ちび庭日記

借り家住まいのちいさな庭の植物達を中心に、身近に感じたことを載せてゆければいいな~と思っています…(^_^)。

こまねずみな気分

2013年10月30日 | 日記


おかげさまで、先日無事出産しましたjardinです。

ご多分に漏れず、今のところ、1、2時間毎の、泣く→おしめ換える→授乳する→ぐずるのにつきあう→寝る→泣く→おしめ換える→‥‥のルーティンにどっぷりとはまり込んで両手も塞がりっぱなしで身動きできない状態です。

いや、じつにうれしいことでございます。が、やはり眠い。午後になると途端にパワーが落ちて、う~、うごけない‥…。なんとなく、このルーティンの中にいると思い浮かぶのは、巣に餌を運ぶ親鳥やら蜂やらのこと。

かいがいしく、ひたすら餌を求めて飛び立っては狩りをし、巣に帰ってヒナに与えて、また飛び立って。自らのすべてのパワーを尽くして、くるくるくるくると、何十回も、何百回も繰り返す。
誰が教えたでもないのに、自然というのは素晴らしい‥‥。

そうは言っても、紙おむつに粉ミルクに、ゴマンとある子育てグッズに囲まれて、文明の進歩のおかげでなんと恵まれた環境であることよ。昔の人は何にもなくてもちゃんと子どもを育てていたんだからな~。

まあ、仕事であろうが勉強であろうがなんでも生活っていうルーティンの内なんですけどね。時間の単位が大きいか小さいかの違いで。う~ん、でも、少しずつ成長しているっていう意味では正のスパイラルというべきか。

さて。初めての出産入院から帰ってきてみれば、ちび庭のダメージもやはり少々。あ”~。モミジ‘青枝垂’の葉っぱが枯れ枯れ。入院中、10月だというのに、30℃近い真夏日が続いたらしいのよね(病院内では外の天気なんてさっぱり分からない)~。今年こそは美しい紅葉を!と春先から水やりを欠かさなかったのだけれど、残念~。同じように、椿の‘一子’さんも危うい。慌てて給水。そんなもろもろで庭を見る。う~。仕方がない。美しい庭はこれからつくるのだ!!!!!とりあえず、母にチューリップの球根を買ってきてもらって来春を目指そう。

さてさて。せっかくですから、誰かの参考になるかどうか、高齢庭主の唯一の出産経験も書き残しておこうかと。でも、内容がデリケートなので、読みたい方は「続き」をどうぞ(長いです)。

ええっと、庭主、アラフォーと呼ばれるのも最後になろうかというこの歳、ようやく奇跡的にちびちゃんを授かることができました。まだ妊娠するずっと前、妊活が必要なのか???と訪れた産婦人科で「ウチで出産された最高齢」といわれた歳で出産することになろうとは、正直思っていませんでした~。

いや~、もうちょっと簡単に授かると思ってたのよね~。でも、本気で子作りしないとまずい、と思っていたところに仕事上の「ごたごた」が始まってやめようにもやめられない状態で、ただでさえいい年齢だったのに、本当にリミットギリギリになってしまった。1年1年、齢が上がる毎に、気分は絶望的に。本当に、授かったのは奇跡です。皆様に「jardinさんが授かったなんて勇気出る~!」と言われますが、仕事なんてあとからでもできる。まだいけるなんて油断してはいけません。子どもがほしい人は早く妊活してください。

幸い、私は歳のわりにはホルモン値等も順調で、大きなトラブルなく妊娠期を過ごせましたが、なにせ高齢妊婦なので出産は大事を取って大きな総合病院でしてくださいと言われ、某医科大付属の病院に分娩予約をしました。
これも、ベッド数の関係で、妊娠が判明次第即予約しないと閉め切られてしまう状態。あわてて予約に駆けつけて、予約が取れたときは一安心。いざ産もうにもリスクの高い高齢妊婦は受け入れてくれない産所も多いと聞くので必死でした。そんなこともあり、里帰りはせず。

で、たまたま予約した病院では「無痛分娩」のオプションもあるというので、1も2もなく選択。
理由その1:自分の意志に関係なく、痛みにすごく弱いので。若い頃から生理痛がひどく、その度に痙攣、失神を起こし、救急車で運ばれたことも‥歯医者でも気を失ってしまったり。痛みに関して、自分をコントロールする自信が全くなかったのです~。

