エネルギー作物のプランテーションで森林を大規模に伐採したのでは、かえって二酸化炭素の吸収量が減ってしまうのではという懸念について何度か過去のエントリーで触れてきたが、再生可能なエネルギー、いわゆるバイオ燃料の製造と利用を推進しようという方向へ、昨年頭の一般教書演説でブッシュ大統領が表明したことから大きく舵を切ったかに見えたアメリカで、バイオ燃料より植林を行うほうが温室効果ガス削減に効果が高いとの研究結果が発表されたという。
バイオ燃料より植林に軍配 温室ガス削減効果(中日新聞 2007年8月18日 10時34分)
=== 備忘録(引用)===
【ワシントン17日共同】同じ面積の土地なら、バイオ燃料の原料となる作物を栽培するより植林する方が、温室効果ガスの削減効果が高いとの研究結果を、英国の環境保護団体ワールド・ランド・トラストの研究者が17日付の米科学誌サイエンスに発表した。
研究者は「バイオ燃料を増やすより、休耕地への植林や既存の森林の保全の方が温暖化防止効果がある」と指摘している。
研究では、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)を出すガソリンや軽油をバイオ燃料で置き換えた場合と、CO2を吸収する木を植えた場合のCO2削減量を今後30年間の総量で比較した。
その結果、バイオ燃料のエタノールをサトウキビから生産すると、栽培面積1ヘクタール当たり炭素換算で53-59トン、トウモロコシからでは同12トン、削減できた。
これに対し、休耕地に植林すると熱帯では同120-240トン、温帯では96トン削減でき、「削減効果は植林の方が2-9倍高い」とした。
==============
涼しかった先月までの気候を忘れたかのように、今月に入ってからの酷暑続きを引き合いに出しての人為的地球温暖化論をベースとした報道や特番が繰り返されているが、あまりの情報量の多さに胡散臭さを感じている。
昨晩は、NHKのBS1でアメリカのバイオ燃料事情を紹介しながら地球環境ビジネスの最前線を紹介していたが、アメリカを牛耳る数社のグループ、過去の日本で言うところの財閥が、化石燃料と金融証券市場から環境ビジネスへ稼ぎ口をシフトしたのではと思わせるものだった。
地球特派員2007「アメリカ・動き出した温暖化対策」(NHK・BS1 2007.8.17放送)
=== 備忘録(引用)===
番組内容
温暖化対策に後ろ向きだったアメリカが動き始めた。特派員の伊藤洋一(エコノミスト)がカリフォルニアを中心に省エネ対策やエコビジネスの最前線を取材。ゲスト:金子勝
詳細
温暖化対策に後ろ向きだったアメリカが動き始めた。温暖化の原因が人為的なものとほぼ断定され、サミットでも今後の国際協調が問われる中、市民・行政・産業界は大きく対策に向けてかじを切った。今回の特派員はエコノミストの伊藤洋一さん。カリフォルニアを中心に省エネ対策やエコビジネスの最前線を追うとともに、議会やブッシュ政権の温暖化対策の変化を取材。エネルギー消費大国アメリカの未来を見つめる。【ゲスト】金子勝
出演者ほか
伊藤 洋一, 【司会】金子 勝
==============
しかし、バイオ燃料となればその主役は穀物メジャー。これまで繁栄を謳歌してきた石油メジャーの危機感が、森林を整備して植林をすればバイオ燃料を使うより温室効果ガスの増加を減らせるという宣伝に繋がったのではと思えてくる。
とはいえ、政治や経済などアメリカそのものを牛耳り、世界を牛耳っている人たちにしてみれば、森林整備も資源作物生産によるバイオ燃料製造も、地球の自然環境保護を名目としてビジネスにするという面では同じ。どちらが主導権を握ろうが、彼らの儲けとなることに違いは無い。
