神経細胞の高分子物質の構成
細胞質のリボ核酸
ニッスル物質がタンパク質であるというへルモンドの鋭い意見は、20世紀の初めの頃は一般に無視されていた。
事実、生化学の流行が生細胞から離れて組織片や組織の破砕液の研究へと方向が変わるとともに、ニッスル物質の化学的性質への関心は、衰えていった。
しかし、1932年に、ラルス・アイナーソンが、細胞内の核酸の検出のための自分のガロシアニン-クロムミョウバン法を導入して、ニッスル物質の中に核酸の存在を再確認した。
アイナーソンは、ニッスル物質の中のヌクレイン(核酸)の存在について、いくつか重要な論文を発表したが、彼の研究も当時あまり関心をひくことがなかった。
しかしながら、1940年までに、細胞内の化学へと関心が改めて向けなおされた。
この年に、ジャン・ブラーシェが、やっと、リボ核酸(RNA)の存在を例証するためにリボヌクレアーゼを用いて、ニッスル物質の中のヌクレインの存在についていっさいの疑問を追いはらった。
ニッスル物質の塩基性色素と結合する能力は、リボヌクレアーゼで前もって処理すると消失することを見出した。
こうして、彼はニッスル物質がRNAを含むことを確立した。
ほぼ同じ頃、ストックホルムのカロリンスカ研究所のカスベルソーンとその協同研究者は、核酸とタンパク質の紫外部領域の吸収能を利用して、細胞質核の核酸とタンパク質の系統的な研究を始めた。
これらの方法は、拡散に含まれる(プリン)とピリミジン基が波長2600Å付近の光を選択的に吸収し、他方、タンパク質中のチロシンとトリプトファンが2800Åの領域で吸収するという事実に頼っている。
この苦心して果たされた広範な研究から、カスベルソーンは、すべてのタンパク質の合成はポリヌクレオチド(核酸)の存在にまたは遺伝的なタンパク質の合成の原因となるもので、他方、細胞質のRNAは細胞質のタンパク質が形成される鋳型であると考えた。
また、カルベルソーンと彼の協同研究者は、活発に分裂している細胞と、(消化酵素、ホルモン、ヘモグロビンなどのような)特定のタンパク質を合成していることのわかっている細胞は、とくにタンパク質の合成に必要とされているRNAを多く含んでいることを発見した。
しかしながら、その他の細胞は、一つの例外を除いては、細胞質内のRNAは少なかった。その例外は神経細胞である。
ニッスル物質がRNAであると決めたブラーシェの結果を確かめたハイデンの研究から、ニッスル物質は実際身体の中でもっともタンパク質合成の活性の高い領域であることが、やがて明らかにされた。
ハイデンは、(神経の)活動の間と後でのニッスル物質中のRNAについて一連の研究を行った。
彼は、筋肉の行使で前角細胞から好塩基性顆粒が消失するという(半世紀以前に述べられた)グスタフ・マンの結論を確かめた。
彼は、さらに、神経細胞からRNAが失われることを見出した。
みごとに考案された実験によって、後になって、ハイデンは内耳の前庭の刺激が長びくと、内耳の神経節とダイテルス核の細胞からのRNAの消失の原因となることを確かめた。
さらにハイデンは、活動後の回復期に、RNAは、消失し多細胞の中で速やかにもとどおりになることを示した。
事実、ニッスル物質が活動中に使い果たされ、休息時に再生産されることを示したグスタフ・マンとラルス・アイナーソンの二人の以前の研究を完全に確証した。
ハイデンの研究は、また、ニッスル物質のタンパク質も、RNAと同様に、活動中に消失し、回復時でこのタンパク質の再合成は、その前に起こるRNAの回復に依存していることを示した。
事実、RNAは、タンパク質の生産のための合成上の鋳型である。
このように、生きている神経細胞では、活動時にはRNAは絶えず分解され、休息時には回復されていて、その細胞のタンパク質も消耗と蓄積の同様な型にしたがって変動する。
神経細胞にRNAが豊富であることは、「タンパク質合成系は、激しく機能している時期に、消費されたタンパク質を速やかにもとにもどすことができなければならない・・・・という事実から簡単に説明できる」
