給付金関連法案、4日に衆院再可決へ 参院委は否決(朝日新聞)
定額給付金の財源2兆円などを確保するための08年度第2次補正予算関連法案が3日、参院財政金融委員会で野党の反対多数で否決された。4日の参院本会議でも否決されるが、同日の衆院本会議で与党によって3分の2以上の賛成多数で再可決され、成立する見通しだ。再議決では、欠席を表明している小泉元首相に、自民党内から同調者がでるかが焦点となる。
麻生首相は3日の参院財金委で、給付金受け取りを明言したことについて「ぶれたとかいろんな話がでてくるが、消費刺激をきちんとやるべきだと思って受け取る」と説明。「景気が厳しい状況で緊急を要する。3分の2を使ってでもやらなければいけない」と、関連法案を再可決する方針を改めて示した。
平成21年度の予算関連法案には、消費税増税方針を付則に盛り込んだというが、果たして今の段階で消費税増税を明確に打ち出すのは適切なことなのか、検討してみたい。
現在は、日に日に弱っていく病人のように、世界的に経済状態は悪化しており、派遣労働者のみならず、正社員の賃金カットは言うまでもなく、正社員の雇用までも維持できなくなり、早期退職を奨励している企業はたくさんあり、挙げだせば枚挙に暇ないぐらいだ。
現に、国民の生活水準を示す指標である消費者物価指数の伸び率は急速なまでに低下し、消費マインドの冷え込みは激しい。しかも、雇用体系の調整を打ち出す企業が次々に出てきており、「明日は我が身」と戦々恐々としている国民は決して少なくない。そんな中での消費税増税方針の表明である。
もしかすると、麻生氏ならびに麻生氏周辺はこのように考えているのではないか。すなわち、所得税などは増税をされれば、それが肌身をもって実感できるが、消費税増税は国民にとって果たして自分がどの程度増税によって負担を負っているか実感が湧かないから、消費税ならば上手いこともっともらしい名目を掲げればアップできるのではないか、と。つまり、国民は実質的な負担がどれぐらいかで判断することはできないので、「負担感」で判断していると考えているのである。
ところで、麻生氏は定額給付金をぶちあげて、批判が一向に収まる気配がないにもかかわらず、これを衆議院の3分の2の勢力による再可決によって実行に移してしまった。しかし反面で、麻生氏は消費税アップも明確にしている。思うに麻生氏のこのような姿勢は、定額給付金の効果を減殺してしまうことになるのではないか。
消費税をアップしたいのであれば、雇用や物価の安定といったマクロレベルでの経済が安定することが不可欠のはずである。しかし現在は誰もが分かっているように、こうしたマクロレベルの経済は安定性を全く欠き、非常に不安定で先行き不透明な状態である。このようなときに消費税をアップすると明言することは、さらにマクロ経済の不安定化を招くことになりかねない。
マクロ経済が非常に不安定な状況下において増税の方針を打ち出すということは、かえって国民の財布が開きにくくなり、税収も減ることになるのではないか。これでは財政の構造改革の失敗は目に見えている。麻生氏は、デフレ下において消費税アップを行った橋本内閣の二の舞を踏むつもりか。
消費税をアップしたいのであれば、マクロ経済が安定し国内経済がデフレから脱却し、雇用や物価が安定してからだ。そうでなければ、かえって不況を長引かせることになってしまう。将来的に消費税増税は避けられないとしても、たとえ3年後のことであっても、それを今明言すべきではない。税収増は見込めず、それどころかかえって税収を減らすことになり、逆効果である。
話をまた定額給付金に戻して。2兆円を定額給付金のために準備したというが、後から消費税増税をするのであれば、いい言い方ではないが、金貸しが12000円を貸し付けて、それを3年後に消費税アップというかたちで下駄履かせて返せと言っているようなものだ。定額給付金とは、国民が利子がべらぼうなカネを貸し付けられたに等しい。
経済状態が全くもって先行き不透明で見通しが立っていない現状において、消費税アップを謳うことは政府にとって自殺行為に等しいことなのではないか。よって、消費税アップは現状において選択肢として全く不適切なものであるということになる。
定額給付金の財源2兆円などを確保するための08年度第2次補正予算関連法案が3日、参院財政金融委員会で野党の反対多数で否決された。4日の参院本会議でも否決されるが、同日の衆院本会議で与党によって3分の2以上の賛成多数で再可決され、成立する見通しだ。再議決では、欠席を表明している小泉元首相に、自民党内から同調者がでるかが焦点となる。
麻生首相は3日の参院財金委で、給付金受け取りを明言したことについて「ぶれたとかいろんな話がでてくるが、消費刺激をきちんとやるべきだと思って受け取る」と説明。「景気が厳しい状況で緊急を要する。3分の2を使ってでもやらなければいけない」と、関連法案を再可決する方針を改めて示した。
平成21年度の予算関連法案には、消費税増税方針を付則に盛り込んだというが、果たして今の段階で消費税増税を明確に打ち出すのは適切なことなのか、検討してみたい。
現在は、日に日に弱っていく病人のように、世界的に経済状態は悪化しており、派遣労働者のみならず、正社員の賃金カットは言うまでもなく、正社員の雇用までも維持できなくなり、早期退職を奨励している企業はたくさんあり、挙げだせば枚挙に暇ないぐらいだ。
