物流王の物流徒然

物流に関するブログです

サプライチェーン全体の在庫

2016-02-10 04:02:51 | Weblog
先日読んだ書籍で印象的な内容があったので紹介します。
ダントツ経営―コマツが目指す「日本国籍グローバル企業」 (坂根正弘著 日本経済出版社)

建機業界でのフロントランナーであるコマツについて元会長が書いた書籍です。
最近は、無人トラックなどのIT機器を組み込んだ重機の遠隔操作が話題となっています。

さて、この本の中で、
「販売代理店に対する売れ行きがよくても、販売代理店が在庫を積みましているだけの可能性があり、本当に最終使用者に売れているのかわからない。その状態では、増産体制に踏み切るのはリスクがある。販売代理店の在庫を把握できれば、サプライチェーン全体の売れ行きがわかり、増産の有無の判断ができる」
という内容の記述がありました。

おそらく、今後主流になっていく考え方だと思います。

一般に、製品は、メーカー=>卸売=>小売=>消費者、という順で流通します。
メーカーが直接取引をするのは卸売であるため、メーカーの持っている情報は、「自分の在庫」と「卸売への販売実績」のみとなります。
したがって、メーカーにとってみれば、「卸売との取引がすべてであり、卸売への売上があがれば『売れ行きがいい』と判断する。卸売から先の流通経路は、メーカーサポートを別とすれば、メーカーにとって預かり知らぬ問題である」という考えが主流でした。

また、卸売にしてみれば、自分たちがどこの会社と取引しているかは企業秘密であり、簡単には公開できない情報でもあります。
当然、我々倉庫業者も、在庫情報や出荷情報は、その在庫の持ち主に対してのみ報告すべきものでもあります。

とはいえ、「販売先の在庫情報」の需要は今後高まってくると予想されます。
ITのプラットフォームが整備され、商慣習もオープンになり、本当の機密情報は外に出ない状態で各在庫が一覧で把握できれば、サプライチェーン全体の在庫を把握することができ、増産/減産/モデルチェンジ等の判断材料になるわけです。

コメント
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