ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

古材利用の机の制作

2016年01月14日 | 木工
お屋敷を解体した時の床板などをお預かりして机を作りました。





床板は床の間にはまっている板で、幅が90cmくらいあります。
そのお宅の見せ所になるので、たいがい素晴らしい板を使っています。

この床板は松材ですね。





裏はこんな感じ。

「蟻桟(ありざん)」という狂い止めの桟が付いています。





蟻桟を横から見たところ。

この蟻桟はいらないのでで外します。
糊などはついていないので叩けば外れます。






外してみます。
奥が広くなった溝になっているのがわかります。




蟻桟が付くところだけ削って平らにしてあるのが写真を見ていただければわかります。

このように、精度の必要な仕口の部分だけ削ってあるような仕事が昔のものにはよくあります。









この蟻桟には入れた跡がありません。


両側に引き戸の溝があるので、横から桟を入れることができないのです。






実はこのように桟が入っています。
「送り蟻桟」という仕口です。










この板に鉋をかけて平らにします。

木の乾燥が進んで、平らなようでもそれなりに歪んでいるのです。







高いところから削ってきます。


板の幅が広くて機械に入らないので、すべて手削りになります。

人家で使用していた板は砂が入るのか刃こぼれがひどく、何度も何度も鉋を研ぐことになりました。






だいたい仕上がりました。








裏も削ります。


この桟の跡はあえて残します。

取りきると板が薄くなってしまうのと、この板の出自を明らかにしておきたかったからです。

完全にきれいにするより、どこでどのように使われていた材であるかを残しておくためです。












外から見える所だけは溝の穴を木で埋めますが、あえて色の違う板を使って桟の跡を表します。






足になる板はこんな形ですが、、、、





裏はこうなります。
溝の跡が残ります。






天板の裏もこうなります。








組み立てです。





薄い板の足ですので、隅に補強の板が付きます。

切り離した板を利用して当てて圧着します。






塗装をして完成。








こちらは座机。








こちらは普通の高さの机。







木で埋めたところはこのようになります。




きれいな立派な板でしたね。

さすがです。