ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

時計の制作

2014年09月18日 | 木工
夜、仕事をしていたら、虫が飛んできて胸のあたりにとまりました。
ふとその虫を見ると、コオロギです。

コオロギって飛べるの!!!

この歳まで生きてきて、コオロギが飛ぶのを見たことがありませんでした。
こんなに身近にうろうろしているのに。


調べたら、羽化した直後のコオロギは飛べるらしく、その後その羽を自ら取って、鳴けるようになるのだとか。
確かに飛んだコオロギには見慣れない薄い下羽がありました。


驚きました。

写真は撮り損ねました。








さて、時計の文字盤のようなものを作りました。

ご結婚する若いカッブルからのご注文で、一枚の板から3個の時計を作り、ご両親と自分たちと分けて持つのだそうです。
素敵なアイデアですね。
ウェブサイトで私を見つけてくださり、わざわざ都内からお越しくださいました。







これが素材の板です。材はサクラ。

姿がよくて、耳がきれいに残っていて、幅や厚さがちょうどいい板はなかなかないものです。






針の通る穴をあけ、文字盤の丸をコンパスで描きました。
文字盤の位置は真ん中よりやや上にしました。






旋盤に面板を付け、面板にも穴をあけて加工の位置決めにします。






面板の穴にダボを入れ、そのダボに時計の文字盤の穴を差し、大きな洗濯バサミのようなクランプで固定します。

板を回転させて加工するこのような方法は、板の角が高速で回っているので触れると危険です。
過去にこれで指を数針縫う怪我をしたことがあるので、正直ドキドキです。






まわします。
しかしこの固定方法ではクランプがすっとんでいってしまうことが判明。



そこで、片面を加工するときには面板からネジ止め、裏側を削るときにはセンターの穴を利用してボルト締めするように考えました。







おもて面の文字盤の加工が終わりました。
このような不定形でバランスがとれていなものを旋盤加工するのはなかな難しいです。






裏返して、ボルト&ナットで締めて加工材を固定してまた削ります。
こちらの側にムーブメントが付きます。
当然、ボルトのところは削れないのでそのままにし、あとでノミやカンナで削りとることにします。







加工は終わり。
3個並べるとこんな感じ。






スタンドに乗せると立ちます。壁にも掛けられます。






裏側。ムーブメント。
文字盤の部分は厚さが5mmほどです。






並べてみました。




このあとはお客様にお送りし、私の仕事は終わります。
お客様がご自分で字や絵などを描き加え、塗装、ムーブメントと針の組み立てをするそうです。




末永くお幸せであることをお祈りします。