日本人に生まれて

前期高齢者の仲間入りをしました。昭和、平成、令和を振り返りながら、日常の出来事を綴ります。

弱きをいじめ、強きにぺこりの日本人

2019-10-07 20:13:00 | 日記
「敗戦日記」 高見順著
 9月1日、朝日新聞朝刊「折々の言葉」の一行が目に止まりました。「この頃。すべてが配給。会話も配給。」配給の二つの言葉で戦時中の状況を表現した作家の力量、思わず「すごい」とつぶやきました。高見順著「敗戦日記」からの引用でした。Amazonキンドルで検索、ありましたので、さっそくダウンロードして読みは始めています。戦時中の日記というのに暗さはなく、ページをめくることに、思わず一人含み笑いをして楽しんでいます。この本の中に、とても印象に残る読者の投稿がありましたので紹介します。

政治家達も闘へ
 「日本が勝つために割れでは永い間困苦に耐へてきた。これから先もどこまでも耐へて行く覚悟を決めている。それにつけても情けないのは日本の政治家が日本人らしくないことだ。食料時評において誰一人として出来なかったことの責任に日本人らしく腹を切った政治家はいないではないか。「私はかく思う」「考慮してゐる」等々、後難除けの言葉はきまってゐる。我々は最後まで戦ふ。政治家も日本人らしく闘ってくれ。」(吉郎)

「日本人のため、ひいては国のためになることを何かしようとすると、犯罪人のように眼を光らせる。結局何もしないで、利己的な無関心的な態度でおれば、無事なわけである。こんな「政治」をしていて一方で愛国心を要求する。」(高見順)

「同日同時刻」 山田風太郎
       
 「敗戦日記」を読み終え、山田風太郎著同日同時刻を読んでます。沖縄戦の印象に残る描写がありましたので紹介します。

 沖縄作戦を実質上指揮した高級参謀八原大佐は、6月23日牛島司令官の自決した魔文仁(まぶに)の洞窟を変装して逃れ、三日後、一介の住民として捕らえられ、以来人夫として米軍に使役されていたが、8月5日ごろ、顔見知りの沖縄人に密告されてその正体を曝露され、改めて逮捕された。
 彼はいちど自決を志たが、やがて、優秀なおれをこんなところに島流しした連中は、今時分東京で安楽椅子に腰かけているのだろう、と思うと、「こんなところで死ぬのは馬鹿馬鹿しい」と考えだした。彼は俘慮として生還した。

 部下には突撃を命じて、自分可愛さに逃げ隠れする。八原大佐の行動は、今からみれば、卑怯なことですが、自分がその立場にいたら同じことをするかもしれません。敗戦濃厚な状況で日本軍の統率にほころびが生じ、兵隊さんそれぞれの判断で生き抜く以外はなかったのです。

賢くなくなった日本人 
 戦時中と現在の日本人を比べると、75年余りたっても性格はなに一つ進歩がありません。「権力を握り、弱い者に対してし俺様。逆の立場になると平身低頭、あんたが大将」やることなすことブレがあります。現在進行形の日韓、日米関係、まさにピタリとあてはまります。
 「謙は衆善の基にして、傲は衆悪の魁(さきがけ)なり」王陽明
     謙虚はあらゆる善の基礎であり、傲慢はもろもろの悪の始まりだ。
 日本、及び日本人が、行く先に迷走しているのは、「志」がなく、精神の拠り所を見失い、プライドをなくしたことが原因です。「自己犠牲こそ最大の道なり」中学卒業アルバムに担任の先生が書いてくれました。50年近く経ちますが、心底しみついています。「人のことより自分が大事」、子どもより自分の快楽が大事、社員の待遇より自分の余禄のほうが優先、こんな時代が令和の世相です。欲望に目がくらんでいるのが、今の日本人が置かれている現実です。

 2冊の本を読んで感じたままに書きました。名言を収集していますが、ピタリあてはまる文を紹介します。
「野心ではなく、志によって仕事・社会を考える。野心とは私利私欲から発している。権力とは、本来、公のために使うものであり、私心、私欲に使ってはいけない。」

 




 



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