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moiのブログ~日々のカフェ

北欧&フィンランドを愛するカフェ店主が綴る日々のあれやこれや

Mildebergius

2005-10-28 23:16:36 | コラム、というか
タがないので、なんとなく家に飾られている絵画など紹介してお茶を濁そうとおもう。

わが家には、フィンランドをはじめとする北欧の絵画が何枚か飾られている。これらの絵はたいがい画商である奥さんの趣味で、ときどきこちらの気づかないうちにちがう絵に掛け変えられていたりする。



これはエストニアの画家ミルデベルギウスこと、ユーリ・ミルダバーグの板絵。「キュイジーヌ」というタイトルで、あたまにかぶった帽子はなぜかコーヒーポット!中世の宗教画のような静謐さと世俗的なユーモア、そしてシュールな構想とが奇妙なあんばいで同居している摩訶不思議な作品だ。

ミルデベルギウスの絵をみると、ぼくは何年か前に訪れたエストニアの首都タリンの街を思い出す。異国というよりは、どこか異次元に放りこまれてしまったかのようなあいまいな感じとでも言うのだろうか、そこは摩訶不思議な都市だった。ミルデベルギウスの絵にもまた、見るものを煙に巻くかのようなおなじあいまいな感じがつきまとう。「時間」というものさしも「空間」というものさしも、おそらくそこでは役に立たない。エストニアという国は、ぼくにとってそうした強力な「磁場」として記憶されている。

だから、あいまいな表情を浮かべて絵のなかにたたずんでいるひとびとや動物たちを見ると、ぼくはまるで鏡でじぶんの顔を見ているかのような不思議な心持ちになってしまうのだ。

北の国のコーヒー

2005-10-27 23:13:32 | コラム、というか
ィンランドでは「コーヒー」に困ることはないけれど、「おいしいコーヒー」は飲めないものとあきらめている。

そもそも日本とフィンランドでは、「コーヒー」という飲み物にたいするとらえかたが根本的にちがうのではないか。手元にあった『みちづれ』という三浦哲郎の短編をぱらぱらやっていたら、たまたまこんな《風景》と出会った。

横殴りの雪の中を歩いて連絡船の待合室のたどりついた主人公の姿がそこにある。「雪に濡れた頬をぬぐい、冷えた歯に滲みるコーヒーをちびちびと飲む」。さらに、「コーヒーカップのほとぼりで手を暖めながら、見るとはなしに眺めていると、(以下略)」。

ここに登場するのは、ちがいのわかるオトコやオンナがたしなむ嗜好品としてのコーヒーではない。北に暮らすひとにとってのそれはもっと「実用品」にちかいもの、ときに暖をとったり、長い夜を静かにやり過ごすための、いわば必需品としてのコーヒーなのではないだろうか。

おいしいコーヒーをぼくらが求めている以上に、あるいはフィンランドのひとびとは北に生きるものとしてコーヒーそれじたいを求めているのかもしれない。必需品であればこその「一人あたりのコーヒー消費量世界一」、つくづくそんな気がする。

とんでもない枕が、

2005-10-26 18:38:19 | コラム、というか
んでもない枕があるらしい。そんな話は、以前テレビかなにかで聞き知っていた。枕といえば「テン●ュール」しかり、ぼくらに「快適な眠り」を約束してくれるべきはずのものである。ところが、だ。その枕はまったくの正反対、むしろ快適な眠りを妨げるのが目的であるという。そしてついに、日々この「枕」によって安眠を妨げられているという人物の貴重な「体験談」をきく機会に恵まれた。

そのひとの仕事は「車掌さん」、つまりぜったいに寝坊が許されない職業のひとである。話をきいて、いくつかの事実がわかった。まず、それは「空気まくら」であるということ。そしてもうひとつ、それは「枕」のようなカタチこそしているものの、いわゆるふつうの枕のように使うものではないということだ。どのように使うのかというと、まだ空気の入っていない状態の「それ」を、眠る前に敷き布団のちょうど腰のあたりにセッする。やがて、タイマーがセットされた時間になると自動的に「それ」に空気が送りこまれ、勢いよくふくらむという仕掛けになっているのだそうだ。つまり、眠っているひとはいきなりエビ反り状態になるわけで、そりゃあ眠っているどころではないだろう。「こんな非人道的な起こされ方はない!」、車掌さんは憤っていた。けれども悲しいかな、相手は機械だ。人の道を説いたところで通じるはずがない。

そんな車掌さんの怒りを嗤うかのように、その「枕」は市販されているのだった。しかもそのネーミングのベタさが余計に神経を逆なでするのである。

自動起床装置「おこし太郎」

朝が苦手なひとにはおすすめの逸品である。値段は一台98,000円なり。けれどもたいがいの「朝寝坊」はこう言うだろう。「10万円も出すくらいなら、遅刻して謝ったほうがいい」

