路傍のひかりもの

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ノンフィクション  復讐する海

2008-04-05 | 

 

5年前に出た本なのですが、今、色々捕鯨のことが騒がれているので読み返してみました。

1821年2月14日アメリカの捕鯨船ドーフィン号は南米ガラパゴスの西2800キロで漂流するボロボロのホエールボートを発見する。
全長7、5メートルのボートには人骨が散乱して、人間とは思えないような2人の男が人骨を握り締めてうずくまっていた。
救出された男たちは同じナンタケット島の捕鯨船エセックス号の生き残りであった。

このエセックス号が有名な小説「白鯨」の題材になったのです。
1世紀以上にわたってアメリカニューイングランド南岸から38キロにあるナンタケット島は捕鯨産業の中心地であった。
この島は世界の富を独り占めにしたような栄華を誇っていた。
老朽捕鯨船エセックス号は全長26、5メートル、238トン、捕鯨船としては小型の船であった。
その老朽船が体長26メートル、80トンのマッコウクジラに2度にわたって攻撃されたのだ。
船と同じ大きさのクジラにまともに体当たりされては、老朽船はひとたまりもなく、28歳のポラート船長以下20人は3艘のホエールボートに乗って漂流するすることになった。
彼らはやがてバラバラになり漂流した。
激しい飢えと水への渇望。
どんな人間も飢えの前には動物にならなくては生き延びることはできないのでしょう。
彼らの選んだ道は死んだ仲間を食べること。
1820年11月20日に船が襲われてから、およそ3ケ月、20人の乗組員は8人になっていた。

しかし問題は、この漂流は1人の犠牲者も出さずに済んだのではないかということ。
船長が捕鯨をする海域の情報をしっかり集めていれば、太平洋上の島にもっとはやくにたどり着けた可能性が高かったこと。
そして船長には確固としたリーダーシップが必要だったこと。
平時の時は何の問題も起きないが、いざという時リーダーの能力の差がはっきり現れるということなのでしょう。

そういえばこの国のリーダーは、今、大変な難題をいくつも抱えていますが、いったいどのように舵取りをしていくのでしょうか。
なにやら乗っている船が、泥舟という声をどこかで聞いたような・・・・