僕はこの試合はリアリズムvsファンタジーだとツイートしました。
クリス・ワイドマンは若くて、最強のレスリングを持っていて、グラウンドの極めも抜群、スタンドのセンスも非凡でパンチ力は一撃でKOするに充分。
ここまでパーフェクトなスキルセットを持った選手はミドル級にはかつていなかった。
そして常に冷静に、勝利だけを信じて戦えるハートも持っている。
これ以上の説得力は無い最強の選手だ。
対してアンデウソンさんはストライカー、この言葉が打撃もレスリングも柔術も出来て当たり前の現代MMAにおいては前時代的で、それでいて史上最強というファンタジックな存在、その打撃もいわゆるボクシングテクニックというのではなく、純粋なムエタイ技術でもなく、めちゃくちゃなスピードやパワーがあるわけでもない、よくわからないけど相手の打撃をことごとく見切りよくわからない圧力で追い詰めて最後は相手を圧倒してしまうという、言葉で説明できない強さを体現していたのが、FANTAGYそのものだった。
ご存じの通り前回ワイドマンがアンデウソンを打ち破ったけれど、世論の多くはワイドマンがアンデウソンを超えたとは認めなかった。アンデウソンの慢心、自滅だったと評した。
そして迎えた2014年年末、改めて完全証明の舞台がセッティングされた。
僕はリアリズムとファンタジーを並べられたら迷わずリアリズムを信じる理屈脳なので、ワイドマンの勝利を予想した。
予想しながら、そのリアリズムの枠を超える、想像外のアンデウソンさんのファンタジーをほとんど渇望に近い感覚で期待していた。
試合は1R、ワイドマンがアンデウソンをテイクダウン、立ち上がったアンデウソンの首相撲にワイドマンが耳の裏に強打をブチ込み、アンデウソンはダウンした。
この瞬間ファンタジーは瓦解し、ああやっぱりという諦めと、この後ワイドマンがアンデウソンをパウンドアウトするであろうシーンを必死に受け入れようとした。
しかしアンデウソン独特のボトムの動きで、致命打はもらわず、逆にワイドマンの顔に下からコツコツ打撃を入れていく。
アンデウソン優勢とは全く思わなかったけれど、妙に落ち着いた表情が僕の空想的な期待をなぞって膨らませた。
そのままブザーでアンデウソンは難を逃れ、結末は2Rに持ち越されることとなった。
今日は会場入りの時からずっとそうだったんだけど、2Rの始まりを待っているアンデウソンの表情が、全てを受け入れた顔に見えて仕方がなかった。それはきっと自分の身勝手な感情移入と思い込みだったと思う。思うけどそう見えた。後進に叩きのめされること、全てが終わる敗北を受け入れているように見えて、といってそれは勝利を諦めたわけではなく、勝ちに行くけれどその結果は神に委ねているような表情に見えた。
そして2R、誰も予想しえなかった結末が、あっけなく訪れた。
ローキックをカットしたワイドマンの脛が、アンデウソンの足首をポッキリと折った。
ポッキリという擬音がしっくりくるあっけなさだった。
興奮も落胆もなくただポカンとしてしまった。
リアリズムがファンタジーをほとんど打ち破ったけれど、リアリズムとリアルはイコールではなかった。
ワイドマンはアンデウソンより強かったと思う。
ローキック対策が功を奏したのかもしれないし、肉体的な骨の強さで勝ったのかもしれないし、そもそもキックではカットで負傷させるのは立派な技術だし、ワイドマンがアンデウソンを打ち破ったことに異論はない。
それでもこのポカンとした感じ、ワイドマンのノックアウトか一本かパウンドアウトか判定勝ちあたりしか想像できなかった自分にとって、予想の斜め上の裏側を突かれたような気分は、最後の最後にファンタジーの粉を一つまみだけ足されたようで、アンデウソンという選手の特異な運命を感じずにはいられない。
今後は全くわからない、ただ自分の理屈常識偏重の考えから言えば、年齢やモチベーションを考慮すると、あの大怪我で長いキャリアを終えることを想像してしまう。
もしもそうだとしたらやっぱりアンデウソンのキャリアは、奇異特異だった。スペシャルだった。そしてサイコーだった。
もちろん復帰したとしてもサイコーだけど。
ワイドマンを蚊帳の外のように書いて来たけど、彼もまた特別な選手に疑いはない。
アンデウソンを2度破ったにもかかわらず、オーソドックスな王者戴冠というよりは大きな運命の渦を歩んでいる気がする。
ワイドマンはこれからさらに歴史を作っていくだろう。アンデウソン云々でなく普通にめちゃくちゃ強いので、防衛戦が楽しみだ。
今日は2014年最後の大会だし、一応ブログ書いとくかな~くらいに思ってたけど、メインの天井から金ダライ降って来たような結末に混乱が解けず、他の試合感想全部すっ飛ばして、叙情に寄りまくった感傷的空想的独りよがりな記事になってしまったことを、心よりここに謝罪いたしません。絶対にしない。
ノド渇いた
