物流王の物流徒然

物流に関するブログです

物流関係の本:お勧めセレクト第四弾

2008-02-28 01:57:19 | Weblog
第4弾はマーケティングの大家、フィリップ・コトラー特集です。
コトラー氏の著作は数多く出版されていますが、私が地元の図書館で借りることができ、ページ数も手ごろなものを、とりあえずとして紹介させていただきます。

●「マーケティング10の大罪」(フィリップ・コトラー)
東洋経済新聞社"Ten Deadly Marketing Sins:Signs and Solutions"
「マーケティングが悪い」のではなく、「実践されているマーケティングが本質からかけ離れている」「マーケティングの理論が実践されていない」状況を、実例を交えながら解説しています。
読めば結構思い当たる節があると思います。「ラテラルマーケティング」の記述もあります。

●「コトラーのマーケティング思考法」(フィリップ・コトラー、フェルナンド・トリアス・デ・ベス)
東洋経済新聞社"Lateral Marketing New Technniques for Finding Breakthrough Ideas"
一番のお勧め。「ラテラル(水平思考)マーケティング」というコトラー氏のコンセプトをわかりやすく解説しています。
「新製品・新市場の作り方」「製品・市場の再定義」を具体例を挙げながら解説しています。
また、その具体的な思考法についても解説しています。
一番読みやすく、頭の体操にもなり、イマジネーションの刺激にも使えます。

●「コトラーのマーケティング・コンセプト」(フィリップ・コトラー)
東洋経済新聞社"Marketng Insights from A to Z: 80 Concets Every Manager Needs to Know"
AからZではじまるマーケティング関連の言葉をテーマに著者が解説します。「一通りマーケティングを学習した人が、大家の意見を聞く」という目的で使うのがよいでしょう。

●「コトラーのマーケティング講義 基本コンセプト300」(フィリップ・コトラー)
ダイヤモンド社"Phillip Kotler's FAQs on Marketing"
一問一答の形式です。抽象的な質疑応答が多いため、「マーケティングの概念をつきつめる」という中・上級者向けです。
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物流と経済:為替リスクの軽減

2008-02-27 06:37:31 | Weblog
輸出入の売買契約から代金決済までには日数がかかります。このせいで為替レートが不利な方向に大きく動くと収益が悪化してしまいます。

このリスクを軽減する方法は幾つかありますが、大きな手法としては「為替先物予約」と「オプションの購入」があります。

「為替先物予約」とは決済時の為替レートを現在のレートで固定するやり方です。銀行との間に売買契約(コントラクト・スリップ)を結びます。
レートを固定してしまうので、リスクは減らせますが、レートが有利な方向に動いてもメリットを享受することはできません。


「リスクは減らしたいが為替変動のメリットは享受したい」という場合に使われるのが「オプションの購入」です。オプション料を払って為替レートを決めます。

オプションとは「通貨を売買する権利」であり、名前の通り権利を使うか使わないかは買った人の選択で(とはいっても為替レートなのでほぼ自動的に)決まります。輸出の場合「プット」、輸入は「コール」オプションを買います。
当然ですが、決済の当日に為替レートが不利になったら「権利行使」、有利になったら「権利放棄」となります。

行使・放棄いずれにしてもオプション料相当分は差し引かれます。
「相場が大きく動くことによるリスクに対する保険」のようなものである、といえます。


オプションは通常は「買い」ですが、「売る」こともできます。この売買を(異なる為替レートで)同時に行うことで、オプション料の支払いを相殺することができます。
売買を同額にするやり方を「レンジ予約」といい、相場のメリットとリスクに上限を設定するやり方です。


ほかにも為替マリー、リーズアンドラグズ、ネッティングなどのリスク回避方法がありますが、輸出入を両方とも行う企業や資金に余裕のある企業、現地法人を持つ企業に限られるため、割愛します。


為替については、参考資料として用いた「貿易実務ハンドブック アドバンスト版」(日本貿易実務協会編、中央書院)に詳しく説明されています。
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物流と経済:為替

2008-02-23 08:17:23 | Weblog
為替レートは為替取引によって常に変動していますが、その取引は「銀行間市場」で行われます。
この市場は、ニュージーランドのウェリントン市場から始まり、シドニー、東京、香港、シンガポール、バーレーン、ロンドン、ニューヨークと移っていきます。
参加者は全世界の銀行、証券会社や為替ディーラーなどで、商社が直接参加することもあります。


銀行間市場の動向を見て、日本時間の午前10時に各銀行「対顧客中値」と呼ばれる決済用の為替レートを決定し、大きな変動がない限りその日1日同じレートとなります。

実際に適用される相場として、対顧客仲値を中心として、輸出用の買い市場、輸入用の売り市場用に銀行マージン・金利・リスクによる料金が為替レートに反映されます。


輸出用にはTTB、A/S(at sight)レート(信用状付D/Pの買取)、信用状なしD/Pの買取レート、D/Aレート、現金買いレートがあります。

TTB(Telegraphic Transfer Buying rate)とは、電信処理(振込みなどの口座処理)で、銀行に立替が生じない場合の相場で、手数料のみが差し引かれた相場となります。送金の決済、D/P・D/A手形の取立てやTTリンバース(銀行間の即時引き落とし請求)許容条件の手形買取に使用されます。