理由その2:20代の頃、重度のアトピーで日常生活に支障を来す日々を送っておりました。経験から、極度のストレス(体力的にも精神的にも)を受けるとテキメンに重症化していたので(強い苦痛を受けるとヒスタミンが増えるのだろうか‥???)、なるべくそれは避けたかった。

理由その3:高齢出産&実家からも離れており、周りに世話をしてくれる人があまり期待できないので、あとのことも考えてなるだけ体力を温存したかった。

さて、その無痛分娩ですが。
病院によっては陣痛がいつきてもOKの24時間対応の所もあったりしますが、私の入院したところは、対応できる麻酔科医さんの人数もあって、計画無痛分娩でした。

週数は満たしているとはいえ人工的に陣痛を起こすのですから、多少は自然分娩よりも時間がかかるとは聞いていましたが。陣痛促進剤を使い始めて実質3日もかかるとは(いえ、それ以上かかる人もいるのだとか‥逆に、痛みもなく早かったという話も聞くのです)。なんとなく、自分は1日で産めるような気がしていましたが、甘かったですね。

麻酔は、前日に背中から管を入れて。これも、麻酔科医さんがとても上手だったので、全く痛みは感じませんでした。あとは自分で痛いと思ったらボタンを押すと、装着された機械から自動的に麻酔が入っていく。

ただ、ボタンを押してから効くまで30分ほどかかるので、押すタイミングが難しい。全く痛みなしも可能だったのですが、ある程度は陣痛を感じないと、最後のところで息みにくいということだったので、生理痛程度は我慢しようかと。でも、初めてなので30分後どこまで痛くなるのか分からない。

まあ、お産が進むのが遅かったから最初はなかなか痛みが来なかったのもあるのですが、実質麻酔のボタンを押したのは、3日目の最後の方。で、結構産む直前まで痛~いのをこらえていた感じ。「これから本格的に痛くなるからマメに押していい」と言われて押していたら、逆に気持ち悪くなって麻酔の処方を変えてもらうことに。

最後は出口の準備ができたのに肝心の赤ちゃんが降りてこない、というので、もうちょっと遅ければ帝王切開になるところでした。鉗子分娩にはなりましたがなんとか間に合って、ほぼ痛みがない中で、無事に息むことができ(これはきっと造園業をやっていたおかげね)、3日目にしてようやく我が子の顔を見ることができたのでした~。

そうそう、麻酔中は誤飲を防ぐために絶食、水もダメです。点滴をしているおかげで、さほど空腹は感じませんでしたが。1、2日目は夕方には促進剤も麻酔も中断していたので、抜いたのはお昼ご飯だけでしたが、3日目はいつ帝王切開になるか分からなかったので完全絶食でした。

痛みに関しては、麻酔がなければ最後に息む+鉗子分娩なんて私には絶対無理だった~~~~!ほんと、文明の進歩に感謝です(元々私は文明の進歩がなければ生きていられない人間なのよ‥)。おかげさまで、予後もまずまずで、アトピーもダメージはほとんどなく。ほんと、よかった~。

強いていえば、きつかったのは私が閉所恐怖症なところ。
分娩室で陣痛がMAXになるのをひたすら待つ訳ですが、時折助産婦さんが様子を見に来てくれるかつれが面会に来てくれる以外は一人ぽつんといるだけ。おなかのちびのモニターされた心音を聞きながらひたすら待つ。麻酔で足下が危ういのと、体には点滴やら麻酔の管やらモニターケーブルやらがつながっているので、トイレに行くにもナースコールをしてはずしてもらわないとベッドから動けない。ウチの身内は誰一人ケータイを持ってない(!)というのもあって、自分からは連絡することができない。ガーデン雑誌なんかを見て気を紛らわそうとするのですが、閉塞感この上なし。

割と、1時間毎ぐらい誰かが見に来てくれるのですが、も、途中、2時間すぎてもだ~れもこない、窓もなくし~んとした分娩室でパニックになりかけたのを、おなかにちびがいるのだと必死で気持ちを立て直す始末。やっと現れたつれを見て本当に泣きそうでした。終わってみればこれも笑い話ですが、やっぱり、庭師は外が好き。

そんなこんなで、数日余計にかかった出産入院。もっと若かったら‥無痛ならもう一度産もうかなという気になったり(3日かかるのはちょっと考えものだけれど)。ほんと、人間、痛みがなければこわいものってないんじゃないか‥。いやいや、貴重な経験となりました。まずはつれに感謝。実に実に、有り難いことでございます。





