其蜩庵井蛙坊

井戸の底より見たり聞いたり喋ったり

靴の鋲

2013-12-05 19:18:56 | 日常雑記
終戦後軍靴が放出され、幸いに籤に当たりました。軍靴ですから重いものでしたが、バック・スキンでしたので、見場は甚だ良ろしかったのです。革が裏返しなのは着脱迅速さからと聞きました。
牛馬を見かけることが少なくなりました。戦後しばらくは貨物自動車に変わって牛車や馬車が活躍しました。牛馬が荷車に繋がれて毎日往来します。牛は藁草履を履かされていたようでした。
しかし、時には乱暴に荷車を置いて駆け出す馬もいました。口角泡を吹いて辛そうに荷車を曳いているのは役目柄とは言え駆け出したくなる衝動も仕方が無かったかしれませんね。でも当座はずいぶん怖かったです。
既に鍛冶屋も見かけるのが出来なくなりました。鋤鍬や包丁などの必要からの鍛冶屋さんは別ですが、馬蹄鍛冶は当然見かけません。
古い話ですが戦時下に小倉市住んでいましたが、商店街近くに馬蹄鍛冶屋さんの仕事場がありました。薄暗いところで温和しく繋がれた馬が馬蹄を替えてもらう作業をよく眺めていたものです。
踵に金具を打った軍靴なんぞは舗装道路で甲高く響かれてはて困ります。外国製DVDで見たお話ですが、大勢の騎馬警察官隊が馬蹄の音高々と群衆を制する場面がありました。何故かキュウンと胸押されました。