ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

木取り作業

2013年05月07日 | 木工
五月晴れ、木取り日和。


今後二か月ほどの仕事の木取りをまとめてしています。
ベンチ・イスのセット、下駄箱、TV台、など。

工房の庭に積んである材木を降ろして検分するので、天気を気にしての作業です。
まとまった時間もいるので、半日用事があったりする日にはやりづらい。
日暮れまでの時間も気にします。
暗くなってからは屋内でできる作業に移行できるように段取りします。

今年の春はとても風が強く、雨も少ないので乾燥しています。
切った板を日光や風にに当てておくとすぐに小ひびが入ってきます。
野外で切ったものはすぐに室内に入れるようにします。






長さ3.7m、幅約60cm、厚さ7cmのクルミの板です。
会津から来た丸太でした。
これで長さ2mの下駄箱の天板をとります。

さすがにこのくらいの板になると一人では持ち上がりません。
片側を持ってずり動かす。
工房の建屋から30mの電気リールを伸ばして、
その場で丸ノコを使って切ってから工房内に持ち込みます。






2.1mに切りました。
写真ではそうでもないけれど、室内で見ると大きさが分かります。






こちらは長さ3.6m、幅約45cm、厚さ4.5cmの同じくクルミの板です。
このくらいなら何とか持てます。
重い板が持てなくなったら小物作りに転向しよう。
並べて表裏の傷、虫食いなども検分して必要な部材の大きさ+αに切り分けます。






ベンチ、椅子の木取り。
材は栗。
材木は真っ直ぐの方が使いやすく、値段も高いのですが、
曲がった物を作るのには曲がった材の方がよい場合もあります。
この椅子は幅が12cmほどの板が必要ですが、
への字に曲がっているので直材から作ると繊維が切れてしまいます。
写真の板のようにかなり曲がった板で曲がりなりに木取った方が丈夫なものになります。

逆に、真っ直ぐな板でないと、長い部材は取れません。
木の繊維をなるべく切らないよう取ることが強度を出すためには大事です。



木取りの時にはその板が家具になった時のことを想像して木を選びます。
まずは長い部材、広い部材、よく見えて目立つところに良い材を使うようにします。


一本の丸太から、みな同じような板が取れるわけではありません。
綺麗な木目は比較的皮に近いところに現れます。
しかし皮に近いところは狭い板しか取れません。
芯に近いいところは木目がやや平板で、しかも芯の割れや若木の時の枝の節があります。
一本の丸太から良い板は、ほんの数枚しか取れないのです。
結局、綺麗で広い板は太い丸太からしか得ることができないのです。
因業な話ですけど。

長い材を意味なく切って使ってしまったり、広い板を狭く使ってしまうことももったいないことです。
全く見えなくなってしまうところにいい材を使うことももったいないと思っています。
高くていい材しかない場合も困ってしまいます。
これは私の工房経営の経済的観点からも大事なことです。




そんなわけで丸二日ほど、何十枚という板を降ろし、運び、検分し、
さんざん眺めて悩み、決断し、切り、また運び、
使わない板はまた元のように積み上げてトタン屋根を載せる。
雨がぱらぱら来てあわててシートを掛けたり。
うんとこさ出た薪を片づけたり。

疲れた。
でもいい気分でもある。やり遂げた感。
酒飲みならビールでもキューっと飲むところだろう。







またこんな材の山が工房内にいくつかできた。







庭で作業中、なにか動物が歩いている。





真昼間から狸が歩いている。
病気の様だ。
まともな獣はこんな日中から人目も気にせずうろついたりしない。














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1 コメント

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お疲れさま (斑入り山吹)
2013-05-08 11:01:24
あとで肩と腰をもんであげよう。
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