A/Sレートは、TTBから銀行の立替金利(「メール期間立替金利」)を差し引いた相場です。

「信用状なしD/Pの買取」は通常行われませんが、「万が一手形が不渡りになっても輸出者が買い戻せるだけの資金余力がある」と判断された場合行われることがあります。この場合、「リスク負担料」がA/Sレートから差し引かれます。

D/Aレートは、「信用状をつけたD/A手形買取で、輸出者金利負担」の条件です。猶予期間に相当する金利が差し引かれます。

現金買い相場は、電信処理ではなく、実際に手持ちの現金をやりとりする相場です。


輸入用にはTTS、アクセプタンスレート(信用状付D/P決済。D/Aは別途金利が請求されるので、レートには反映されない)、現金売り相場があります。

TTS(Telegraphic Transfer Selling rate)はTTBと同様、「電信処理で銀行の立替が発生しない相場」で、手数料分上乗せされます。

アクセプタンスレートは、TTSにメール期間立替金利を上乗せした相場です。

「信用状」「D/P」「D/A」などの用語については、過去ログを参考にしてください。

なお、通関する際の為替レートは、日経新聞に公表された為替レートの、2週間前の週平均をとり、1週間分のレートとして公示されます。申告した段階で(税関検査・書類審査により輸入許可までに週をまたいだとしても)レートは固定されます。

次回は先物とオプション、為替予約などについて解説します。
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インコタームズと納期管理

2008-02-22 10:13:23 | Weblog
商売をやる上において、国内売り先に売るにあたっての「納期」の問題が出ていますが、「販売納期」と「受取(仕入れ)納期」は異なり、「受け取ってから販売先まで持っていくのに必要な日数」を加味しなければいけません。
そして、「受取」の定義は、インコタームズによって決まります。

例えば、EXWならば「生産完了」、FOBなら「船積み完了」、FCAならば「本船カットまでにCY搬入・通関完了」、DESなら「輸入港までの入港完了」が納期の対象となり、それ以降の物流工程に関しては、輸入者が管理しなければなりません。
したがって、FOB条件で本船の日本到着が遅れた場合は、輸出者に対して遅延損害請求を出すことができません。

注意点としては、C&F、CIFなどでも、「本船手配・海上運送料金は輸出者の責任であるが、引渡自体はFOBと同様本船に積まれた時点で完了する」ということで、つまりはC&F条件で到着納期の指定はできない、ということです。
ただし、契約により「積み替えの禁止」を指示することはできます。
また、足の速い船を使うようにリクエストすることもできるでしょう。

納期管理を「倉庫から倉庫まで一貫」して行うのであれば、契約条件を「EXW」にして、後は複合一貫輸送を担当するフォワーダーを通じて納期管理をする、というやり方が考えられます。

また、「受け入れ倉庫から売り先まで」の物流も合わせて一貫して任せられるようなら、3PLのやり方に近づいている、といえるでしょう。
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港の紹介第三弾:シンガポール

2008-02-16 08:42:16 | Weblog
第三弾はシンガポールです。

東南アジア、マレー半島最南端にある淡路島くらいの大きさの本島と諸島からなる国で、成田から直行便で約6時間、日本との時差は1時間です。
赤道に近く、冬でも暖かい気候です。

ツアーで行って移動が殆ど車だったために地理感覚がなかなかつかめないですが。

本島東に位置しているチャンギ国際空港から地下鉄MRTに乗ってタンジュン・パガー(Tanjong Pagar)駅まで行けばタンジュン・パガーコンテナターミナルの周辺にたどり着きます。


途中、「シティホール(City Hall)」や「ラッフルズ・プレイス(Ruffles Place)」駅(ここら辺が観光の中心部です)からの乗り換えで「マリーナ・ベイ(Marina Bay)」駅まで行くと、観光用のクルーズが出ている港に着きます。
観光の中心部からもタクシーで十分にいける距離です。

午後7時くらいでもまだ明るかったので、ディナークルーズでも海・船・コンテナターミナルの様子がわかります。

ビーチリゾートは東南部で気分が味わえます。
雰囲気としては横浜に近いかな、とも思います。

シンガポールの港はアジアのトランシップ港として有名で、現在は取り扱いの量からアジアのハブ港としての地位を築いています。
観光がてらに寄る事が出来るのがタンジュン・パガーコンテナターミナル(島中央南部)ですが、ほかにも南西部にかけてケッペル、ブラニ、パシールパンジャン、パシールパンジャン新ターミナルなどがあります(「東アジア物流新時代 グローバル化への対応と課題 池上寛・大西康雄編、アジア経済研究所」より)。

コンテナターミナルも世界に誇る国の財産なので、施設を公開したり観光コースに組み入れたりしてもよいのではないか、と思いました。
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