なんかこのー  Eso Que・・・ 

下手なスペイン語ですいません
Lo siento por los españoles poble

日本の“孤立化”を目論む醜菌病(しゅうきんぺい)

2015年01月21日 | 日記




ノンフィクション作家の河添恵子女史が月刊正論に書いたレポートを報告します。

習近平の「金融」「資源」覇権戦略を直視せよ 日本の“孤島化”を目論む中国  
2014年11月に北京で開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で、13年ぶりに議長国を務めた中国だが、習近平体制にとっての目玉が「3年ぶりの日中首脳会談」でなかったことは誰の目にも明らかだった。長い時間を割いたとはいえ、米中首脳会談でもなかった。
 一言では、中国が「脱・米欧日主導の国際経済ルール」の看板を掲げ、「金融・貿易・経済分野で中国主導型の枠組みによるアジア太平洋時代」の幕開け(野望!)を宣言したAPECだったと総括できる。同時に、日中首脳会談での安倍晋三総理に対する習主席の千万無礼なもてなしは、日本を今後、ますます“蚊帳の外”にすること、さらにはアジア・太平洋地域において“孤島化”させていく戦略を示唆したと考えられる。
「中国主導型の枠組み」について、APECでは具体的に二つ示された。
 一つ目は、これまで日米が強い影響力を持ち、日本が総裁席を確保してきたアジア開発銀行(ADB)に対抗する、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立である。50%以上を占める500億ドルを中国が出資して、2015年より稼動する見通しのAIIB設立を、米国はあの手この手で牽制してきた。韓国の中央日報(2014年11月10日電子版)によると、米国は7月、韓国のAIIB参加に「深い憂慮」を表明し、「中国がAIIBを政治的に悪用する可能性」が高く、韓国が加入すれば「米韓がこれまで積み重ねてきた、信用関係に影響が及ぶ」との警告メッセージを送ってきたという。
 ジョン・ケリー国務長官の談話として、「ガバナンスと透明性に関して国際基準を満たすよう要請する」「AIIB構想の野心的な性質についての懸念」などと表明し、AIIB支持国との覚書を交わす式典への出席を見合わせるよう、オーストラリア、インドネシア、韓国に働きかけてもきた。そのため、APECに先立ち10月24日に北京で行われた同式典へ3国は欠席し、インド、タイ、マレーシアなど21カ国の代表者が了解覚書(MOU)に署名をした。だが、APEC閉幕日には、インドネシアがAIIB創設メンバーに入ることも報じられている。

 総裁は中国の投資銀行、中国国際金融有限公司(CICC)の金立群前董事長が就任する予定で、ADBの中尾武彦総裁は「AIIB設立について、理解はするが、歓迎はしない」とロイター(北京)にコメントし、さらに「ADBの目的が貧困の撲滅で、AIIBがインフラ支援との誤解があるが、我々の最大の目的はインフラ支援だ」と強調している。とすればAIIBは当面、ADBに対抗する存在になりそうだ。中国は2009年に、3ルートの「国際高速鉄道網計画」--欧亜(欧州--アジア)、中亜(中国--アジア)、汎亜(汎アジア)を公にしているが、今後、アジア各国の鉄道、道路、橋梁、港湾などのインフラ整備が、主に中国資本と中国企業のモノマネ技術、そして人民の労働力で賄われる時代が来るのだろうか。
 そして、APECの2つ目の目玉は、アメリカ主導の環太平洋連携協定(TPP)に対抗し、中国が後押しするアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の議論を加速させることだった。中国はすでに東南アジア諸国連合(ASEAN)との自由貿易協定(FTA)を結んでいるが、この度のAPEC期間中に、韓国との交渉合意に達し、オーストラリアとも早々に妥結する見通しとなった。その先には、陸と海のシルクロードを結ぶ「新シルクロード構想」がある。南シナ海、東シナ海の海洋利権はもちろんのこと、中央アジアまで“経済領土”を拡大させていくことで、中国はさらなる躍進を図っていく算段だ。
 中国が後押しするFTAAPの動きを、やはり牽制する米国は、APEC首脳会議に出席した日本、オーストラリア、メキシコなど12カ国の首脳と、盗聴されない環境の北京の米国大使館で会い、TPPの早期締結を目指すことを合意させた。一方の習主席は、「アジア太平洋地域では自由貿易に向けた取り組みが次々と現れ、困惑を招いている」と暗に米国とTPPを非難し、被害者ぶってみせた。
 工程表「北京ロードマップ」などを盛り込んだ首脳宣言を採択して、APECは閉幕したが、このFTAAPで経済統合を推し進める構想について、習主席は・アジア太平洋の夢・と表現した。「中華民族の偉大なる復興が“中国の夢”だ」と、2013年3月に熱弁したばかりだが、その1年半後のAPECで、アジア太平洋の宗主国へ邁進していくことを高らかに宣言した格好だ。
世界の権力構造の地殻変動
 金融に関して、実はもう一つ中国が主要プレイヤーを演じる新たな銀行設立への動きがある。2014年7月、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国(BRICS)が設立に合意した「新開発銀行」だ。開発途上国におけるインフラ整備の融資が主目的で、資本500億ドルは、発言権を平等に持てるよう5カ国が一律の金額を拠出することになったが、本部は上海に置かれることが決まった。名称が「BRICS銀行」でないのは、チリ、インドネシア、ナイジェリアなど新興国の参入が予定されていることも理由ながら、中国が世界銀行、国際通貨基金(IMF)を凌駕する新たな金融機関で君臨する野望を抱いているからだと考えられる。
 リーマンショック後、米ドルへの信認が揺らいだことを契機に人民元の国際化、基軸通貨化に向けて舵を切り、IMFの切り崩しにも躍起になってきた中国は、2009年8月に500億ドルのIMF債権を購入し、出資比率を6位から日本の次の3位へと浮上させた。その頃、欧米の金融業界で“ミスター元”の異名を持つ国際エコノミスト、朱民・中国人民銀行副総裁(当時)が、「世界の外貨の6割にあたる4兆ドルが中国を中心とする東アジアにあり、IMFが引き続き世界経済への影響力を維持したいのなら改革が必要」と発言するなど、新興国の出資比率拡大をIMFに求めた。世界銀行で6年勤務した経験もある朱民は2011年7月、中国籍で史上初のIMF副専務理事に就任したが、議決権の16.7%を有する米国は、IMFの構造や活動に関する大きな変更について、事実上の拒否権を持っており、「改革案」は米議会の壁に阻まれ続けている。
 世界金融のメインストリームへ殴り込みをかけた中国だが、意のままにならないのなら、ロシアなどと新銀行を立ち上げ揺さぶる方が得策と考えたのか? だが、実のところ追い風もある。IMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事が、最近、IMF本部を米ワシントンから中国の北京へと移転する考えを表明したのだ。世界銀行は米国主導、IMFは欧州主導という不文律があったが、IMFを私物化しつつある米国に対し、影響力を高める新興国のみならず欧州が不満に感じているためだ。中国政府がIMFへ送り込んだ“ミスター元”の工作手腕が、ボディブローのように効いてきたのか。少なくとも“世界の権力構造の地殻変動”が起きているのは確かだ。
 中国政府は14億の人民に対しては「中華民族」「愛国」を強要し、ナショナリズムをとことん煽るが、その本質は究極のグローバリストであり、“新世界秩序=ワンワールド”の覇者すら夢見始めている。