そのためには、彼らの仲間が環境ビジネスの主導権を握る技術やシステムを独占する必要がある。そのために、ブッシュ大統領は昨年から国を挙げて環境問題に取り組むと宣言し、彼らの仲間に潤沢な研究開発資金を投入すると約束したのだろう。
これに対抗してヨーロッパも独自技術の開発を進めているが、日本はというと政府の関与は形だけで、民間の努力に任せている状態。
食料とエネルギーという、国の安全保障の根幹に関わる問題だという意識が希薄なのだろう。
そんな中、こうした大きな流れとは関係ないかのように、女子大生らがエコツアーを企画したという。
女子大生らが“エコツアー”企画(スポーツニッポン 2007年08月18日付 紙面記事)
=== 備忘録(引用)===
現役女子大生らが中心となって“エコツアー”を企画、9月4~6日に沖縄・石垣島でマングローブ植樹や海岸清掃を行うことになった。
主に女子大生や専門学校生をターゲットにした雑誌「カレンズ」の読者モデルが発案したもので、抽選で選ばれた70人が参加。新企画を立ち上げる話し合いの中で、「エコで何かやりたい」という一言から始まった。発案者の1人、和洋女子大3年の木下碧唯(あおい)さん(21)は「学生時代に何か真剣に取り組みたかった。かっこいい女はエコにも積極的」。文化女子大2年の増田愛生(あき)さん(20)は「みんなで一緒にできることはないかなと思った」と話す。
5日にはエコライブ「美(ちゅ)ら海物語」が石垣市民会館で開かれ、企画に共鳴した歌手の河口恭吾(32)、D―51らが出演。一般客を含め入場無料で、石垣島の環境保全のために1人500円を寄付する。「地球兄弟プロジェクト」を進めている河口は「環境保全について考えるきっかけとなってくれれば」と話している。
==============
「かっこいい女はエコにも積極的」というフレーズは、自らを同性に対していかにかっこよく見せるかを意識する人たちの関心を呼ぶのではないかとは思うが、世界規模でおこっている環境ビジネスの主導権争いの中では滑稽にも見えてくる。
ちなみに、農水省は使用済み割り箸のバイオ燃料化事業を推進するモデル地区を公募するという。
使用済み割りばし、バイオ燃料に=モデル地区で回収-農水省(yahoo!ニュース 8月18日7時1分配信 時事通信)
=== 備忘録(引用)===
農水省は、レストランなどで大量に廃棄される割りばしを集め、環境に優しい新燃料として期待されるバイオエタノールの原料や、粒状の固形燃料である木質ペレットなどに再活用する事業に2008年度から乗り出す。食用植物以外の素材によるバイオ燃料生産を促進し、食料需給の逼迫(ひっぱく)回避に少しでも役立てたい考えだ。
同省によると、国内で1年間に捨てられる割りばしは約9万トン。全国から複数のモデル地区を公募し、レストランで使用済み割りばしを回収する。また、コンビニエンスストアなどにも割りばしを回収する専用ボックスを設置するほか、ごみの分別対象に割りばしを加えて地域住民の参加も呼び掛ける。
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そのほとんどを中国から輸入している割り箸だが、たしかにせかっく輸入した森林資源、バイオマスをただゴミとして燃やしていたのではもったいない。
割り箸からのエタノール製造はセルロースの高速糖化技術とエタノール醗酵技術を磨き上げるにはいい素材。このプラントをベースに建築廃材や間伐材、草本系セルロース、澱粉、糖といった様々な素材からのエタノール精製を行い、その後の残渣や中間処理で出るガスなどからの有用資源精製を複合させたプラントを作り出せれば、一気に日本がバイオ燃料の分野で主導権を握ることになると思うのだが、日本の各省庁も大学などの研究機関も、個別分野の研究に終始。
小規模複合プラントを日本各地の資源供給可能な地方へ設置するというアイディアは無いようだ。
一人とか一社で利益を独占したいという意識が働くのだろうか?
