みやっちBlog

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J2クラブの存在意義

2012年05月18日 17時38分56秒 | スポーツ
今季、Jリーグに正式入会をはたし40番目のチームとしてJ2を戦うことになった松本山雅FC。天皇杯における数々のジャイアントキリングと昨季、松田直樹と契約したことで一躍注目を浴びることになった松本山雅FCだが、現実は現在J2で13位という順位で、ごく普通のサッカーに特に興味のない人や代表の戦いにしか興味のない人にとっては、興味の外にあるチームではある。


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2012年6月8日に発売予定の松本山雅劇場~松田直樹がいたシーズン~<宇都宮徹壱著 カンゼン>で注目の宇都宮徹壱氏がスポナビで「J2漫遊記」というコラムをはじめている。第一回目はFC岐阜編。

このコラムで宇都宮市氏は「J2クラブの存在意義」を探って諸国漫遊するという。

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この初回のコラムで、宇都宮氏は「私が岐阜もしくは松本に対して何らかの帰属意識があれば、問題はない。では一般的なサッカーファンにとっては、J2の14位と22位の対戦(第13節終了時点)に、果たしてどれだけの価値や魅力を見いだすことができるのか」と問題提起をしている。

そういわれて、自分がサッカーやJリーグに興味はあるものの岐阜にも松本にも帰属意識がないと仮定ときに、果たしてゲームを見に行くだろうかと考えてみた。

正直なところ、この仮定は非常に難しい。

なんといっても、スポーツ観戦への入り口がアンチ巨人であり、自らが所属した企業のクラブチームの応援であり、すべてのチームが一堂に会して戦うモータースポーツであることから、帰属意識がないという状況でスポーツ観戦するという想像ができなかったりするためだ。

それでも、あえて帰属意識がないフラットな状態でJリーグの試合を見ようとすれば、やはり宇都宮氏が指摘したように、優勝争いや昇格降格争いといった注目すべき状況がある試合ということになるのだろう。取材対象と考えれば選択は大きく変わってくるが・・・

これは、なにもJ2クラブに限った話ではない。

プロ野球でも、どのチームにも帰属意識がないという前提で、プロ野球を観戦しようと考えたときに、降格制度がないプロ野球で果たして下位争いの試合を観に行くだろうか。

試合そのものを観に行くというのであればそうなのかもしれないが、ライブの楽しみは決してそれだけではないということもまた事実。

阪神タイガースの、あのファンの熱さと甲子園の雰囲気。松本山雅FCのホームであるアルウィンのサポーターの雰囲気は、ライブで味わっていたいと思わせる魅力がある。

加えて、パ・リーグのチームが地道に進めてきた地域密着の活動と同様に、J2の各クラブやJFL、地域リーグのチームが進めている地域密着の活動とスポーツ振興は、それ自体が多いに存在意義を高めている。観客動員に悩むセ・リーグに比べ堅調なパ・リーグを見ると、地道な地域密着の活動というのは無視できないもの。

試合そのものの面白さという点でも、劇的な試合が多い松本山雅FCにはサポーターをひきつけるものがある。

技術的、戦略的なレベルの高さという点でいえば、欧州や南米に比べてJリーグの各クラブともに五十歩百歩。J1だから、J2だからと大きな差があるわけではない。

面白いサッカーを見たいと思えば、お茶の間で欧州や南米の試合を見ていればいいわけで、わざわざスタジアムに足を運ぶというのは、出掛けた先の街の雰囲気を楽しみ、スタジアムの雰囲気を楽しむ、というその周辺まで含めて考えているのではないか。

そこで注目したいのが、サッカー専用もしくは球技専用スタジアムの存在とサポーターや運営をサポートするボランティアの存在だ。

なんといっても、専用スタジアムはピッチとの距離が近く、最も離れているゴール裏スタンド同士でも距離が近い。スタンドで繰り広げられる応援の声がとにかく近い。
加えて、スタジアムの雰囲気を作っているのは、選手のみならずサポーターやボランティアの方々だ。

などとつらつら思い巡らせていたら、そもそも片田舎に住む自分にとってスポーツ観戦に出掛けるということは、地域のチームの試合を観に行くということに他ならないという、至極当たり前のことに気が付いた。

関東や関西近隣の都市部に住んでいれば、公共交通機関を使ってちょっと遠出をするだけで、いくつものスタジアムがあり、なんの帰属意識もないチームの試合を観に行くことも可能だろう。しかし、地方都市や更にそこからも離れた地域に住む者にとっては、スポーツ観戦というのは、遠方まで出掛けるということでもある。

地元や近隣にプロスポーツチームがない状況においては、年に1度やってくるプロ野球の試合だけが、身近に触れられるプロスポーツイベントであり、それすらも数時間をかけなければたどり着けないという地域に住んでいる者にとって見れば、都会へ出掛けることとなんら変わりはない。

しかし、幸いなことに1時間ほどで出掛けられる地をホームスタジアムとするプロスポーツチームが誕生し、しかもJリーグで戦っているとなれば、まったく帰属意識を持たないということの方が難しいのではないだろうか。

そうしてみると、プロスポーツ観戦を身近にし、サッカーに興味を持ってもらう。それだけでもJ2クラブの存在意義があるのではないか。そこからさらに一歩進んで積極的に応援してもらうためにどうしたら良いのか、スタジアムへより多くの人に足を運んでもらうためにはどうすれば良いのか。それは、どうも別の話のような気がしてきた。

ホーム&アウェイで戦うJリーグにおいて、地元のスタジアムで観戦できる試合は、とりもなおさず地元チームのホームゲームなわけで、縁もゆかりもないチームのゲームを観に行くわけではない。

例えば、東京に住む人がFC岐阜と松本山雅FCの試合を見るために岐阜まで出掛けるという状況がどれほどあるのだろう。それがたとえJ2の首位争いであったとしてもだ。
J2ではなくJ1でも同じこと。たとえば鳥栖と札幌が首位争いをしていて、どちらにも帰属意識がない都心の一サッカーファンが、鳥栖まで観戦に出かけるということが、はたしてどれほどあるというのだろう。これはプロ野球でも同じこと。広島と阪神の首位争いを、どちらにも帰属意識のない都心のプロ野球ファンが、はたして広島まで観に行くものなのだろうか。

そう考えてみると、宇都宮氏が提起したJ2の14位と22位のチームによる試合に価値や魅力を見出せるのかという疑問の出発点が、取材者としての視点であることに気が付かされる。もちろん、テレビ観戦をする者にとってみれば、どの試合をチョイスするのかといったときに、J2で14位と22位のチームによる試合というのは、いずれのチームにも帰属意識がなければ、選択肢から外れるであろう事は容易に想像ができる。
これが、もし首位争いであれば選択肢の一つになるであろうことも。

なんだか思考がバラバラになってしまったが、J2クラブの存在意義を考えるヒントが、どうやらJリーグの百年構想にあるのではと思えてきた。



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