夜な夜なシネマ

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『聯合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実』

2012年01月10日 | 映画(ら行)
『聯合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実』
監督:成島出
出演:役所広司,玉木宏,柄本明,柳葉敏郎,阿部寛,吉田栄作,椎名桔平,
   坂東三津五郎,原田美枝子,中原丈雄,伊武雅刀,宮本信子,香川照之他

大日本帝国海軍の軍人、山本五十六。
彼についての著書がある半藤一利の監修のもと
(新聞記者役にその名前をもじった真藤利一という名前を当て)、
真珠湾攻撃、ミッドウェー開戦を焦点に山本の実像を描いた作品。

昭和14(1939)年の夏。好戦ムードで盛り上がる日本。
破竹の勢いで欧州を席捲するヒトラーと手を組むべきとの世論を受け、
陸軍は日独伊三国軍事同盟の締結を主張するが、海軍次官の山本は異を唱えつづける。
ドイツと結べば、アメリカとの戦争は必至。
アメリカと日本の力の差を見極めている山本は、断固として反対する。

しかし、そんな山本をはじめとする海軍を弱腰だと世間は非難。
世論と海軍の間で、三国同盟締結には至らずとも、流れは断ち切れないでいる。

そんななか、山本は連合艦隊司令長官に就任。
アメリカとの戦争は絶対に回避すべきとの願う山本だったが、
その信念を抑えて、対アメリカ戦の指揮を執ることとなる。

学生の頃、社会の授業は決して嫌いではなかったはずなのですが、
政治にも経済にも歴史にも疎いです。お恥ずかしい。
本作もさして興味があったわけではなく、時間的に合ったから観に行っただけで。

ところが、このときたまたま読んでいた本が、荻原浩の『僕たちの戦争』。
2001年、サーフィンをしに海へ出たフリーターの健太が、大波に呑み込まれて失神。
目が覚めると1944年の世界にタイムスリップしていた。
一方、1944年、霞ヶ浦予科練で飛行訓練をしていた吾一は、雨雲に巻き込まれて墜落。
目が覚めると2001年にタイムスリップしていた。
瓜二つの健太と吾一は入れ替わってしまい、家族も恋人もそうとは気づかないまま、
タイムスリップした時代をそれぞれ過ごすことに。

というお話で、『山本五十六』とかぶる、かぶる。
『山本五十六』では特攻隊のシーンで彼らの表情に泣き、
それを観てから『僕たちの戦争』の続きを読んだらまた涙。

山本五十六の実像と言っても、やはり映画。
いくぶんかは美化されているのでしょうけれど、
こんな指揮官もいたんだなぁと思わずにはいられません。

『孤高のメス』(2010)や『八日目の蝉』(2011)の成島監督。
この監督は、大衆受けするドラマを撮る能力に優れた人だなぁと思います。
役者陣はもぞもぞ喋らないし、感動的なシーンはあくまで感動的に。
音楽は効果的に。原作になくとも映像として美しい見せ場はつくる。
良くも悪くも映画は作り物であるということを生かしている印象があります。

ビックリしたのは零戦パイロット、牧野を演じた五十嵐隼士が、
『パラダイス・キス』(2011)のイザベラ役の俳優だったということ。
どこかで見たことあるなぁと思っていたけど、まさかあの女装の彼とは。(^^;

TVドラマ版『僕たちの戦争』(2006)もDVD化されています。
こちらもどうぞ。

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