TVを消して

2013年08月27日 | 日記


いや~、夜が涼しいのは有り難いですね~。ずっとこのくらいの気温だといいんだけど~。昨日の晩のちび庭気温は18℃でした!秋が来てる来てる~。(でも油断はできない‥。)

ここ数日、夜が涼しいせいもあってか、ちび庭でもずいぶん虫が鳴くようになりました。
ちょっとTVを消して、虫の音に聞き入ってみるのもいい感じ。

キリキリキリキリ。フィ、フィ、フィ、フィ。チリ、チリ、チリ、チリ。
こんな小さな庭なのに、いったい何種類の虫がいるのでしょうか。

こちらのサイトに、いろんな虫の鳴き声が紹介されています。
虫の音world
http://mushinone.sakura.ne.jp
いろいろ聞いてみましたが‥。同じ虫でもシチュエーションによって鳴き方が違うのか、どの虫が鳴いているのか、なかなか探し出せません。何時も鳥でも思うんですが、鳴き声を同定するのって、難しいですね。

虫の声にまぎれて、誰かの口笛やら、犬の鳴き声やら、どこかから流れてくる音楽やら。たまにはTVをつけないってのもいいもんだなあ、と、のんびり。

そういえば、京都にいたときも、妙心寺の東林院で「虫の音を聞く会」というのに行ってみたことがありましたね。あ、ちがった。「梵燈のあかりに親しむ会」だった。沙羅の木で有名なお庭にたくさんの明かりがともされて、静かに虫の音に耳を傾ける、というものでした。お庭に虫の音、空に月。いいですね。

昼間も確かに暑いのですが、ここのところ、日差しが斜めになってきましたね。暑さでバテバテだったちび庭も、もう日陰の領域に入ろうとしています。今年は水やりしかしてないちび庭。鬱金桜がなんとか葉を保ったまま夏を乗り切ってくれそうで、ちょっとほっとしています。

どっこいしょっと。あと少しで臨月。ようやく気温が若干下がって、庭主もやっと巣作り本能が動き始めた模様。ぼちぼちとベビーグッズを置く場所の準備を始めました。ほんとはもっと早くにやっておきたかったんだけど。ん~、おしりがおも~い。でも、まだ昼間は暑いから手を付けるのは夕方になってから。他の人のインテリアブログを見て、やる気を高めております。

ふとベランダを見ると、のたうち回るツルものと‥あれ?なんでこの木葉っぱがないんだろ~。水切れじゃないよね???とおもったら、この暑いのによ~く太ったスズメガの幼虫が。あ~、見なかったことにしよう。よく見るとバッタやら何やらに食われてぼろぼろの植物もあるのですが、全体としてはよく茂っている‥。え?里山を再現してるって?え~っと、それは~‥。そろそろそれぞれの鉢も花の盛りを過ぎ、ほんとはお手入れしたいところ。ちょっとしつこいキーウィの蔓もなんとかしたい‥。う~ん、冬になったら剪定ができるかな~。断捨離を念じ、こんまりさんの、「人生がときめく 片づけの魔法2」も読みつつ、とりあえず、家の中をさっぱりすることに集中します~。「素敵な和風の家」になるのはいつの日か???

☆今日のちび庭気温:18~28℃ おお~。猛暑日&熱帯夜続きだったここ数週間のあとでは、この気温、感慨深いね~。でも、2010年度のちび庭は、9/1に39.5℃を記録していたのだ!!!油断ならじ!(^^;)



待つということ

2013年04月24日 | 日記


お久しぶりでございます、jardinです。このたびようやく妊娠5か月目となり、ず~っとつわりでパソコンに向かうのがつらくて更新できずにおりました。アラフォーと呼ばれるのもあとわずかなところではじめて体験する妊婦生活にとまどいながらも新鮮な毎日です。

そんな中、Qblogさんの閉鎖!ということで慌ててなんとか作業し、ようやくこちらへ「ちび庭日記 文章編」ブログのお引越しができました~!惜しむらくは、まだ閉鎖前だというのになぜか元のブログにログインできず、ブログお引越しの告知ができないこと。まあ、しかたがないですね。

そうですね、最近の生活とは、一言で言うと、ひたすら「待つ」ということ。
病院の待合室で、自分の番が来るまで待つ。
無事に育っているのかどうか、次の検診まで、待つ。
つわりが治まる日を夢見て、ひたすら、待つ。
ほかにも、混雑を避けて空いた電車を待ったり、自分が無理なく動けそうな日や天気や時間帯を待ったり。

最初は、体の調子を整えるのにとまどいました。やはり庭師仕事というのは、相当体力的にハードな部類ですから、そこからいきなり体操も控えるような生活になると、歳も歳だし皮下脂肪ばかり溜まって行くようで、運動不足&不健康なことこの上ない。なにせ、1日1時間しかもゆっくりと歩くのがやっとだなんて!!!