クリス・ワイドマンは若くて、最強のレスリングを持っていて、グラウンドの極めも抜群、スタンドのセンスも非凡でパンチ力は一撃でKOするに充分。
ここまでパーフェクトなスキルセットを持った選手はミドル級にはかつていなかった。
そして常に冷静に、勝利だけを信じて戦えるハートも持っている。
これ以上の説得力は無い最強の選手だ。
対してアンデウソンさんはストライカー、この言葉が打撃もレスリングも柔術も出来て当たり前の現代MMAにおいては前時代的で、それでいて史上最強というファンタジックな存在、その打撃もいわゆるボクシングテクニックというのではなく、純粋なムエタイ技術でもなく、めちゃくちゃなスピードやパワーがあるわけでもない、よくわからないけど相手の打撃をことごとく見切りよくわからない圧力で追い詰めて最後は相手を圧倒してしまうという、言葉で説明できない強さを体現していたのが、FANTAGYそのものだった。
ご存じの通り前回ワイドマンがアンデウソンを打ち破ったけれど、世論の多くはワイドマンがアンデウソンを超えたとは認めなかった。アンデウソンの慢心、自滅だったと評した。
そして迎えた2014年年末、改めて完全証明の舞台がセッティングされた。
僕はリアリズムとファンタジーを並べられたら迷わずリアリズムを信じる理屈脳なので、ワイドマンの勝利を予想した。
予想しながら、そのリアリズムの枠を超える、想像外のアンデウソンさんのファンタジーをほとんど渇望に近い感覚で期待していた。
試合は1R、ワイドマンがアンデウソンをテイクダウン、立ち上がったアンデウソンの首相撲にワイドマンが耳の裏に強打をブチ込み、アンデウソンはダウンした。
この瞬間ファンタジーは瓦解し、ああやっぱりという諦めと、この後ワイドマンがアンデウソンをパウンドアウトするであろうシーンを必死に受け入れようとした。
しかしアンデウソン独特のボトムの動きで、致命打はもらわず、逆にワイドマンの顔に下からコツコツ打撃を入れていく。
アンデウソン優勢とは全く思わなかったけれど、妙に落ち着いた表情が僕の空想的な期待をなぞって膨らませた。
そのままブザーでアンデウソンは難を逃れ、結末は2Rに持ち越されることとなった。
今日は会場入りの時からずっとそうだったんだけど、2Rの始まりを待っているアンデウソンの表情が、全てを受け入れた顔に見えて仕方がなかった。それはきっと自分の身勝手な感情移入と思い込みだったと思う。思うけどそう見えた。後進に叩きのめされること、全てが終わる敗北を受け入れているように見えて、といってそれは勝利を諦めたわけではなく、勝ちに行くけれどその結果は神に委ねているような表情に見えた。
そして2R、誰も予想しえなかった結末が、あっけなく訪れた。
ローキックをカットしたワイドマンの脛が、アンデウソンの足首をポッキリと折った。
ポッキリという擬音がしっくりくるあっけなさだった。
興奮も落胆もなくただポカンとしてしまった。
リアリズムがファンタジーをほとんど打ち破ったけれど、リアリズムとリアルはイコールではなかった。
ワイドマンはアンデウソンより強かったと思う。
ローキック対策が功を奏したのかもしれないし、肉体的な骨の強さで勝ったのかもしれないし、そもそもキックではカットで負傷させるのは立派な技術だし、ワイドマンがアンデウソンを打ち破ったことに異論はない。
それでもこのポカンとした感じ、ワイドマンのノックアウトか一本かパウンドアウトか判定勝ちあたりしか想像できなかった自分にとって、予想の斜め上の裏側を突かれたような気分は、最後の最後にファンタジーの粉を一つまみだけ足されたようで、アンデウソンという選手の特異な運命を感じずにはいられない。
今後は全くわからない、ただ自分の理屈常識偏重の考えから言えば、年齢やモチベーションを考慮すると、あの大怪我で長いキャリアを終えることを想像してしまう。
もしもそうだとしたらやっぱりアンデウソンのキャリアは、奇異特異だった。スペシャルだった。そしてサイコーだった。
もちろん復帰したとしてもサイコーだけど。
ワイドマンを蚊帳の外のように書いて来たけど、彼もまた特別な選手に疑いはない。
アンデウソンを2度破ったにもかかわらず、オーソドックスな王者戴冠というよりは大きな運命の渦を歩んでいる気がする。
ワイドマンはこれからさらに歴史を作っていくだろう。アンデウソン云々でなく普通にめちゃくちゃ強いので、防衛戦が楽しみだ。
今日は2014年最後の大会だし、一応ブログ書いとくかな~くらいに思ってたけど、メインの天井から金ダライ降って来たような結末に混乱が解けず、他の試合感想全部すっ飛ばして、叙情に寄りまくった感傷的空想的独りよがりな記事になってしまったことを、心よりここに謝罪いたしません。絶対にしない。
ノド渇いた
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