日本の政治も経済もアメリカのいわゆる財閥に操られているような状況を打破するには、日本がイニシアチブを握れる分野を早急に作り出す国家プロジェクトが必要だ、などとはアメリカの言うことさえ聴いていれば権力の座についていられると考える人たちには浮かんでこないんでしょうね。
石油利権欲しさに中東での紛争を起こして頓挫し原油価格を高騰させ、住宅価格高騰が永遠に続くかのような錯覚からサブプライムローンで低所得層を食い物にしていたものの、さすがに住宅価格が下落を始めて世界中の証券業界を巻き込んでの危機を招いているアメリカだが、彼らはすでに次のターゲットである環境ビジネスでの主導権を握るべく動いており、地球温暖化による恐怖と人為的な原因で地球温暖化が起こっているのだという大宣伝をおこなって、自分たちの主導する環境ビジネスへ大量の金が流れ込む仕掛けを打っているのではないだろうか。
その金とアメリカ政府の援助で急速にバイオ燃料製造の技術が進みインフラ整備が行われれば、彼らは労せずして多額の利益を得ることになる。
バイオ燃料製造で最も重要なのが微生物。遺伝子組み換えにより高温化でも高速でセルロースを糖化したり、糖をエタノールに変える醗酵を高効率で行う微生物をいかに開発するか。加えて、できたエタノールからいかに水分を抜くかという技術。日本でも大学の研究室を中心に研究が行われて入るが、そうした研究発表が行われてから実証プラントで実験が行われるまでに非常に時間が掛かり、その後の実用化までにも時間が掛かる現状では、国の威信をかけているというか自分たちの儲けのために全力を傾けるアメリカに、あっというまに抜かれてしまうのではと思えてならない。
日本の財界も、アメリカ型経済こそがすべてという意識から抜け出て、日本がイニシアチブを持って世界の経済を動かすぐらいのつもりで、日本における環境ビジネス(特にバイオ燃料製造技術の開発や資源作物の改良)への投資を行ってもらいたいものだ。
地域社会との共生が無ければ成り立たない環境ビジネスの世界でイニシアチブを握れるのは、東洋思想的な視点。資源作物を生み出す地域を従来の奴隷国家のように扱っていたのでは、その地域に住み続けたいと考える人がどんどんいなくなってしまい、環境ビジネスは破綻する。
資源作物を生み出す地域もそれを利用する地域も共に幸せになる。そんな考えの無いアメリカを牛耳るグループでは、結局のところ環境ビジネスといいながら地球環境を破壊するだけに終わってしまうのではと思っている。
地球環境を守っていこうとすれば現存する森林などの自然環境を守りつつ生活する人々への富の再配分は必至。豊かな自然のあることが幸福度の高さに繋がれば、南北格差を含めた格差を是正するシステムも構築できる可能性もある。
アメリカを牛耳るグループは、危険な賭けに出たということなのかもしれないが、彼らから主導権を奪うチャンスはおそらく今回が最大で最後のものかもしれない。
新世界秩序が生まれるかどうか。それは日本が環境ビジネスの主導権を握れるかどうかに掛かっている。
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テクノラティプロフィール
バイオ燃料より植林に軍配 温室ガス削減効果(中日新聞 2007年8月18日 10時34分)
=== 備忘録(引用)===
【ワシントン17日共同】同じ面積の土地なら、バイオ燃料の原料となる作物を栽培するより植林する方が、温室効果ガスの削減効果が高いとの研究結果を、英国の環境保護団体ワールド・ランド・トラストの研究者が17日付の米科学誌サイエンスに発表した。
研究者は「バイオ燃料を増やすより、休耕地への植林や既存の森林の保全の方が温暖化防止効果がある」と指摘している。
研究では、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)を出すガソリンや軽油をバイオ燃料で置き換えた場合と、CO2を吸収する木を植えた場合のCO2削減量を今後30年間の総量で比較した。
その結果、バイオ燃料のエタノールをサトウキビから生産すると、栽培面積1ヘクタール当たり炭素換算で53-59トン、トウモロコシからでは同12トン、削減できた。
これに対し、休耕地に植林すると熱帯では同120-240トン、温帯では96トン削減でき、「削減効果は植林の方が2-9倍高い」とした。
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涼しかった先月までの気候を忘れたかのように、今月に入ってからの酷暑続きを引き合いに出しての人為的地球温暖化論をベースとした報道や特番が繰り返されているが、あまりの情報量の多さに胡散臭さを感じている。
昨晩は、NHKのBS1でアメリカのバイオ燃料事情を紹介しながら地球環境ビジネスの最前線を紹介していたが、アメリカを牛耳る数社のグループ、過去の日本で言うところの財閥が、化石燃料と金融証券市場から環境ビジネスへ稼ぎ口をシフトしたのではと思わせるものだった。
地球特派員2007「アメリカ・動き出した温暖化対策」(NHK・BS1 2007.8.17放送)
=== 備忘録(引用)===
番組内容
温暖化対策に後ろ向きだったアメリカが動き始めた。特派員の伊藤洋一(エコノミスト)がカリフォルニアを中心に省エネ対策やエコビジネスの最前線を取材。ゲスト:金子勝
