「さあ、カルシファー、こっちへおいで。」
と、黒くなったもみがらの中からスコップの先でつまみ出す。風にさらされた塊は、移された一斗缶の中でめらめらと炎を上げ出した。もちろん、出てきたのはハウルの心臓を飲み込んでる流れ星なんかではなく、いい感じに黒く焼けた炭の置き火。
わかります?そう、燻炭を作っていたのです。圃場で1日かけてもみがらをゆっくりと燃やすのですが、これが案外難しい。単なるたき火の上にもみがらを積んでもこぼれ落ちて火もつかず。道具もない中1斗缶と格闘して、ようやく真っ黒く美しい燻炭が出来たのでした。うわ~い、髪も服も、すっかりスモーキー!
オールリサイクルな土づくり、なるか???
さて。先日、祖母が大往生いたしました。おん年97。庭主に最初に畑仕事を教えてくれた人。これがまた、田舎ながらの大変にぎやかな(!)お葬式でございました。庭主の実家の母屋は、琵琶湖北の小さな町の、数代続く呉服屋。
子は11人。孫、ひ孫に至っては…何人かしら?本当に久しぶりに集まった孫達も懐かしく。
「なんだか、この家、ちっさく見えるねえ。」「子どもの頃は、迷路のような気がしたよね。幾つも部屋がある感じで。」「よくいたずらしたよねえ。」
そうそう。昔は、何人もお手伝いさんがいて、夜遅くまで店の明かりがついて、いつも賑わっていたのよね。祖母がお客さんの相手をしている横で、沢山積まれた衣類やショーケースの間をかき分けるように動き回って、売り物の布団の山に載っては怒られ。
そうそう。良くこの階段からも落っこちたよねえ。厚い踏み板がつるつるに光っていて。裏側の板張りなんか、蹴破っちゃって。
これでも一応、地域の大店(おおだな)だったのよね。今は見るかげもないけれど。交通手段もない頃に、ずいぶん遠くからお客が来ていたんだもの。
そんな母屋の襖を全部取り払い、まわりには沢山のお花が並び、お坊さん達もきらびやかに(こちらも身内)、そして、隣近所のお家には、ご近所の皆様が用意してくださったお清めの手作りのお食事がこれでもか!といわんばかりに豪華に並び。(しかも、朝、昼、晩で!)
ご近所のこんな時の組織力も素晴らしい(てか、慣れてる…)。お持ち帰りのお供えも両手にたっぷり。
ええ、おばの結婚式のときもこんなでしたねえ~。人力車に行列に餅播き付きで。って。そう。うちの親族のお葬式はいつも昔話に花が咲いて笑いが絶えない。もちろん悲しいのだけれど、ほんと、なごやか、というか、客観的に見れば、ほとんどお祭り。
いや~、祖母も、喜んでいることでございましょう。今どき、まあ、こんな郷土色豊かで心のこもった華やかなお葬式に出るのは、もうこれが最後でしょうね~。
いとこ達よ。祖母から受け取ったものを大切に、お互い、体に気をつけて、この時代を生きていきましょうね。日本の近代化で消えていったもの、残ってゆくものを、改めて考えさせられた年明けでございました。
☆今日のちび庭気温:0~6℃ 寒いです。底冷えがします。キッチンにミニホットマットを買ってみましたが、小さすぎたようです。(^^;)