現に、国民の生活水準を示す指標である消費者物価指数の伸び率は急速なまでに低下し、消費マインドの冷え込みは激しい。しかも、雇用体系の調整を打ち出す企業が次々に出てきており、「明日は我が身」と戦々恐々としている国民は決して少なくない。そんな中での消費税増税方針の表明である。
もしかすると、麻生氏ならびに麻生氏周辺はこのように考えているのではないか。すなわち、所得税などは増税をされれば、それが肌身をもって実感できるが、消費税増税は国民にとって果たして自分がどの程度増税によって負担を負っているか実感が湧かないから、消費税ならば上手いこともっともらしい名目を掲げればアップできるのではないか、と。つまり、国民は実質的な負担がどれぐらいかで判断することはできないので、「負担感」で判断していると考えているのである。
ところで、麻生氏は定額給付金をぶちあげて、批判が一向に収まる気配がないにもかかわらず、これを衆議院の3分の2の勢力による再可決によって実行に移してしまった。しかし反面で、麻生氏は消費税アップも明確にしている。思うに麻生氏のこのような姿勢は、定額給付金の効果を減殺してしまうことになるのではないか。
消費税をアップしたいのであれば、雇用や物価の安定といったマクロレベルでの経済が安定することが不可欠のはずである。しかし現在は誰もが分かっているように、こうしたマクロレベルの経済は安定性を全く欠き、非常に不安定で先行き不透明な状態である。このようなときに消費税をアップすると明言することは、さらにマクロ経済の不安定化を招くことになりかねない。
マクロ経済が非常に不安定な状況下において増税の方針を打ち出すということは、かえって国民の財布が開きにくくなり、税収も減ることになるのではないか。これでは財政の構造改革の失敗は目に見えている。麻生氏は、デフレ下において消費税アップを行った橋本内閣の二の舞を踏むつもりか。
消費税をアップしたいのであれば、マクロ経済が安定し国内経済がデフレから脱却し、雇用や物価が安定してからだ。そうでなければ、かえって不況を長引かせることになってしまう。将来的に消費税増税は避けられないとしても、たとえ3年後のことであっても、それを今明言すべきではない。税収増は見込めず、それどころかかえって税収を減らすことになり、逆効果である。
話をまた定額給付金に戻して。2兆円を定額給付金のために準備したというが、後から消費税増税をするのであれば、いい言い方ではないが、金貸しが12000円を貸し付けて、それを3年後に消費税アップというかたちで下駄履かせて返せと言っているようなものだ。定額給付金とは、国民が利子がべらぼうなカネを貸し付けられたに等しい。
経済状態が全くもって先行き不透明で見通しが立っていない現状において、消費税アップを謳うことは政府にとって自殺行為に等しいことなのではないか。よって、消費税アップは現状において選択肢として全く不適切なものであるということになる。
また、消費税増税の必要性ですが、少子高齢化が進むことで財政も現行のままでは行き詰まることは明白であります。行政サービスの規模や質を高めること、財政による所得再分配を期待しているのは国民であり、消費税増税は飛躍的に高まっていく財政需要に応える措置として選択肢の一つに挙げられましょう(もちろんブログ主の述べように消費マインドに悪影響を及ぼす可能性があるため時機を見た慎重さが問われます)。総理が期限を切ったのは駆け込み需要を狙ったためかもしれません。
前提条件を報じず、いたずらに政権批判の材料として消費税増税論を用いたことでマインドを悪化させていっているような印象も個人的には感じます。この原因と責任は政権担当者以外に、むしろそれ以上に別の者に問いたい、と私には思われます(そして、よく「タブー」を<当面>の議題としてスケジュールに乗せた、と総理を褒めたい気持ちがあります)。
消費税増税は少子高齢化がこのまま想定通り進行するならば不可避のこととは思いますが、麻生政権が貴殿がご指摘されたように「景気が安定したら」という条件を提示しているとしても、これを今掲げてしまうことには、以下の理由により賛同できないのです。
1、消費税増税を明言してしまうと、財政改革に抵抗する官僚らの思うつぼになる
2、ゆえに「景気の安定」、「財政のムダを省く」といった諸条件が骨抜きにされ、これら条件が成就していないにもかかわらず増税だけが先行する可能性があること
おっしゃるように、確かに消費税増税はタブー視されがちで、これを行うには内閣がいくつか吹っ飛ぶことを覚悟しなくてはならないと言われていますが、私がつまるところ言いたいのは、麻生氏が首相に就任したときから既に景気は悪化の様相を呈しており、この時点で消費税増税を表明して何とかなる景況ではなかった。にもかかわらず消費税増税を明言したのは、完全に時機を見誤っている、ということです。
>前提条件を報じず、いたずらに政権批判の材料として消費税増税論を用いたことでマインドを悪化させていっているような印象も個人的には感じます。
このご指摘は確かに一理あると思いますね。
マスコミ等が麻生内閣のネガティブキャンペーンを行っていることからして、こういう情報はなるべく表に出したくないのでしょう。