つまり、図式化するとこうだ。

車掌さん<「おこし太郎」<遅刻常習犯

憤っているのはまた、「おこし太郎」も同じかもしれない。

「おこし太郎」体験レポートはこちらから。

鬼がわらう

2005-10-25 23:00:32 | コラム、というか
年のことをいうと鬼がわらう、なんて言いますが、先週そして今週と月刊誌の取材をうけていて気づいたのですが、みな12月発売の「1月号」なんですよね。なんか、おかしなところで年の瀬のあわただしい気分を先取りしてしまいました。

きょうのできごと

2005-10-24 23:59:52 | コラム、というか
からずもダブルヘッダーで取材がはいる。

午前の部は、雑誌「スカンジナビアン・スタイル」vol.7。じつは6月にお話をいただいたときにはちょうどこちらが北欧へでかける時期とバッティングしてしまい実現しなかったのだが、担当編集者のKさんがおぼえてくださっていて、今回は無事(?)登場の運びとなった。Kさんからのリクエストは、「スモークサーモンの北欧風タルタルサンド」のレシピを紹介してほしいというもの。ふつうの取材より準備にすこし手間がかかるので、余裕をみて9時半前に店に到着。いい天気。Kさんは以前moiに来てくださっていて、お店の雰囲気を理解したうえでこんな記事にしたいという具体的なプランを提案してくださったので、対応するこちらとしてはとても楽だった。

さて、午後の部は雑誌「moe」1月号(12/3売り)の取材。「ムーミン」特集ということで、「絵本の旅」特集につづき二回目の登場である。moiに棲みついている「ムーミン」もさぞかしよろこんでいることでしょう?!取材に同行したカメラマンのHさんが、予想外の早さで《発見》したのには正直ビックリしたけれど。

店ですこし用事を片づけてから、土曜日までみやまつともみさんが個展を開催されている吉祥寺へ。会場となっているギャラリーfeve さんはとても気持ちよく外光がはいる空間なので、なんとかすこしでも日のあるうちに伺いたいとおもい急ぎ足であるく。日没すれすれセーフ。「椅子」をテーマに、キャンバスをつかった貼り絵と銅版画による「新作」がリズミカルに展示されていてとても心地いい。心地いい空間で、心地よさげな「椅子」の作品を眺めつつみやまつさんとおしゃべりしていたら、うっかりずいぶんと長居してしまった。そんなとき、知り合いの作家さんの展示をたずねてもひとことふたこと気のきいたコトを言ってスマートに立ち去れる格好のいい人間になりたい、といつも思う(・・・無理だろうな)。

吉祥寺では、お客様のSクンがスタッフをつとめるレコードショップに顔を出すのがならわしになっている。これといったものがなかったので何も買わずに出てきてしまったのだけれど、こういうときはなんとなく気まずい。以前は、レコードショップに行って何も買わずに出てくるなんてことはなかったので、手ぶらで店を後にするのが落ち着かないのだ。本屋でこういう気分になることはないのに。衝動買いしなくなったのはオトナになったからなのか、はたまたビンボーだからなのか(まちがいなく、後者)。

外で夕食をすませ帰宅すると、マンションの廊下から西荻方面に白い煙がもくもくと立ちのぼっているのが目にはいる。やがてけたたましいサイレンの響き。どうやら、西荻窪の駅前の古い商店街で火事があったらしい。空気も乾燥するこれからの季節、くれぐれも火の用心、火の用心。

落ち着いたところで、フィン語クラスのSさんのはからいにより、ようやく「ラウマ旧市街(フィンランド)」をとりあげたテレビ番組『世界遺産』を観ることができる。思えば、これが放送された日は例の「集中豪雨」で店にカン詰めになっていたのだった・・・。Sさん、ありがとう。それはそうと、『世界遺産』を観ているとかならず途中で睡魔に襲われるのはどうしてだろう?ずっと緒方直人のせいにしていたのだけれど、寺尾聡でもオダギリジョーでもおなじように睡魔に襲われるところをみるとどうやら一種の「条件反射」かもしれない。このまま「ラウマ」の夢でも見れればよいのだけれど・・・おやすみなさい。

世界美術館紀行~DESIGNMUSEO編

2005-10-22 23:22:13 | コラム、というか
のあいだタンペレの「ムーミン谷美術館」が紹介されたばかりだというのに、こんどはヘルシンキの「DESIGNMUSEO(アート&デザイン美術館)」がNHKの番組『世界美術館紀行』でとりあげられていて、もう鼻血が出そうです。

先日のmoiでおこなったトークイベントに参加してくださったみなさんにとっては、まさにタイムリー。関本さんに熱く語っていただいたアルヴァー・アールトの設計による「パイミオのサナトリウム」が、実際の映像によって紹介されていましたよね。



そして、アールニオ!!!はたして「計算」なのか「天然」なのか・・・まったくもって興味のつきない人物です。とにもかくにも、この番組最大のみどころはお茶目なアールニオってことで異論はないでしょ?

