すでに先のエントリーで触れたが、農林水産省とバイオマス由来のエタノール燃料の利用促進で主導権争いをしている経済産業省だが、環境省と農水省と共にバイオ燃料への優遇税制導入を要望していく、その具体的な数値が明らかになった。
バイオ燃料に優遇税制=温暖化対策で普及促進-経産省要望へ(yahoo!ニュース 8月14日19時1分配信 時事通信)
=== 備忘録(引用)===
経済産業省は14日、サトウキビなどからできたバイオ燃料の普及を促すため、ガソリン税(揮発油税と地方道路税)を免除する優遇対策を2008年度の税制改正で財務省に要望する方針を明らかにした。地球温暖化防止に有効なバイオ燃料をテコ入れし普及拡大を促す。
バイオ燃料(バイオエタノール)には一般のガソリンと同様、1リットル当たり53.8円のガソリン税が課せられ、輸入価格は70円程度でガソリンより10円ほど高い。現在はガソリンに3%までバイオエタノールを混ぜて売ることが認められるが、一般のガソリンに比べ税込みで0.3円ほど割高となるため、普及拡大が期待しにくい。
このため経産省は環境、農水両省と共同でバイオエタノール混合分(3%)のガソリン税免除を要望する。実現すれば1リットル当たり1.6円の免税となり、トータルでは一般ガソリンより1.3円ほど安くなる計算だ。
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記事からでは、ETBEによる添加剤方式でも直接混合方式でも優遇税制の恩恵を受けられるのかどうかは不明だが、バイオ燃料の供給を輸入にだけ頼っていたのでは、エネルギー安全保障という点からすれば、従来の化石燃料となんら変わりは無い。
さらに、すでに過去のエントリーで何度も触れているが、大規模な森林伐採による資源作物の栽培は本末転倒であるばかりでなく、たとえばブラジルやアメリカでは大豆やレモンの栽培からサトウキビやトウモロコシへの転作が収益面から加速しているというが、食料との競合という面で問題は多い。
こうした問題を解決するには、輸入に頼る国が少しでもエネルギー自給率を高める努力をする必要があるだろうし、そのバイオマス資源も可食部を使わない残渣を利用してのバイオ燃料の自給率をいかに高められるかが課題となってくる。
わらでバイオ燃料 農水省、実用化事業に助成へ(中日新聞 2007年8月15日 朝刊)
=== 備忘録(引用)===
農林水産省は、食料生産と競合しない稲わらを原料とするバイオエタノールの生産を支援する方針を決めた。国内の自動車メーカーなど民間企業が行う実証試験への助成金として、二〇〇八年度予算要求に数十億円を盛り込む。
バイオエタノールの生産は現在、トウモロコシやサトウキビなど食用としても使える穀物を原料としている。このため、エタノール増産が世界的な食料供給の悪化につながり、価格上昇などを招く結果につながった。
この点、稲わらや麦わら、もみ殻など草本系セルロースは食用として使われていない。国内で発生する稲わらなどは年間千四百万トンで、このうち堆肥(たいひ)や家畜の餌などに利用されているのは三割程度。残り七割は放置されており、まとまった原料が確保できるメリットもある。
政府は国産バイオ燃料について、三〇年までに国内で消費するガソリンの一割に相当する年間六百万キロリットルの生産を計画している。
農水省は三分の一近い百八十万-二百万キロリットルを稲わらなどの原料でまかなえる可能性があると期待している。
草本系セルロースからバイオエタノールの生産は微生物を利用して分解・糖化する技術が必要だが、既に実験室レベルでは確立されている。
農水省は、企業のほか、研究機関や農業団体などが実施主体となったモデル地区を全国数カ所に指定。小規模の製造プラントを建設して原料の収集・運搬から、自動車への燃料補給など実用化に向けた一連の事業の確立を急ぐ方針だ。
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すでに、大阪では建築廃材などを原料としたエタノール製造プラントが稼動しているが、草本系セルロースを原料としたプラントはこれから実証プラントが作られるという段階。
国を挙げてスイッチグラスからのエタノール製造を推進しようとしているアメリカと比べると、なんとものんびりした印象を受けるが、そろそろ日本も資源エネルギー庁を省として独立させて、真剣に新エネルギーの自給率アップに国を挙げて取り組まなければならない時代が来ているのではないだろうか。
↓いろんな意見を知るのに役立ってます。
