うわあ~!前回からなんと2ヶ月半もたってしまいました!いや~ん。はやすぎっ。
はい、庭主、おかげさまで相変わらず日々健やかに過ごしております。
ただ、お正月からこっち、体重の増加を回避するのがなかなか苦しいところ。こう寒いと、ちび庭作業するのも冷えちゃって、そうそうに切り上げこたつに直行。バラやら土作りやら、もう2月も後半なのですが。
そんなコタツムリ生活のお供は、やっぱり読書。最近、金欠も手伝って、図書館に目覚めました。市川市にこんな立派な図書館があったなんて、しらなかった~あ。しかも、最初は普通のガーデニング的「園芸」の書架しか見てなかったんだけど、今頃になって「造園」「花卉生産」「生物学」の書架を発見。おお、あ~るじゃあ~りませんか。多少古いのは仕方がないが、切り花栽培の専門書やら学名に関する資料やら。な~んだ~♬もっと早くから気づいていれば!とにかく、よかっぱよかっぱ!
毎回、マンガも含め8~9冊を抱えて帰ってくる庭主。お正月に読んだ中で一番のヒットはこちら。小埜雅章 著「図解 庭師が読み解く作庭記」2008.5.30、学芸出版社。
「作庭記」というのは、平安時代に書かれたという日本最古の庭作りのバイブル。その内容の大体のところは、庭の本やら、学校の授業や親方の教えなどで折々に学んでおりましたが、原文をきっちり対訳したものを読んだのは今回が初めて。
で、なんと!知らなかったことが!!!
まあ、細かい解釈はいろいろあるのですが、庭作りにおける「禁忌」に、まとまった章を割いている(といっても原本に章はなかったでしょうが…)のを、初めて知りました。
それは、石を立てる位置、方向、大きさ、なんと、色まで。まあ、植栽に関しては見当のつくものばかりでしたが。しかし予想外に、ずいぶん事細かに「避けるべきこと」があり。面白いところでは、「すてきな庭でも、没落した家のデザインは真似すべきでない。同じような運命を呼び込むようなものだ。」なんてのもあるんですよ。
つまり、昔は本当に風水やその土地のいわれというものを大切にして、施主である一家の繁栄の守りを庭に託していたのですね。なんせ、百鬼夜行を防ぐべく、陰陽師が活躍したような平安の世。
その頃の庭とは、単なるお飾りではなく、家に吉祥を呼び込み、反対に入り込む災いを防ぐ、大きな結界。現代でいう「防災システム」であった訳ですねえ。
ちなみに、これだけいろいろ庭の本を読んだり仕事して来たにも関わらず、今まで一つもそんな禁忌など読み聞きしなかったのは、規模も利用目的も人々の生活習慣や心情も違う現代の庭に、そのままこれらのいにしえの禁忌を当てはめるのは、ふさわしくないとされたためでしょう。(そうでなければ、近所を見回しただけでもとんでもないお庭ばかり、というか、そもそも家自体が建てられなくなってしまう…。)今の住宅事情では、せいぜい、鬼門に南天を植えるのがそのなごりでしょうかね。とはいえ、「禁忌」の内容としては道理のあるところもあり、お庭を造っている人は、一度は目を通すと、得られるところもあるかも知れませんヨッ。
いにしえの匠の叡智。とても、刺激的です。
ところで、これらの禁忌を思いっきり外しているような気のする(実際はそうでもありませんが)お庭が、この本を読んでる間中ずう~っと頭に引っかかっておりました。わかります?
それらのお庭を造ったのは、「重森三玲」。京都東福寺光明院や松尾大社のお庭を造られた、昭和を代表する作庭家です。
http://blog.qlep.com/blog.php?categ=1&year=2006&month=11&mesid=62097
http://www.est.hi-ho.ne.jp/shigemori/association-jp.html
何の添えもない、トレードマークともいうべきダイナミックな巨大な立石がずらり。何ともモダンアート的で、見る人を良い意味で心地よく裏切ってくれます。でも、この三玲さんは、日本のあらゆる由緒ある庭園を実測調査しまくった、日本庭園のHowtoには大変造詣の深い方なのです。それゆえに、「なぜ???」、と。
で、またまた借りてしまいました。重森三玲・重森完途著「庭 作る楽しみ観る楽しみ」1992 光風社出版。
いや~。そうかあ。やっぱり、故意に外してるんだな。作庭記を。充分理解した上で、それを超えたものを世に残したかった、という情熱。作庭記をはじめとする伝統や形式に縛られすぎたことで、力を失ってしまった日本庭園の世界に非常な危機感を感じ、古代の神の磐座としての力強い「場」を呼び起こそうとしたと申しましょうか。
いや~、お庭って、ほんとうに、奥深いですねっ。
市川市図書館、使えます。よしよし。マンガの陰陽師も順調に借り進んでおりますよ。庭的にも為になります。ロマンだな~。
☆今日のちび庭気温:1~13℃ 写真は飛梅の子孫。っていったら、わっかるかなあ~?そう、「こちふかば~」って、陰陽師にも出てくる菅原道真さんのかわいがった梅ですね。(^_^)
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