もしうっかり見逃してしまったというひとは、29(土)の再放送でしっかりチェック、チェックです。

せっかくの美貌が・・・

2005-10-14 10:55:45 | コラム、というか
レタ・ガルボです。



スウェーデンから届いた手紙に貼られていた、グレタ・ガルボの切手。消印が顔にかぶさるように押されていて、これじゃせっかくのクールビューティーも台無しです・・・。

ことしはグレタ・ガルボの生誕100年。ちなみにいまは、この夏ぼくも訪れた「森の火葬場」の墓地で静かに眠っています。

読書の秋にちなんで

2005-10-10 23:57:20 | コラム、というか
るご縁で、moiにもたびたびご来店いただいている作家鈴木佐代子さんより、moiのお客さまへということで著書『相続図鑑』をご寄贈いただきました。



この春に上梓された『潮ホテル・グラフィティ』も読ませていただいたのですが、鈴木さんの文体は「水」のようにさらりとしていて、なおかつ静かに心にしみ入ってゆくような余韻が残ります。潔い生き方をつらぬく大人の女性が主人公のこの『相続図鑑』は、女性が読むとよりいっそう強いあこがれと共感を抱くのではないでしょうか?ちなみに、装丁もたいへんきれいです。

そこで「読書の秋」にちなみ、moiでは「ぜひ読んでみたい」という方3名様にこの本をプレゼントさせていただきます

ご応募は「メール」info@moicafe.comにて、「鈴木佐代子さんの本希望」とお書きの上お申し込みください。プレゼントは、先着で3名様。なお大変申し訳ないのですが、ご応募は「moi」まで受け取りにくることのできる方に限らせていただきます。また、「当選」のご連絡は「当選者」のみにさせていただきますのでご了承ください。

秋の夜長、虫の声をBGMに読むのがとても似合う、そんなおすすめの一冊です。ぜひご応募お待ちしております。

10/12追記:受付は終了させていただきました。ご応募ありがとうございました!

NHK「世界美術館紀行」

2005-10-09 23:23:50 | コラム、というか
NHKで放映中の番組「世界美術館紀行」。

10/7(金)には、「ムーミン谷へようこそ~タンペレ市立美術館」が放映されたのですが、みなさんしっかりご覧になられましたか?あ、いや、ぼくはなにをかくそう見逃しちゃいました・・・。直前に、友人がわざわざ出張中のニューヨークからメールで知らせてくれたのですが、時すでに遅し。終わってました。でも、大丈夫!再放送がありますので、見逃してしまったひとはどうぞお忘れなく!

世界美術館紀行「ムーミン谷へようこそ~タンペレ市立美術館」
再放送/NHK総合 10/15(土)午前5:15~5:40(予定)(は、はやい。要録画ですね。)

さてさてもうひとつ、「旅講座」のガイド役でおなじみみほこさんからの情報です。なんと21日(金)の放送では、ヘルシンキの「アート&デザイン美術館」が登場するとのこと!個人的には、あそこの地下(サイン表示がよくないので見逃してしまうひと多数・・・もったいない)、すごく好きです。というわけで、こちらもいまからチェック!チェック!

世界美術館紀行「フィンランド・デザイン美術館」
NHK教育 10/21(金)22:00~22:25(予定)

ちなみにこの日は、「旅講座」(後編)の日です。参加者のみなさんはお忘れのないよう、いまからテレビの横にメモを貼りつけておきましょう?!

アメリカ派?イギリス派?

2005-10-08 23:38:58 | コラム、というか
ょっとお茶でも、と入った喫茶店。目の前に置かれたコーヒーカップやティーカップのセッティングをまじまじと見たこと、ありますか?

じつは、大きくわけて2種類のセッティング方法があるといわれています。まずはこちら、アメリカン・スタイルです。



ごらんのとおり、カップの把っ手が右側になっています。一説によると、カップを回さずともそのまま口へと運べるところが合理的でせわしないアメリカン・スタイルなのだとか。

一方、こちらがブリティッシュ・スタイルです。



ごらんのとおり、カップの把っ手が左側にきています。カップをくるりと回す、そんな余裕にこだわるのがブリティッシュ・スタイルなのだそうで。

じっさいアメリカやイギリスでのセッティングがどうなっているのか知らないのでなんとも言えませんが、アメリカ/イギリスのイメージがどうにも「紋切り型」で、ちょっと眉唾っぽいですね・・・。

さて、ここで問題です。moiでは、どちらのセッテイングになっているでしょうか?

正解は、ブリティッシュ・スタイルです。砂糖やクリームを使われるお客様が、左手でカップをおさえながら右手のスプーンでかきまぜるのに都合がよいだろうという理由から、こちらのスタイルをえらんでいます(全国の「左利き」のみなさん、ゴメンナサイ)。

こんどお茶を飲みにでかけたら、ぜひカップのセッティングにもちょっと気をとめてみてください。