細胞質のリボ核酸
ニッスル物質がタンパク質であるというへルモンドの鋭い意見は、20世紀の初めの頃は一般に無視されていた。
事実、生化学の流行が生細胞から離れて組織片や組織の破砕液の研究へと方向が変わるとともに、ニッスル物質の化学的性質への関心は、衰えていった。
しかし、1932年に、ラルス・アイナーソンが、細胞内の核酸の検出のための自分のガロシアニン-クロムミョウバン法を導入して、ニッスル物質の中に核酸の存在を再確認した。
アイナーソンは、ニッスル物質の中のヌクレイン(核酸)の存在について、いくつか重要な論文を発表したが、彼の研究も当時あまり関心をひくことがなかった。
しかしながら、1940年までに、細胞内の化学へと関心が改めて向けなおされた。
この年に、ジャン・ブラーシェが、やっと、リボ核酸(RNA)の存在を例証するためにリボヌクレアーゼを用いて、ニッスル物質の中のヌクレインの存在についていっさいの疑問を追いはらった。
ニッスル物質の塩基性色素と結合する能力は、リボヌクレアーゼで前もって処理すると消失することを見出した。
こうして、彼はニッスル物質がRNAを含むことを確立した。
ほぼ同じ頃、ストックホルムのカロリンスカ研究所のカスベルソーンとその協同研究者は、核酸とタンパク質の紫外部領域の吸収能を利用して、細胞質核の核酸とタンパク質の系統的な研究を始めた。
これらの方法は、拡散に含まれる(プリン)とピリミジン基が波長2600Å付近の光を選択的に吸収し、他方、タンパク質中のチロシンとトリプトファンが2800Åの領域で吸収するという事実に頼っている。
この苦心して果たされた広範な研究から、カスベルソーンは、すべてのタンパク質の合成はポリヌクレオチド(核酸)の存在にまたは遺伝的なタンパク質の合成の原因となるもので、他方、細胞質のRNAは細胞質のタンパク質が形成される鋳型であると考えた。
また、カルベルソーンと彼の協同研究者は、活発に分裂している細胞と、(消化酵素、ホルモン、ヘモグロビンなどのような)特定のタンパク質を合成していることのわかっている細胞は、とくにタンパク質の合成に必要とされているRNAを多く含んでいることを発見した。
しかしながら、その他の細胞は、一つの例外を除いては、細胞質内のRNAは少なかった。その例外は神経細胞である。
ニッスル物質がRNAであると決めたブラーシェの結果を確かめたハイデンの研究から、ニッスル物質は実際身体の中でもっともタンパク質合成の活性の高い領域であることが、やがて明らかにされた。
ハイデンは、(神経の)活動の間と後でのニッスル物質中のRNAについて一連の研究を行った。
彼は、筋肉の行使で前角細胞から好塩基性顆粒が消失するという(半世紀以前に述べられた)グスタフ・マンの結論を確かめた。
彼は、さらに、神経細胞からRNAが失われることを見出した。
みごとに考案された実験によって、後になって、ハイデンは内耳の前庭の刺激が長びくと、内耳の神経節とダイテルス核の細胞からのRNAの消失の原因となることを確かめた。
さらにハイデンは、活動後の回復期に、RNAは、消失し多細胞の中で速やかにもとどおりになることを示した。
事実、ニッスル物質が活動中に使い果たされ、休息時に再生産されることを示したグスタフ・マンとラルス・アイナーソンの二人の以前の研究を完全に確証した。
ハイデンの研究は、また、ニッスル物質のタンパク質も、RNAと同様に、活動中に消失し、回復時でこのタンパク質の再合成は、その前に起こるRNAの回復に依存していることを示した。
事実、RNAは、タンパク質の生産のための合成上の鋳型である。
このように、生きている神経細胞では、活動時にはRNAは絶えず分解され、休息時には回復されていて、その細胞のタンパク質も消耗と蓄積の同様な型にしたがって変動する。
神経細胞にRNAが豊富であることは、「タンパク質合成系は、激しく機能している時期に、消費されたタンパク質を速やかにもとにもどすことができなければならない・・・・という事実から簡単に説明できる」