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ノンフィクション  ルポ貧困大国アメリカ

2008-04-11 | 

 


今、話題の本です。

ルポ貧困大国アメリカ   堤 未果  岩波新書  ¥735


「民間に出来ることは民間に」と繰り返し繰り返し、何処かの国の首相が言っていましたね。
その官から民に委譲した結果どうなったか。
先行してそれを実践したアメリカのルポルタージュが、この「ルポ貧困大国アメリカ」です。

私の青春時代、アメリカのイメージは国民は陽気ですべてに恵まれた豊かな、理想の国。
そんな感じだったでしょうか。
教育、福祉、医療、防災、軍事を民営化した結果、アメリカはどうなったのか。

この本を読んで、心底行過ぎた民営化は恐ろしいということがわかりました。
是非、国会議員の方にも読んでもらいたい本です。

民営化するということは効率良く利益を上げるということ。
そこには国民の幸福という視点はほとんど入る余地がない。
企業は利益を上げ、その分底辺の国民はどんどん貧しくなっていっているのです。
そしてその貧困層の人間をねらって軍が勧誘にやってくる。
貧困から逃れるために若者は軍隊に入るが、貧困からの脱出はほとんど困難状況になっている。
2007年時点でアメリカには350万人を越えるホームレスがいて、その3分の1が帰還兵なのです。
その中で退役軍人協会のサービスを受けることが出来るのが20パーセント、残りは何の手立てもなく放っておかれているのです。

豊かであったはずのアメリカはホームレスが溢れ、学生は借金を抱え、高すぎる医療費のために病気になってもまともな治療も受けられない状態になってしまっているのです。

「民間に出来る事は民間に」というのは一見いいことのように感じますが、決して民営化してはいけないものがあるとわかりました。
日本はよくアメリカの後を追っていると言われますが、こんなに国民が不幸になるなるような民営化は真似しないで欲しいです。