が秀逸だからでもあるのです。本日は昼前のカレーを最後に飲まず食わずで、頃よく腹も空いてきました。日曜祝日という制約条件に悩まされた昨夜に続き、連休最終日という一抹の不安材料はあるものの、そこは勝手知ったる自分の庭、臨機応変に対応するつもりです。釧路で迎える三年ぶりの聖夜を、はしご酒で祝いたいと思います。
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汽車旅in北海道 三日目

2012-12-24 18:38:00 | 北海道
釧路に着きました。エゾシカの群れに出くわし時折減速するというのどかさが、いかにも道東の旅ならではでした。
さて、列車を降りて驚いたのは、兎にも角にも寒いということです。外気に触れた瞬間から耳たぶが痛くなってくるということは、少なくとも朝方立ち寄った帯広と同じかそれ以上ということになります。これに比べれば、昨晩の札幌の寒さなど何でもありません。うずたかく積もった雪とは裏腹に、寒さに関しては拍子抜けすることが多かった今回の旅ですが、道東まで足を延ばしてようやく本物の寒さを体感できたようです。
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汽車旅in北海道 三日目

2012-12-24 15:56:21 | 北海道
来た道を引き返して釧路に戻ります。冬の北海道の日は短く、夕日は四時を待たずに西の彼方へ落ちました。どこまでもモノトーンだった道北の夕暮れに対して、凛とした冬空が茜色から紫色へと変わり行く光景は、やはり好対照をなしています。

★根室1600/5638D/1819釧路
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汽車旅in北海道 三日目

2012-12-24 15:33:48 | 北海道
根室に着きました。道北の寂寥とした雪景色とは対照的な、道東の乾いた青空が印象に残りました。しかもこれだけ天気がよいと、ただ車窓越しに眺めるだけなのがもったいなく思えてきます。三年前、マイカーで走った冬晴れの道東の景色は新鮮でした。年末年始は九連休、年内最後の土日に会津から足を延ばせば、仙台から苫小牧までフェリーで渡ることも可能です。そう思うと、今度はマイカーでという悪魔のささやきが聞こえてきます。年末年始はおとなしく過ごすつもりでいましたが、この先しばらく葛藤することになりそうです…
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汽車旅in北海道 三日目

2012-12-24 13:13:09 | 北海道
釧路に着きました。わずかな乗り継ぎ時間をはさんで根室へ向かいます。特急列車ばかりを乗り継いできた今回の旅ですが、ここで初めて普通列車の登場です。予想外の雪深さだった十勝に対して、峠を越えて釧路地方に入ると目に見えて雪が少なくなり、所々下草も見え隠れする道東らしい景色が広がっています。その光景を、二重になった小さな窓から眺めるのもまた旅情があってよいものです。

★釧路1311/5635D/1528根室
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汽車旅in北海道 三日目

2012-12-24 11:38:24 | 北海道
二時間ほどの滞在は思いのほか早く過ぎて、後続の列車で釧路へ向かいます。十勝平野は雲一つない快晴です。それが終わって峠を越えれば、今度は太平洋の大海原が広がって、終点まで退屈する間もないでしょう。

★帯広1135/スーパーおおぞら3(4003D)/1303釧路
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汽車旅in北海道 三日目

2012-12-24 11:02:16 | B級グルメ
続いては帯広名物「インデアン」のカレーをいただきます。今回は通ぶって辛口を注文。見た目は全く変わらないというのに、なるほどかなりの辛さです。しかし、このカレー本来の持ち味を活かすという点では、ノーマルか中辛当たりがちょうどよいのかもしれません。この味わい深いカレーはもちろんのこと、吹き抜けの高い天井、教会風の縦長の窓、涙滴の形をした切子のランプシェードなど、店内の造りも凝っていて、MOSと同様帯広では必ず立ち寄りたい店の一つです。

★インデアン まちなか店
帯広市西2条南10丁目
0155-20-1818
1100AM-2200PM(元日休業)
インデアン399円
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汽車旅in北海道 三日目

