ひとり井戸端会議

主に政治・社会・法に関する話題を自分の視点から考察していきます。

タバコ増税は国のお為ごかし

2009年12月10日 | 社会保障関係
日本のたばこ価格、先進国で最低 WHOが報告書(共同通信) - goo ニュース

【ジュネーブ共同】世界保健機関が9日発表した、たばこの健康被害に関する09年版報告書によると、日本の紙巻きたばこの小売価格(1箱当たり)は08年時点で平均3・31ドル(約290円)と主要先進国(7カ国)で最低。7カ国中で最も高かったのは英国で7・64ドル、2位がフランスの7・38ドルと日本の2倍以上。米国は日本に次いで安い4・58ドルだが、州によってばらつきがあるとみられる。



 私は非喫煙者であるが、タバコの増税には反対である。この記事をはじめとしたマスコミのミスリードな点や、多くの人が誤解をしている税率等については、すでにその批判はここでされているので、私は別の視点から書いてみたい。



 そもそも、よりによって増税の対象がどうしてタバコなのか。タバコを増税しなければならない具体的理由は一体何なのか。

 こうした疑問に対し、増税をすれば喫煙者が減るから国民の健康の増進につながる、という主張をよく聞くが、私には説得力をもって聞こえてこない。

 だいたい、タバコには中毒性があり、一度吸い出したら永久的な禁煙は難しいと聞く。だとしたら、いくら値段を釣りあげたところで、国民の健康増進にとって効果的とは言い難い。そのことは、大麻や覚せい剤が禁止されているにもかかわらず、高値で取引され、一向に撲滅されない現状を見ても分かる。

 思うに、国民の健康増進という、一見誰も反対できなそうな旗を掲げて、やろうとしていることは、タバコの中毒性を「活かした」、取れるところから取って税収を確保しようとする魂胆なのだろう。だからタイトルにお為ごかしとつけたのだ。



 タバコを吸うも吸わないも個人の自由だ。タバコを吸う人は、それによって自分の体が悪くなるリスクを負担して吸っている。自己責任である。マナーさえ守れば誰に迷惑をかけているという話でもない。

 それならば、歩きたばこ禁止条例のように、むしろ一定のマナーを法定し、これを守らせ、守らない者には罰金を科し、得られた「収入」を税収のように扱ったほうが効率的である。そうすればマナーと税収のバランスも保てる。

 そもそも、先ほども述べたようにタバコを吸うという行為は個人の自由の領域に属することがらである。国民の健康増進を思うのなら、はっきりとタバコの所持を禁止したほうがまだ理にかなう。

 それを、タバコだけに増税という「フィルター」を通して、間接的に禁煙運動を進めているからタチが悪い。しかも喫煙者から税金を絞り取って国庫を潤わせようというオマケつきで。

 要するに、国がやるべきタバコへの施策は、マナーを守らせることぐらいであり、個人の自由で嗜んでいる者から税金を媒介にしてタバコを奪い取るようなことではない。



 ところで、ナチスは「健康帝国」と呼ばれたほど国民の健康への対策には熱心であり、国を挙げてタバコ撲滅運動を展開していた。

 たとえば、1930年代には、早くもドイツ各地でガンの集団検診を実施して、早期発見の大キャンペーンを行っていたという。しかしながら、ナチスがファシズムであったのは周知のことだ。


 ファシズムは、最初は聞こえのいいことを言って近寄ってくる。日本がファシズムになることはないだろうが、行き過ぎた嫌煙運動とファシズムとは根が同じであり、それは自由の敵であるということを指摘しておきたい。

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