ひとり井戸端会議

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日本を破壊する二人の鳩山 その1 鳩山邦夫

2009年05月19日 | 社会保障関係
鳩山総務相「西川社長を許すつもりは全くない」(朝日新聞) - goo ニュース

 鳩山総務相は17日に千葉市で開かれた全国郵便局長会(全特)の総会に出席し、かんぽの宿売却問題にからんで日本郵政・西川善文社長の経営を厳しく批判した。「今までも許さなかったし、これからも許すつもりは全くない」と述べ、社長続投を認めない姿勢をはっきり示した。
 鳩山氏は、日本郵政がかんぽの宿をオリックス不動産に109億円で一括売却を決めたことは「国民共有の財産を無にする絶対に許し難い行為だ」と発言。「郵政文化を邪魔する者とは正義感をもって闘い抜く」とも語った。



 今、日本を破壊する二人の鳩山がいる。一人は先日民主党の代表に再選した鳩山由紀夫、二人目がその弟の鳩山邦夫である。邦夫の「かんぽの宿売却」問題に関する見解は、全く賛同できない。

 まず、たとえ日本郵政の株を100%財務大臣が所有しているとはいっても、すでに民営化されて株式会社になった会社の人事について、どうして邦夫(政府)が口をはさむことができようか。確かに日本郵政の人事の認可権は総務大臣である邦夫が握っているが、すでに民営化された企業であるのだから、人事に関し口を挟むべきではない。

 それに日本郵政は、取締役候補の決定権を社外取締役が過半数を占める指名委員会が握っている。その指名委員会は、これまで郵政民営化を推進してきた西川善文社長の実績を評価し、続投方針を認めている。したがって、たとえ人事の認可権を総務相が有していようと、それは天皇の国事行為のように、実質的には日本郵政の決定を尊重して追認するような、形式的なものでなければならないはずだ。この認可権は、「総務省は君臨すれども統治せず」と表現できよう。



 そもそも「かんぽの宿」は、竹中平蔵氏によれば、現在でも毎年約50億円規模の赤字を計上している。今年政府が閣議決定した答弁書によれば、「ラフレさいたま」(埼玉県)が約15億6700万円、「かんぽの宿青梅」(東京都)が約7億3000万円の赤字を計上したという。

 したがって、それがたとえ「国民共有の財産」であっても、赤字を垂れ流し、その運営に国民の税金が投入されていることからして、民間への売却は当然であって、非難されるものでは決してない。だいたい、赤字ということは、利用者がいないもしくは限りなく少ないということだ。官僚支配を脱却し、行政のスリム化を図り無駄をなくすには、赤字を垂れ流しているものは売却し、手放すのが摂理である。

 また、邦夫はかんぽの宿を「国民共有の財産」というが、当の国民自身が利用していないのだから、売却することの何が悪いのか、理解できない。財産であっても、それが家計を圧迫していれば、手放すのは当たり前の発想であると思うのだが。赤字施設の放置は、また官僚による天下りや不正の温床を与えることになり、速やかに売却し、赤字を最小限に抑えなければならない。



 ここでこの問題のそもそもの発端について思いだしてみると、事の発端は、日本郵政がかんぽの宿売却にあたり、売却先として規制改革会議の議長を務めたオリックスの宮内義彦会長の名があがっていることをとらえて、野党が「出来レースだ」と批判したことだ。

 しかしながら、これも竹中氏曰く、郵政民営化のプロセスに規制改革会議が関係したことはないし、基本方針を決めたのは経済財政諮問会議であり、制度設計は内閣官房の準備室が行った。その際にいくつかの委員会も作られたが、宮内氏がそのメンバーになったことはなかったのだという。

 ここで思うに、邦夫の論理にしたがえば、政府の会議に民間人が参加した場合、その民間人は会議内容に関する経済活動を制限ないしは禁止されなければならないことになるが、これが果たして有効なことなのか。赤字施設を売却するならば、売却先の選択肢は極力広くしておいたほうがいいのではないか。

 それに、邦夫の理屈が通ってしまえば、会議に参加することによって経済活動の一部が結果として制約されてしまうのだから、民間人で政府の会議に参加しようと思う人など、いなくなってしまうのではないか。それでは政府に優秀なブレーンが終結する機会を、政府自らが排除してしまうことになる。これは果たして国政上、プラスになる話だろうか。



 かんぽの宿一括売却は、かんぽの宿という資産の価値を極力維持したまま、そして短期間に行う上で不可欠の選択だったと考えている。ちまちま売却を行っていれば、その間、かんぽの宿の負債は拡大し、ますます国民に負担としてのしかかってくるからだ。

 野党は刑事告発までしたそうだが、それがオリックスということの、一体何が批判される理由なのか、見当がつかない。だいたい、ここまでの不良資産を一括して買い受ける民間企業など、そう多くはない。一括での買い手が見つかった分、まだよかったと言えるのではないか。



 邦夫は、「ベルトコンベアー式に」死刑囚を処刑していたときが、一番好感が持てたし、「ためになる仕事」をしていたと思う。邦夫の発想は、結局今までの古い体質の、旧態依然の自民党のそれであって、官僚による支配を助長するだけである。鳩山邦夫総務相の速やかな解任を要求する。

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