2012-12-24 09:56:45 | MOS
帯広で下りたのは、朝食がてらこの店に立ち寄るためでした。毎度おなじみモスバーガー帯広駅前店を訪ねます。駅から五分は歩くのに「駅前」を名乗る往年のMOSらしい店名が、今なおぴかぴかに磨かれた赤看板に記されて、その下には"THE MOST DELICIOUS HAMBURGER"の切り抜き文字が。それは十年一日のごとくに変わらないとしても、十勝晴れの青空の下で眺めるとより一層絵になります。一見すると味気ない箱形の建物だというのに、エントランスをくぐったところに造り付けの円卓とカーブを描いたレジカウンターを置くという遊び心も秀逸です。店内には間断なくクリスマスソングが流れ、地元客が代わる代わる訪れてはモスチキンを買い求めていきます。そういえば去年のイヴも朝食は中洲のMOSでとりました。進歩のない人間です…

モスバーガー帯広駅前店
帯広市西3条南10-15
0155-21-2555
930AM-130AM(金曜・土曜・祝前日 -300AM)
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汽車旅in北海道 三日目

2012-12-24 09:30:47 | 北海道
帯広に着きました。雪原に昇る朝日が印象的でした。7時台の列車でなければこんな車窓を眺めることもできなかったのですから、「早起きは三文の得」とはこのことです。
十勝の寒さはさすがで、駅前の温度計が氷点下10度を指しています。昨晩の札幌が氷点下5度と聞いても、さほどの寒さとは思わなかったのに対して、ここまで下がるとさすがに肌を刺すような冷たさです。しかし、これこそ自分が待ちわびていた北海道の寒さでした。これに対して予想外だったのは雪の深さで、掻き捨てられた雪が背丈に近い高さまで積み上がっており、札幌には及ばないとしても、道東としてはかなりのものです。三年前の冬、自走で道東を旅したときは、大半の区間で路面が乾いていました。それに対して今回は、かなりの路面が真っ白で、幹線道路も除雪されたように見えながら、調子に乗って飛ばすと横滑りしかねないような状態になっています。車で来たら大変な目に遭うところでした。
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汽車旅in北海道 三日目

2012-12-24 06:44:28 | 北海道
おはようございます。三日目の朝は、まだ夜も明けきらぬ札幌駅からスタートします。当初の予定より早い出発になったのは、昨晩予告した経路変更によるものです。結論から申しますと、今日は根室まで移動してから釧路に戻って一泊し、明日は網走と旭川を経由して札幌に戻ります。要は今日と明日の経路を逆回りにするということです。これによって、途中で帯広に寄れたり、釧路での滞在時間が前後に拡大されたり、さらには明るいうちに一通りの路線に乗れたりといった利点があるため、二日単位で予定を組み直しました。
こんな変更ができるのも、道内全線乗り放題の「北海道フリーパス」のおかげです。普通乗車券と比べてもさほどの割安感はなかったものの、この切符を選んだのは結果として正解でした。

★札幌703/スーパーおおぞら1(4001D)/919帯広
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汽車旅in北海道 三日目

2012-12-24 00:59:20 | 北海道
本日の全行程終了です。どの店も悪くはなかったものの、かけた時間に対する徒労感がわずかに残る第二夜でした。思い起こせば三月に福岡を訪ねたとき、やはり日曜と祝日に重なって呑み屋の選択肢に困ったことがありました。いかに広大な繁華街といえども、日曜祝日という条件はかなりの制約になるようです。しかし、二晩歩いてすすきのの全容がおぼろげながら見えてきました。明後日は再び札幌に戻ります。二日にわたる踏査の結果はそのときに活かされるでしょう。
明日は釧路で聖夜を迎える予定ですが、一部経路変更を考えています。詳細は明朝。おやすみなさいzzz
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汽車旅in北海道 三日目

2012-12-24 00:26:46 | B級グルメ
初日のスープカリーに続き、二日目はラーメンで締めくくります。訪ねるのはカウンター10席のみの小さな店「信月」です。かんすいを多く使った黄色い麺にチャーシュー、メンマ、ネギ、なると、それにお麩を散らした、稚内と同様シンプルイズザベストの一品で、あっさりした黄金色の塩スープが呑んだ後におあつらえ向きです。

信月
札幌市中央区南五条西3丁目 第4グリーンビル1F
011-533-4844
1500PM-500AM(日曜定休)
しおラーメン680円
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