曠野すぐりBLOG 「小説旅日記」

「途中から読んでも内容の分かる連載小説」をいくつか、あと日記を、のんびりと載せていきます。
 

小説・立ち食いそば紀行  朝霞(2)

2011年07月26日 | 立ちそば連載小説
 
《主人公の「私」が、各地の立ち食いそば屋を食べ歩く小説です》
 
 
朝霞(2)
 
すぐに玉子そばができて呼ばれる。私は受け取ると、着席して箸を取った。
 
玉子そばでちょっと失敗したかな、と思う。玉子そばはそばの上に生卵を落とすのだけなので、ハズレのないのが長所だ。しかし汁に同化してしまう具なので、汁を全部飲み干さないともったいないことになる。なので、お腹がすいていないときは苦しいメニューなのだ。汁を飲まなくてももったいないと思わなくてすむ、固定物の具にすればよかった。
 
そんなどうでもいいことを思いながら、私は黙々と食していく。だいたいにおいて、腹がすいていないときに食べる方がどうかしているのだ。そんなヘンテコなことをしている以上、いかなるときも汁を飲み干すぐらい徹底するべきである。
 
ガリレオ八兵衛の麺は歯ごたえがあり、なかなかのものだ。わざわざ来た甲斐があったというものだ。また機会を作って、他のメニューも食べてみたくなった。
 
お客がぽつりぽつりと入って来て、食券を差し出している。この店には煮込みうどんやガリレオそばなど、見るだけでも見てみたいメニューがいくつかあったが、客の注文は天ぷらそばなどの定番メニューだった。
 
食べ終えた私は食器を返却し、表へ出た。この店は表に大きくメニューが貼ってある。私はそれを携帯電話で写すと、駅の階段へと向かっていったのだった。
 
 
(朝霞・おわり)
 

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