でも、その後つわりのおかげで体重的にはそう極端に増えることもなく。ちび庭も、水やりが精一杯で、ほとんどさわれず。つわりがあけるのを心待ちにしているところ。

それでもいただいたサクラソウはいつの間にか花を咲かせ、ちび庭ではつぎつぎと新芽が開き、緑がみずみずしく育ってゆきます。

何にもできない気がしていたけれど。先日久しぶりに電話したえんげーふくしのーえんでは、ボランティアさんが「jardinさんと育てたダリアを、今年もがんばって植えたのよ~。去年も大評判だったのよ~。」と、嬉しいことを言ってくださいました。

やはりお休みをいただいた緑化会社のほうも、HPを見たら、自分が日頃ささやいていたアイディアがいくつか形になって新しいサービスとして展開されているので嬉しくなってしまいました。

自分では、自分一人ではできないけれど。若いときは、自分がやらなきゃ、その場でできなきゃ、って思いも強かったけれど。

自然は、いつも「時」を待っているんだな。何もできない様な気がしても、じれったい気がしても。待つ力の大きさ。待つともなく待つ。そんな歩み方もあるんだ、と、思うこのごろです。

☆今日のちび庭気温:15~18℃ ようやく冬の寒さを脱したようですね。ここんとこ数日おきに雨が降るので、植物たちが随分嬉しそうです。(^_^)


ジョブスの鼓動。

2011年10月07日 | 日記

ふうっと見ている、小さな光。


やわらかな点滅。かすかな寝息のような。


草の葉にとまった、淡い蛍のような。





…これは、ジョブス氏の鼓動なんだな。


こうして彼の精神は、世界中のMacの中に息づいているんだ。





そう、思わせるような、我が愛しのMacちゃんのスリープLEDランプ。





いや~、世紀の天才が逝ってしまいましたね~。


思えば、私の仕事人生の前半は、ひたすらMacと向かい合う日々だったと言っても過言ではございません。


ちょうど社会人になった頃が、まさにワープロからパソコンへ移行する最盛期でした。ワープロしか使わない上司のデータをMacにうつすために格闘し、その後も深夜まで会社中のMacのご機嫌伺いをする日々。


時には海を越えた地球の反対側まで国際電話やらFaxを駆使して、砂漠のほこりやら回線の不備やらで機嫌を損ねた出張中のMacちゃんをなだめ、日本からパーツを送り。時にはそのパーツを求めて秋葉原を(文字通り)駆けずり回り。


人間らしく拗ねもすれば笑いもするMac。かまってやらないと何時間もフリーズしたかと思えば、細かなメンテで素晴らしく期待に応えた動きをしてくれる。今はフリーズなんて言葉も思い出せないほどに進化しましたが。


拗ねてる間も愛嬌のあるアイコンでその気分を訴えてきたり。思いもかけない隠れた機能で楽しませてくれたり。


その美しいシェイプと人間味のあるインターフェイスは、他の無愛想なパソコンの追随を許さないものでした。


会社の先輩方にもディープなMacマニアが多く、分解やらカスタマイズやら新しい機能やら、どこまでも続くその刺激的な熱い蘊蓄にずいぶん助けられたものでした。


出社してMacちゃんおはよう、とボタンを押すと、じゃ~ん、と、ニコニコアイコンとともにご機嫌に立ち上がるシステム。机の上にずらりとカラフルなMacが並んだあの日。どんどん進化するスペック。おしゃれな箱から取り出した、薄く美しいMacBookの手触り。


新しい機種が出る度のわくわくするあの感動は、あの一人の天才から生み出されたのですねえ。


いつまでも、ジョブス氏の精神がMacとともにありますように。


☆今日のちび庭気温:13~20℃ プランターに蒔いた葉物野菜が発芽してきました。楽しみ~。てか、早くネットかけなくちゃ。(^^;)