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テクノラティプロフィール
バイオ燃料に優遇税制=温暖化対策で普及促進-経産省要望へ(yahoo!ニュース 8月14日19時1分配信 時事通信)
=== 備忘録(引用)===
経済産業省は14日、サトウキビなどからできたバイオ燃料の普及を促すため、ガソリン税(揮発油税と地方道路税)を免除する優遇対策を2008年度の税制改正で財務省に要望する方針を明らかにした。地球温暖化防止に有効なバイオ燃料をテコ入れし普及拡大を促す。
バイオ燃料(バイオエタノール)には一般のガソリンと同様、1リットル当たり53.8円のガソリン税が課せられ、輸入価格は70円程度でガソリンより10円ほど高い。現在はガソリンに3%までバイオエタノールを混ぜて売ることが認められるが、一般のガソリンに比べ税込みで0.3円ほど割高となるため、普及拡大が期待しにくい。
このため経産省は環境、農水両省と共同でバイオエタノール混合分(3%)のガソリン税免除を要望する。実現すれば1リットル当たり1.6円の免税となり、トータルでは一般ガソリンより1.3円ほど安くなる計算だ。
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記事からでは、ETBEによる添加剤方式でも直接混合方式でも優遇税制の恩恵を受けられるのかどうかは不明だが、バイオ燃料の供給を輸入にだけ頼っていたのでは、エネルギー安全保障という点からすれば、従来の化石燃料となんら変わりは無い。
さらに、すでに過去のエントリーで何度も触れているが、大規模な森林伐採による資源作物の栽培は本末転倒であるばかりでなく、たとえばブラジルやアメリカでは大豆やレモンの栽培からサトウキビやトウモロコシへの転作が収益面から加速しているというが、食料との競合という面で問題は多い。
こうした問題を解決するには、輸入に頼る国が少しでもエネルギー自給率を高める努力をする必要があるだろうし、そのバイオマス資源も可食部を使わない残渣を利用してのバイオ燃料の自給率をいかに高められるかが課題となってくる。
わらでバイオ燃料 農水省、実用化事業に助成へ(中日新聞 2007年8月15日 朝刊)
=== 備忘録(引用)===
農林水産省は、食料生産と競合しない稲わらを原料とするバイオエタノールの生産を支援する方針を決めた。国内の自動車メーカーなど民間企業が行う実証試験への助成金として、二〇〇八年度予算要求に数十億円を盛り込む。
バイオエタノールの生産は現在、トウモロコシやサトウキビなど食用としても使える穀物を原料としている。このため、エタノール増産が世界的な食料供給の悪化につながり、価格上昇などを招く結果につながった。
この点、稲わらや麦わら、もみ殻など草本系セルロースは食用として使われていない。国内で発生する稲わらなどは年間千四百万トンで、このうち堆肥(たいひ)や家畜の餌などに利用されているのは三割程度。残り七割は放置されており、まとまった原料が確保できるメリットもある。
政府は国産バイオ燃料について、三〇年までに国内で消費するガソリンの一割に相当する年間六百万キロリットルの生産を計画している。
農水省は三分の一近い百八十万-二百万キロリットルを稲わらなどの原料でまかなえる可能性があると期待している。
草本系セルロースからバイオエタノールの生産は微生物を利用して分解・糖化する技術が必要だが、既に実験室レベルでは確立されている。
農水省は、企業のほか、研究機関や農業団体などが実施主体となったモデル地区を全国数カ所に指定。小規模の製造プラントを建設して原料の収集・運搬から、自動車への燃料補給など実用化に向けた一連の事業の確立を急ぐ方針だ。
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すでに、大阪では建築廃材などを原料としたエタノール製造プラントが稼動しているが、草本系セルロースを原料としたプラントはこれから実証プラントが作られるという段階。
国を挙げてスイッチグラスからのエタノール製造を推進しようとしているアメリカと比べると、なんとものんびりした印象を受けるが、そろそろ日本も資源エネルギー庁を省として独立させて、真剣に新エネルギーの自給率アップに国を挙げて取り組まなければならない時代が来ているのではないだろうか。
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