其蜩庵井蛙坊

井戸の底より見たり聞いたり喋ったり

思い違い

2012-02-29 20:13:13 | 書籍
先日書いた諺について解釈間違いがあった。概ね思い違いのような間違いである。
「忠臣は二君に仕えず」をきわめて信義則に則った解釈をした。ところがどうやら平時の月給取りの凡々たる安直な解釈に傾いていた。
南北朝時代の君臣の解釈が甘かった。平時と混乱時との処世の違いである。いわゆるバサラ動乱時代の動的解釈には全く的外れであった。
現在の給与生活者の日常処世は江戸時代の下級武士のやりきれない身の処し方である。
考えれば、明治維新は名聞だけで貧乏暮らしした公家さんと藩下序列に不平不満があった足軽級による革命ではなかったのではと、狭い史観の持ち主は思うのである。後ほどの維新以後に連なるの序列を見ればの話である。
つまり臣従は一代限りだということだ。主家の興亡はには己の才覚で処世せよだということである。なんだか現在の政界の混乱に似ていると思うのだが。

ことわざ

2012-02-26 14:30:45 | 書籍
私はことわざ辞典類を好む。なまじな人生訓などより詳を尽くしているように思える。もっとも私の生活圏が手狭であるためかもしれない。俗信事典も含めて類は十冊はあるようだ。
安藤邦男先生の「東西ことわざものしり百科」を読み始めたが英語のことわざを示すカテゴリーに日英共通のものがおよそ三分の二ほどあると書かれていた。もちろん階級社会であるから横の系列の違いでことわざに差違があることは当然だ。
ことわざは(1)知恵と経験の伝承、(2)コミュニケーションの円滑化、(3)複眼の視点の教えであるとの考えが述べられている。
私は(3)の複眼の視点が特に肝要に思う。
例えば、「忠臣は二君に仕えず」という視点のみでは中国の「三国志」や日本でも戦国動乱時の戦記物を読んで面白いことはあるまい。
ブリューゲルにネーデルランドの諺という絵がある。それには八十五以上のことわざが描かれている。彼は人間の愚行・無知・軽薄・虚栄などを比喩的なウイットを交えながら描こうとした(森洋子の解説文による)。ことわざは本来的に人間の弱点をつく、もっと端的に悪口雑言に近いものがある。
この八十五のうち一つだけ俗信と思われるのがある。「火に小便をかけるのは体によい」である。痛快な思い上がりは、「親指の上で地球を回す」だ。

四字熟語のユーモァ

2012-02-20 13:37:13 | 書籍
図らずも蟹行蚊脚という四字熟語を知った。同じような意味合いに四字でなる成句もある。蟹行蚊脚は四字で一組と固まらなくても意味をなすから熟語と言えないのかも知れない。
蟹は横ばいする。蚊の足は細く曲折して見える。阿蘭陀文字や葡萄牙文字の形状から大漢語林には、蟹行「西洋の文字のこと」蚊脚「細くかかれた文字の形容」とある。四角四面の漢字学習者にはそのように印象づけられたであろう。そして四角四面も存外ユーモァがあるなと感じた。
残念ながらいまだに蟹行蚊脚に馴染みになり得えずにいる。

食性と嗜好

2012-02-17 15:01:30 | 生き物
水鳥の食性を特に観察したわけではないが、翡翠・青鷺・白鷺・鳰などは動物性の真鴨・小鴨・軽鴨などは植物性と食性が異なるようだ。
近くの川は年間水量がすくない。特に今年は流れが少ないので川底に水苔が滞っている。そのせいか小鴨の到来が多いようである。
鳰は水に潜る。そして思いがけないところから浮かび上がる。鴨は尻尾を逆立てるが全身水中には潜れない。川岸の植物を嘴を伸ばすこともあるが、おおむね水苔を啄んでいる。
翡翠や白鷺類は長い嘴で素早く川魚を捕らえる。翡翠がホーバリングして水中の魚を狙い捕りする敏捷さは見事である。
このように捕食の種別によって動作と形状に違いがある。鷺類は容姿に助けられ、江戸時代草双紙の「ろくろ首」の奇形がすくわれている。
経験がないのでどちらとも言えないが、鷺類より鴨類のほうが食肉としてはうまいのではあるまいか。