詳細
温暖化対策に後ろ向きだったアメリカが動き始めた。温暖化の原因が人為的なものとほぼ断定され、サミットでも今後の国際協調が問われる中、市民・行政・産業界は大きく対策に向けてかじを切った。今回の特派員はエコノミストの伊藤洋一さん。カリフォルニアを中心に省エネ対策やエコビジネスの最前線を追うとともに、議会やブッシュ政権の温暖化対策の変化を取材。エネルギー消費大国アメリカの未来を見つめる。【ゲスト】金子勝
出演者ほか
伊藤 洋一, 【司会】金子 勝
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しかし、バイオ燃料となればその主役は穀物メジャー。これまで繁栄を謳歌してきた石油メジャーの危機感が、森林を整備して植林をすればバイオ燃料を使うより温室効果ガスの増加を減らせるという宣伝に繋がったのではと思えてくる。
とはいえ、政治や経済などアメリカそのものを牛耳り、世界を牛耳っている人たちにしてみれば、森林整備も資源作物生産によるバイオ燃料製造も、地球の自然環境保護を名目としてビジネスにするという面では同じ。どちらが主導権を握ろうが、彼らの儲けとなることに違いは無い。
そのためには、彼らの仲間が環境ビジネスの主導権を握る技術やシステムを独占する必要がある。そのために、ブッシュ大統領は昨年から国を挙げて環境問題に取り組むと宣言し、彼らの仲間に潤沢な研究開発資金を投入すると約束したのだろう。
これに対抗してヨーロッパも独自技術の開発を進めているが、日本はというと政府の関与は形だけで、民間の努力に任せている状態。
食料とエネルギーという、国の安全保障の根幹に関わる問題だという意識が希薄なのだろう。
そんな中、こうした大きな流れとは関係ないかのように、女子大生らがエコツアーを企画したという。
女子大生らが“エコツアー”企画(スポーツニッポン 2007年08月18日付 紙面記事)
=== 備忘録(引用)===
現役女子大生らが中心となって“エコツアー”を企画、9月4~6日に沖縄・石垣島でマングローブ植樹や海岸清掃を行うことになった。
主に女子大生や専門学校生をターゲットにした雑誌「カレンズ」の読者モデルが発案したもので、抽選で選ばれた70人が参加。新企画を立ち上げる話し合いの中で、「エコで何かやりたい」という一言から始まった。発案者の1人、和洋女子大3年の木下碧唯(あおい)さん(21)は「学生時代に何か真剣に取り組みたかった。かっこいい女はエコにも積極的」。文化女子大2年の増田愛生(あき)さん(20)は「みんなで一緒にできることはないかなと思った」と話す。
5日にはエコライブ「美(ちゅ)ら海物語」が石垣市民会館で開かれ、企画に共鳴した歌手の河口恭吾(32)、D―51らが出演。一般客を含め入場無料で、石垣島の環境保全のために1人500円を寄付する。「地球兄弟プロジェクト」を進めている河口は「環境保全について考えるきっかけとなってくれれば」と話している。
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「かっこいい女はエコにも積極的」というフレーズは、自らを同性に対していかにかっこよく見せるかを意識する人たちの関心を呼ぶのではないかとは思うが、世界規模でおこっている環境ビジネスの主導権争いの中では滑稽にも見えてくる。
ちなみに、農水省は使用済み割り箸のバイオ燃料化事業を推進するモデル地区を公募するという。
使用済み割りばし、バイオ燃料に=モデル地区で回収-農水省(yahoo!ニュース 8月18日7時1分配信 時事通信)
=== 備忘録(引用)===
農水省は、レストランなどで大量に廃棄される割りばしを集め、環境に優しい新燃料として期待されるバイオエタノールの原料や、粒状の固形燃料である木質ペレットなどに再活用する事業に2008年度から乗り出す。食用植物以外の素材によるバイオ燃料生産を促進し、食料需給の逼迫(ひっぱく)回避に少しでも役立てたい考えだ。
同省によると、国内で1年間に捨てられる割りばしは約9万トン。全国から複数のモデル地区を公募し、レストランで使用済み割りばしを回収する。また、コンビニエンスストアなどにも割りばしを回収する専用ボックスを設置するほか、ごみの分別対象に割りばしを加えて地域住民の参加も呼び掛ける。
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そのほとんどを中国から輸入している割り箸だが、たしかにせかっく輸入した森林資源、バイオマスをただゴミとして燃やしていたのではもったいない。
割り箸からのエタノール製造はセルロースの高速糖化技術とエタノール醗酵技術を磨き上げるにはいい素材。このプラントをベースに建築廃材や間伐材、草本系セルロース、澱粉、糖といった様々な素材からのエタノール精製を行い、その後の残渣や中間処理で出るガスなどからの有用資源精製を複合させたプラントを作り出せれば、一気に日本がバイオ燃料の分野で主導権を握ることになると思うのだが、日本の各省庁も大学などの研究機関も、個別分野の研究に終始。
小規模複合プラントを日本各地の資源供給可能な地方へ設置するというアイディアは無いようだ。
一人とか一社で利益を独占したいという意識が働くのだろうか?
