銀の人魚の海

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プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ~松の光と影

2013-06-08 | 2013年新作映画鑑賞
プレイスビヨンドザパインズ。

気になる映画だったので時間をつくり、久しぶりに有楽町鑑賞。

面白かったなー。いくつか不満(後記)もあるが、それでも。

映像が好き。ヨーロッパセンスのある映画でもあった。

疾走と停止と閉塞。

シュール感もあり、最近あまり見ない演出、音楽は80年代のものか?

セリフにある曲がかかり、流れもよく効果的だった。

ほんの少しDリンチ風シーンも感じた。

どちらかというと、映画をたくさん見ている人向きかと思う。

デレク・シアンスランシス監督。変わった名前。どこの出身だろう?

前作「ブルーバレンタイン」はDVDで見て、ここのブログ、検索したら

12年6月29日に感想を書いていた。

1年前で、記憶にもあり、まあまあの映画だったと思う。

Rゴズリング(ルーク)はかなり苦手な役者、

ブラッドリー(エイブリー)はわりに好き。

見るの迷ったが、ある二人の方の評がよく、結果、行って良かった。

140分くらい、長い。

3つのパートに別れているが飽きずに見られ、

個性あるカメラ、演出が楽しめた。

はじめの親の時代は、パソコンがかなり古いものだったので、

90年代初め、もっと前?か、そこから始まる家族、おもに父息子の物語。

原題は「松の木木の向こう側に」という意味で

原住民、スモーク族の言葉、地名からだそう。

薄い闇から希望が、という意味もあると

映画館掲示の切り抜きで読んだ。

1カット登場するバイクショーのオーナーが、そのスモーク族か?
ルークがバイクショーをやめたいと言う相手。

日本の副題「宿命」は少し大げさかも、

そこまでではない、父と息子の15年のお話。

冒頭、一分くらい、ルークの背中を追う長いバックショットというのか、

背を撮るのは、流れもの、旅芸人を表現したかったのか?

正面から撮らない、斜めなどもある。

ライアンは、はまり役で、今、これ、彼しかできないと思う。

凝ったカメラもあり撮影は戦場カメラマンけいけんの方だそう。

監督はCMも多数撮っていると読み、納得。

CMっぽい音楽とのコラコラボレーションのような、魅せる映像が多い。

それは、好みもあるだろう。

副題を宿命、としたのは宗教性からか、

宗教色は強く感じられ、ルークの息子の洗礼シーンは印象的。

ルークはボロボロのTシャツを裏返しに着て、身体中に刺青、

その彼が、知らずに生まれていた息子の洗礼をじっと見つめる。

ラスト、追い詰められたエイブリーが許しこうように座り涙ぐむシーンも、

宗教色、罪を意識する心、を感じる。

この話は三人の大人たちの、ちょっとした心の持ち方が

二人の子供を巻き込み事件になっていくはなしで

よくあるように、子供には何の罪もない。

その三人の大人たち。

まずルーク、謎の男、出生、生育も最後までわからずチンピラ流れ者。

こういう生き方も、あるだろう、絶対いけないではないが~

たまに来る土地で過去の女が、

自分の子供を産んでいるのを知るなり、ストーカーっぽく、

つきまとうのは、どう?

彼がクールでいれば、こうはならなかった。

孤独感からか、きまぐれか・・

元々、家族とともに生き方を選んでないことは

サムメンデス(ロー)も知っていたからこそ、

言わずに産んだんだもの。女心、わからない子供君。

そして、息子のためにお金が必要だから、

強盗って、頭がキレこわれすぎ、怖い。

バイクの腕もピカイチだが、お金への疾走も速く、

一回目は強盗後、嘔吐したのに、エスカレートし何回も強盗をって。

心、大丈夫?というキャラだ。

けっこうなお金をぬすんでいるのに、何に使ったのか?

Tシャツ、ずっとぼろぼろ。大きな買い物はしてないよね。

彼の独りよがりが、この街を独走、毒草する。


次の大人。女性、ローは彼が去り一年後、息子を黙って産んでいるが未練がある。

でも、同棲し面倒みてくれる新しい彼がいるのに、

またルークと、あうって決意が足りない。トレーラーで寝てもいるし。

ルークとあっているから、優しい同棲相手が殴られてしまう。

シングルマザーとして、しっかりしていない、はある。

ルークに息子を合わせてもいいが、ルークとの距離は近すぎた。

二人で会わなければ、普通の生活だったと思う。でも映画はすすまないが~

三人目、エイブリー、

彼は正当防衛でなくルークを撃ってしまうが、その罪を抱えても野心はある、

変わったタイプかもしれない。

父の生き方を嫌ってはいても、結局自分も権力に巻き込まれ

最後は権力の側に立つ人物になってしまう。

罪を隠し出世はする。

妻とも離婚、裕福だから、今の生活があるが、息子(AJ)は薬に夢中という高校生。

という三人の大人が、

もっと賢く生きていれば、この物語は「宿命」にはならなかった。

大人では、ローの彼が立派、自分の子ではない息子(ジェイソン)をしっかりみ、

結婚し、良い家に越し、初めての子供もでき、父になる。素晴らしいと思う。

ジェイソンと話すシーンで、「せめて父の名を教えて」

から彼の本当の父への思いが始まるが、

その時食べていたのはアイスクリーム。

ルークが初めて息子に食べさせたアイスだ。

エイブリーの妻役、ローズバーン、

Dクルーガーと共演したアパートメントだっけ?

リメイク映画を見ているが、変わってないな、

彼女は夫を心配する普通の妻として描かれていた。

なぜ離婚したのかは、わかりにくいし、

息子AJをひきっとって、といきなり言うシーンもわからない。

息子は離婚が不満のようなセリフを言う。

大人の過去、生き方に巻き込まれた

二人の息子の運命的接点、

このいなか町、とても狭そうだから、会ってもしかたがない。

父と息子は母と娘同様、確執もでやすい関係で、これまで映画でも多数あるので

お話としては、斬新さはないが、

映像の感覚が、父息子の関係を際立たせている。

ルークの息子は出生をネットで調べ、事件のことを知るが、

エイブリーが正当防衛ではなかった事は、秘密のはず。

なぜ、エイブリーをそこまで憎んだのかが、わからない。

むしろ、父は強盗で流れ者だったし、死んでも仕方がなかったと思う方が自然では?

息子として、死んだ父の真実をエイブリーに聞くなどはわかるが

何故、憎むのか?強盗だったのは事実。

そして、一応友人のAJに暴力までって?

裕福な家族への嫉妬?

でもエイブリーは離婚しているから、ジェイソンの方が

家族には恵まれているのに??

銃まで持ち出すこの行動は、ルークの血だからか・・

そのあたり彼の気持ちを、長い尺中、少し入れれば理解できたかな。

松の木々の中のバイクでの疾走と、

光が少し見えるようなラスト?

ジェイソンも、500ドルでバイクを手に入れ、流れものになっていくのか?

親子の歴史は繰り返すの?

先の事はわからない。

二人の息子はともに助かり新しい道を歩いていく事は事実だ。

ラスト、エイブリーがずっと大事にもっていた、あの写真、

ポイントグッズで印象的だ。

写真は息子に渡り、そして手紙で母の手に戻ってくる。

家族は回る、という意味か。

監督、かなりストイックな方では~

ブルーバレンタインもそうだったかな?

SEXシーンはほぼなく抑圧感、諦念感も全編感じた。

閉塞感の中の松の木々の自然が新鮮で、清々しい空気を吸う気持ちにさせてくれた。