子供の科学

2012-02-16 12:20:34 | 書籍
図書館で読んでいるうちに月極めで購読することにした。思想の科学という本もあったし、宗教集団にもよく似た名前がある。
戦後すぐのころに「ポピュラーサイエンス」という月刊科学雑誌があった。平易な科学解説を含め購買するにはほど遠い夢の家庭電化製品の紹介などが記事であった。
孫がマイコプラズマ肺炎に罹った。全く知識が無いままであったが、2月号に「患者がほとんど14歳以下マイコプラズマ肺炎ってなんだ?」と言う記事があって詳しく病状その他を知ることが出来た。
この雑誌には、「科学・技術最先端ニュース コカ・トピ!」があって、新聞での見落としを拾える。
ナショナルジオグラフィックも地理や生物の記事が面白いのであるが、活字が細かいのが難点だ。

一寸の虫にも

2012-02-15 11:58:12 | 生き物
「動物たちの奇行には理由がある マイヤーロホ著全2冊」を読んだ。訳文がなめらかで読み疲れがしない。ヒト以外の生き物全てについての貴重な知識を得た。当然のことながら理解の及ぶところエセイの内容の僅かであろう。
妙な理解の仕方かもしれないが、ナマズが地震を予知するのではという仮説?がある。動物の中には「電気受容器」と呼ばれる特別な器官を持つものがいる。この器官を備えた動物は、他の生体が発する電気を感じ取ることが出来る。動物は活動するときに神経や筋肉を使用するが、これらの使用には基本的に電気的な活動電位が関係する。心電図、脳波、網膜電図などは、その電気的な活動を増幅したものだ(同書1P152)。別の資料によるとナマズには僅かな電気的現象を増幅して検出できるセンサーがあるそうだ。
このような生物のもつ機能や能力を事例を挙げて数多く紹介されている。

五臓六腑の疲れ

2012-02-08 15:48:12 | 日常雑記
以前夢は五臓六腑の疲れと聞いたことがある。確かに日常の疲れが夢に作用しているのではと思っていた。夢には心地良い範疇には入らないものが多い。あまり理解の及ばないところが多かったが、ひところフロイドの夢判断というのが流行った。学者先生方には浅薄な判断と思われようが、姓名判断・易・血液型・人相・家相などと似かよったものと推測していた。
先日「子供の科学一月号」を読んで遅まきながら夢の効能を知った。私たちは日常生活で膨大な情報量の処理に苦闘している。そのため寝ている間、もう一度夢として経験して、無意識のうちに必要なことと不必要なことを整理している。寝ている間は外部からの情報が遮断されるため、起きているときに経験したことを整理するのに適している。夢で追体験することで必要な学習しているのだそうである。
現実は五臓六腑を疲れさせる。おおよそその疲れはおのれひとりが背負わねばならないものだ。


ジソロバン

2012-02-04 13:08:16 | 日常雑記
小学生のころ夕涼みをしていたときにかなり長い尾を引いた流れ星を見た。隣に座っていた上級生の女子が何やら呪文のような文句を早口でつぶやいた。私の不審に彼女は、流れ星が消えない間に願いごとをとなえると、聞き届けて貰えるのだと教えてくれた。私には初耳だがそんな言い習わしがあるそうだ。
字算盤とは筆達者になることと算盤が巧みになることであり、仕事に就くには有利な条件であった。現在パソコンの機能も煎じ詰めればジソロバンである。
佐賀県教育委員会は、県立高校の全生徒にタブレット型端末を配布する方針を固めた。学習意欲向上を狙う意図だそうである。
教育の淵源が何処にあるのかは議論のあるところだが、父母の希求するところは卒業後の就職にかかっている。企業もまた多く同様であろう。佐賀県教育委員会の方針は英断である。

今年は寒い

2012-02-02 16:11:16 | 日常雑記
前が通学路になっているので吹雪のなかで小学生の列が通っている。私たちの頃と較べるのは酷だが、身仕舞いは整ってはいるが寒そうである。
子供のころは北九州に住んでいたが、ひどく寒かった。燃料不足で銭湯に通ったが、家に帰り着くときには濡れた手拭いが固く凍った。家の造作も隙間風が普通であり、台所は土間であって、鮭や鰤など正月用の魚がぶら下がっていた。大袈裟に言えば、冷蔵庫を必要としない造作になっていた。
霜焼け・あかぎれは誰もであり、必ずしも寒さだけではなく日常の栄養不足にも原因であったのではなかろうか。
勿論火の気がない教室であって「天突き体操」で暖をとった。どんなものかは所作で説明せねば今では判るまいが。
今年が特に寒冷であるとは言えないが、各地の気象状況を知ると、気持ちの上では余分に寒く感じる。
雪は綺麗で、酷いものというのが実感である。