心の栄養♪映画と英語のジョーク

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「わが教え子、ヒトラー」

2010-01-19 | 映画「ら・わ」行
1944年12月25日、ナチス・ドイツは劣勢に陥っていた。宣伝相ゲッベルス(シルヴェスター・
グロート)は、来る1月1日にヒトラーの演説を大々的に行い、プロパガンダ映画に仕上げて
起死回生を図ることを思いつく。だが肝心のヒトラー(ヘルグ・シュナイダー)がすっかり
自信を失い、スピーチなどできる状態ではなかった。そこでゲッベルスは、わずか5日間で
ヒトラーを再生させるという大役を世界的俳優アドルフ・グリュンバウム教授(ウルリッヒ・ミューエ)に
託すことに。すぐさま強制収容所からグリュンバウム教授が移送されてくるが・・。



ちゃんとこの映画のジャンルを事前に読んでいれば良かったんですが、
全く何も知識なく見たので、これがコメディだったなんて・・・!と
ビックリでした。タイトルとジャケットの写真だけは以前から気になって
いたんですが、全く内容を調べてみようともせず、そろそろ借りるか・・と、
そんな感じだったんですよね(^^ゞ
 
日本版じゃなくて、オリジナルのポスターとかDVDのジャケットとかを
見ていれば、すぐにこれはコメディだとわかったと思われますが、
日本のこのジャケットじゃ、ちょっとコメディだとはわからなかったです。
でも、「善き人のためのソナタ」で、ぐぐっと演技に惹かれた
ウルリッヒ・ミューエが主演だし、もしかしたらかなり良い映画なのかも・・・と
期待は大でした。

で、見てみたら、初っぱなから、あ~、これはコメディなのか・・と
わかる演出で、苦笑したり、クスクス笑えたり・・という場面がたくさん。
特にヒトラーは完全に道化のように描かれていて、彼の側近たちも、
お惚けだったり、ちょっと抜けてたりと、この映画独特の視点で描かれていて
面白かったです。とても行き届いた揶揄とでも申しましょうか、真面目に
作られたコメディという感じ。
 
あの時代の、ヒトラーにまつわる事を、こんな風に皮肉を込めてブラックな
コメディで描き出すなんて、なかなか面白い作りでしたし新鮮でした。
見る前は、実話が基になったお話で・・と思ってたんですが、
かなり奇想天外なものでした。

ヒトラー、ナチス、ユダヤ人問題・・と笑って良いの?って迷うような
内容ではありましたが、ナチスの面々やSSの幹部たちのズレた感覚とか、
“ハイルヒトラー”と何時でも挨拶する様子とかが、哀れで面白可笑しく
描いてあって、やっぱり笑っちゃいました。彼ら自身も、こんなこと
バカらしい・・・と思ってる様子もうかがえて面白かったです。
  
ヒトラーという人物をこんな風に捕らえてある映画というのを初めて見ました。
愚かで、トラウマまみれで、とても孤独で、子供のようで・・。
彼がユダヤ人であるアドルフ・グリュンバウム教授夫婦と添い寝しちゃう
ところもあり、不能でおねしょもして・・等々、まだいっぱいでてきました。
ヒトラーという忌むべき人物を、こんな風に描いてしまうと、人間らしくて
愛らしい人・・となってしまってはやはりダメで、バカにしてる感じ(?)が
あったので、そこもまた良かったです。

「善き人のためのソナタ」ではなくて、これがウルリッヒ・ミューエの
遺作だったんですね。あちらは2006年の製作で、これは2007年。
彼の存在感は、やはり素晴らしく、惜しい人を・・と今回もまた残念な
気持ちになりました。

このウルリッヒ・ミューエ演じる教授のお陰で、ヒトラーのこの年の元日の
演説が始まり、そして途中からとんでもないことに・・。
映画の冒頭の映像が、このラストの映像と繋がってたんですが、
この演説の中に、脚本と監督だったダニー・レヴィのヒトラーに対する批判が
しっかり描かれていたと感じましたし、上手い構成だなぁって思いました。