くらやみとひかりと

2011年03月27日 | 日記

ん~、そんなにがんがんにあかるくしなくってもいいかなっ、と。


大地震から16日。おかげさまで生活のリズムも元に戻ってきました。


あのあと1週間は電車が不通で職場にたどり着けず。スーパーにもだいぶ物が戻ってき。放射線は…こまりましたね。職場でもハウス栽培だというのに風評害で作物が売れません。早くみんなが安心してお仕事できるようになりたいものです。


それはさておき。


停電のおかげで、良かったことは(もちろん、停電自体はすご~~~く困ります)。


そんなに明るくしなくていいんじゃない?と認識できたこと。


駅の構内や繁華街の電気が半分以下に。


最初は、ちょっと陰気だな、と思ったけれど。まあ、別に問題はない。お年寄りや、視力の弱い方にはつらいのかもしれないけれど。


エスカレーターやエレベーターが止まってるのも、やはり赤ちゃんつれたお母さんや足が悪い人などには大変困るけれど、私はむしろ運動不足解消のために最近極力使ってないし。


いいんじゃないかな~。これを機会に、照明や電気機器のあり方を変えても。


もちろん、弱者のために必要な分は動かすようにして、健常者は極力使わない。ほら、鍛えとかないと、また歩いて帰るはめになったら、体力つけとかないといけないでしょ。


暗くなった街を歩いておもったこと。


暗闇の奥ゆかしさ。京都の暗闇。スペインの光と影。


京都の町が好きなわけは、華やかなにぎわいもあるけれど、そんな町の路地のふとした闇の、そのあやしさ。あのすだれ越しの奥には、何があるのだろう、と思わせる、そんな闇。


そういえば、京都の町家では、昔は暗がりの深さが自慢だったとも聞いたことが。


表からは深い家の奥で、そう灯をともしもせずに、坪庭からの明かりばかりをたよりに針仕事をする。玄関をくぐって、人がいるのかしら?と思いながら声をかけると、暗い廊下の向こうからおばあさんが顔を出す。ようこんな暗いところで、と思うところで平気ですごされる。


でも、だからこそ、丸く穿った竹格子の窓の、微妙な光の色を見る。


坪庭の緑の、瑞々しい色の変化を知る。黒々とした柱の、年季の入った艶を慈しむ。京都の闇はあやしくて、息をひそめれば、千年も昔の人々の衣擦れさえ聞こえそうな気がする。そして闇が深ければ深いほど、豪奢に散りばめられた金襴は、いっそうその蜜の色の輝きを増す。


きっとおばけもいたろうさ。そんな気にさせる、やさしく深い闇。


そんな魅力的な闇なら、いいよなあ。


そして、若い頃学んだスペイン語。"Sol y Sombra" ー スペインは、光と影の国。


もっともこれは、強烈な太陽と、その光がつくる影のこと。真っ白な壁を照らし出す太陽は、くっきりとその影を描き出す。じりじりと照りつける路地から一歩石造りの家の中に入れば、ひんやりとした心地よい空気が身を包む。


それは、情熱と静謐なのかもしれないし、人生の側面なのかもしれない。


スペインを代表する宮廷肖像画家たちも、闇の中に人物とその豪奢な衣装を美しく浮かび上がらせる。一筋の光がさす瞳は深い感情を湛え、宝石を透かす光はその人物の生きた一瞬を切り取る。


光があってこその闇。闇がゆえの光のまぶしさ。


まあ、なんというか、ちょっと暗くなったホームを見て、どことなくほっとしたというか。むかしは、こんなもんだったよね~。田舎の駅は。ぽつんぽつんと灯りが点いてて。


あんまりビカビカまぶしくしてると、夜寝られないよ~ん。


それと、少ない明かりでもいいんだけど、出来ればもうちょっと暖かい色の光がいいなあ~~~。なんか、青白いと陰気なんだもの。


ほら、ヨーロッパの石畳を照らすガス灯の黄色い明かりとか(もちろん今は電気ですが)。わくわくする祭りの提灯とか、たいまつとか。ディズニーランドの明かりも楽しげでしょ。


そんなすてきな照明、つくろ~よ。


☆今日のちび庭気温:1.5~12℃ 上の写真は蘇州の旧市街のライトアップ。全部が明るくはないけど、素敵でしょ。(^_^)