日本の政治も経済もアメリカのいわゆる財閥に操られているような状況を打破するには、日本がイニシアチブを握れる分野を早急に作り出す国家プロジェクトが必要だ、などとはアメリカの言うことさえ聴いていれば権力の座についていられると考える人たちには浮かんでこないんでしょうね。
石油利権欲しさに中東での紛争を起こして頓挫し原油価格を高騰させ、住宅価格高騰が永遠に続くかのような錯覚からサブプライムローンで低所得層を食い物にしていたものの、さすがに住宅価格が下落を始めて世界中の証券業界を巻き込んでの危機を招いているアメリカだが、彼らはすでに次のターゲットである環境ビジネスでの主導権を握るべく動いており、地球温暖化による恐怖と人為的な原因で地球温暖化が起こっているのだという大宣伝をおこなって、自分たちの主導する環境ビジネスへ大量の金が流れ込む仕掛けを打っているのではないだろうか。
その金とアメリカ政府の援助で急速にバイオ燃料製造の技術が進みインフラ整備が行われれば、彼らは労せずして多額の利益を得ることになる。
バイオ燃料製造で最も重要なのが微生物。遺伝子組み換えにより高温化でも高速でセルロースを糖化したり、糖をエタノールに変える醗酵を高効率で行う微生物をいかに開発するか。加えて、できたエタノールからいかに水分を抜くかという技術。日本でも大学の研究室を中心に研究が行われて入るが、そうした研究発表が行われてから実証プラントで実験が行われるまでに非常に時間が掛かり、その後の実用化までにも時間が掛かる現状では、国の威信をかけているというか自分たちの儲けのために全力を傾けるアメリカに、あっというまに抜かれてしまうのではと思えてならない。
日本の財界も、アメリカ型経済こそがすべてという意識から抜け出て、日本がイニシアチブを持って世界の経済を動かすぐらいのつもりで、日本における環境ビジネス(特にバイオ燃料製造技術の開発や資源作物の改良)への投資を行ってもらいたいものだ。
地域社会との共生が無ければ成り立たない環境ビジネスの世界でイニシアチブを握れるのは、東洋思想的な視点。資源作物を生み出す地域を従来の奴隷国家のように扱っていたのでは、その地域に住み続けたいと考える人がどんどんいなくなってしまい、環境ビジネスは破綻する。
資源作物を生み出す地域もそれを利用する地域も共に幸せになる。そんな考えの無いアメリカを牛耳るグループでは、結局のところ環境ビジネスといいながら地球環境を破壊するだけに終わってしまうのではと思っている。
地球環境を守っていこうとすれば現存する森林などの自然環境を守りつつ生活する人々への富の再配分は必至。豊かな自然のあることが幸福度の高さに繋がれば、南北格差を含めた格差を是正するシステムも構築できる可能性もある。
アメリカを牛耳るグループは、危険な賭けに出たということなのかもしれないが、彼らから主導権を奪うチャンスはおそらく今回が最大で最後のものかもしれない。
新世界秩序が生まれるかどうか。それは日本が環境ビジネスの主導権を握れるかどうかに掛かっている。
↓いろんな意見を知るのに役立ってます。
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