エンディングで、ヒトラーについて一般人にインタビューしてる映像が
次々と映し出されるんですが、子供から始まって、徐々に年代が上の人に
なる形式になっていたので、子供なんてもうすでに名前すら知らない子が
いるんですね。この年代によって違う答えが出てくるインタビュー、
興味深かったです。

個人的お気に入り度3/5

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6 コメント

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冒頭の場面 (rose_chocolat)
2010-01-19 19:53:31
最後まで観ると、ちょっと残酷なんですよね。
おいたわしい。。。
これはたぶんフィクションだと思うんですが、このような道をたどったユダヤ人たちもきっと多かったと思います。 胸が痛いですね。
返信する
Unknown ()
2010-01-20 06:25:41
こんにちは。
この作品、DVDになってるんですかぁ。
上映期間中に見ることができなかったので、これは観ておかないと!
個人的に興味があるのが、最後のインタビュー。
名前も知らない人が増えてるんですね。
返信する
rose_chocolatさんへ♪ (メル)
2010-01-20 08:58:47
rose_chocolatさん、こんにちは☆^^

そうですね~、最初はマジなお話だと思って見てたら、あら~、コメディタッチだったのね~!と、それはそれで頭を切り換えて面白く見たんですが、またラストは・・・切ないですね。

>これはたぶんフィクションだと思うんですが、

ですよね。
こういうような人はいたかもしれませんが、フィクションですよね。
それにヒトラーも精神を病んでたのは事実としても、ユダヤ人の夫婦の間に寝ちゃうとか、その他諸々、あんな風にはなってなかったと思われ、それをこういう映画にしたというところが、とてもユニークで面白かったです。

ウルリッヒ・ミューエがとても良かったので、つくづく惜しい人を亡くした・・と思いました。
返信する
亮さんへ♪ (メル)
2010-01-20 09:50:33
亮さん、こんにちは☆^^

そう、すでにDVDになってました~(^^ゞ
こちらの田舎では劇場公開もなかったんですが、DVDになったお陰で見ることが出来ました♪
なかなか面白い演出というか、描き方だったので、このユニークさに惹かれました。
こういう描き方でナチの矛盾を突くというのは、なかなかでした。

そうそう、エンドロールの間に流れるだけですので、そんなにたくさんの人にインタビューしてるわけじゃないんですが、そうか~・・年代によってはこんな感じに捉えられてるんだなぁと、興味深く見せてもらいました。
返信する
こんばんは (なな)
2010-01-22 02:05:29
そうそう,これは基本はコメディというか
ユダヤ人の監督さんの作なので
風刺的なブラックユーモアに近いのでしょうね。
自分の民族の最大の悲劇を
このように自分で風刺できるユダヤ民族の
強さというかしたたかさというか
そこにまずよい意味で敬服しました。

ヒトラー像をまじめに描きたくはない・・・
という思いがあったのかもしれませんが
コメディのようでいて
ラストはそれなりに感動ものに仕上げていたと思います。
ウルリッヒ・ミューエさんはやっぱり名優ですね。
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ななさんへ♪ (メル)
2010-01-22 08:42:24
ななさん、こんにちは☆^^

見る前は、シリアスなドラマかなぁって思ってたんですが、基本、コメディでしたねぇ~。
でも、それもかなりブラックな、皮肉たっぷりの。

ほんと、自分の民族の悲劇をこんな風に
風刺して、上手く映画として作り上げるところ、ユダヤ民族の底力を感じます。
たくましいです、ほんとに。

実はヒトラーもこんなつまんない、どうしようもない人間だったんだってことを
同情を買わない程度に上手く作ってあったなぁって思います。
もうちょっとヒトラーを惨めで人間的に描いてあったら、この映画を見て彼に同情する人も出たかもしれないんですが、その微妙なラインを上手に保って創ってあったなぁって感心しました。

そう、ラストは切なくも感動的で、どっか温かさを感じました。
ウルリッヒ・ミューエのあのラストのほほえみが忘れられません。
ほんと、名優ですね。
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