10年後。
32歳になった僕は夢を叶え、綺麗な奥さんと可愛い娘2人に囲まれた、幸せな家庭を築いていた。平凡なサラリーマンでもなければ、離婚間近でもない。
あの日、彼が語った冴えない生活には縁遠い。
これは、彼と話したことで僕の人生が変わったということなのか?あれから僕が必死になって頑張ってきたというのは、確かな事実なのだから。
そうであるのなら、彼は僕の救世主だったわけだ。
だが、それとは異なる存在である可能性も否定できない。
ひょっとしたら彼は単なるウソつきだったのかもしれない。
最近、妻に指摘されて気付いたのだが、僕には“ウソをつく時に鼻の頭を触る”という癖があるらしい。いつからこんな癖が身についたのだろう?少なくとも、22歳の頃には無かったものだ。
あの日、彼が鼻の頭に触れることなく教えてくれた通り、“Radio B●x”は確かに今も健在である。
結局、彼が救世主なのかウソつきなのかは、彼のみが知っているということだ。
つづく。(最終回は10月15日、月曜日に更新予定です)
作:笛吹みずいろ
32歳になった僕は夢を叶え、綺麗な奥さんと可愛い娘2人に囲まれた、幸せな家庭を築いていた。平凡なサラリーマンでもなければ、離婚間近でもない。
あの日、彼が語った冴えない生活には縁遠い。
これは、彼と話したことで僕の人生が変わったということなのか?あれから僕が必死になって頑張ってきたというのは、確かな事実なのだから。
そうであるのなら、彼は僕の救世主だったわけだ。
だが、それとは異なる存在である可能性も否定できない。
ひょっとしたら彼は単なるウソつきだったのかもしれない。
最近、妻に指摘されて気付いたのだが、僕には“ウソをつく時に鼻の頭を触る”という癖があるらしい。いつからこんな癖が身についたのだろう?少なくとも、22歳の頃には無かったものだ。
あの日、彼が鼻の頭に触れることなく教えてくれた通り、“Radio B●x”は確かに今も健在である。
結局、彼が救世主なのかウソつきなのかは、彼のみが知っているということだ。
つづく。(最終回は10月15日、月曜日に更新予定です)
作:笛吹みずいろ