曠野すぐりBLOG 「小説旅日記」

「途中から読んでも内容の分かる連載小説」をいくつか、あと日記を、のんびりと載せていきます。
 

〔大井競馬場前〕 寒中ナイター

2011年01月03日 | 呑む・飲む・読む
 
昨年の12月25日、めずらしく土曜日に大井競馬が開催していたので、行ってみた。
 
行くつもりなどなかったので、当日私は神田のMでビールを呑んでいた。
まだ開店前で、カウンターに座って店長としゃべりながらだらだらと呑んでいた。すると運よく、その日の中山大障害が当たってしまった。携帯電話で確認するとかなりの配当。それならばと、急に大井に行く気になってしまったのだった。それにしても、長年競馬をやっていて暮れの大障害が当たったのは初めて。実に長かった。演歌は苦節10年だろうが、私の競馬歴はその倍なのだ。
 
その日の大井はナイター競馬。神田からならすぐなので、私はさらに6時すぎまで呑んで、席を立った。
 
浜松町から東京モノレールに乗って、大井競馬場前で降りる。水際だからか、風が冷たい。私は数分歩いて、逃げ込むように競馬場に入っていった。
建物の手前でプレゼントのタオルをもらい、中に入る。風を受けないので暖かい。
行ってすぐのレースで中穴が的中。来てよかったなぁと思いながらワインバーに入った。寒いのでワインもビールも呑む気がしない。店の雰囲気にはそぐわないが、焼酎のお湯割を注文した。
 
湯気をあげているコップをちびちびやりながら、パドックを観て馬券を購入。店の中にテレビ画面と発売機があるから楽だ。このレースで引き上げるつもりなので、さっきの儲けを全額賭けてしまう。
 
発走間際になったので、ゴール前に向かう。チラッと指定席売り場を見ると、まだ満席になっていない。一瞬指定席に入って最終までやっていこうかなと思ったが、すぐ考えを打ち消す。大障害とさっきのレースで運を使ったのだから、ここでは長くいるだけ損をするだろう。ここは引く一手だ。「まぁそこそこに」が私のギャンブルの姿勢なのである。四暗刻を狙うくらいならトイトイ三暗刻でさらっとあがる。
 
寒い思いをしてゴール前で立ってたものの、そのレースは惜しくもなんともなく、私は競馬場をあとにした。
 
大井競馬場前駅は閑散としていた。競馬場に来る者もいないし、帰る者もいない。エアポケットのような時間だ。快速が通り過ぎていき、それの起こす風が冷たく、私は首をすくめる。
首をすくめた状態のまま数分待ち、モノレールに乗った私は1つめの天王洲アイルで降りる。
人工物だらけで、人のぬくもりを感じさせないようなところだ。こういうところを夜に歩いていると、SFマンガで未来都市にうごめく貧民になったかのように感じる。少し歩いて、りんかい線に乗り換えた。
 
呑んだ途端におしっこで出てしまうからか、寒いときはまったく酔いがまわらない。呑み足りないなぁと感じた私は新宿でKに寄って、お湯割から入り、そしてハイボールを3杯呑んで、帰っていった。