近ごろは珍しくありませんが、歴史・動物・落語・地球遺産・図画などをそれぞれのテーマ一として、一週間ごとに発行された雑誌があります。発行所は(株)日本メール・オーダーの、本の題名は表記のとおりでした。
現在私が持っているのが、昭和47年7月17日発行の第2巻第8号「20世紀の歴史21」から終刊(155)までです。そのころ住んでいた近くの夫婦だけで経営していた小さな本屋さんから、毎週買っていました。読んだり、読まなかったりしているうちに、134冊が全く押入れ積まれたままの状態で重なっていました。
この本の裏表紙は、20世紀トピックスとして、写真入りで、時々の話題を醸した記事が載せられていました。そこでいまとなっては満更でない代物となりました。例えば、終刊155(昭和52年2月9日発行)「超現代の視点」には、鶴見俊輔氏の【歴史と非歴史】と題する文章があります。一部分だけですが、写してみます。
「石坂洋次郎が近ごろ『朝日新聞』につづけて書いていた随筆なかで,黒人に会うと親しめない感じがするし,そういう感じをもたないという日本人を信じられないとあった。もう一つ,この前の戟争に自分は反対だったというような人の話をきくと,その人の人格を信じられない,とあった。
私は,戦争中,『若い人』が出たころから石坂洋次郎の小説を好んで読んできた。その好みは,戦後も,かわらなかった。 長い戦争時代に石坂の小説は決してかなきり声をあげなかったし,おだやかなたのしみを,戦時の許すかぎりえがきつづけた。そういう作品を書きつづけた人の戦後の感想としてきいてみると,胸をつかれる思いする。
戦時の指導者層の掛け声にかならずしも同調することなく,日本の民衆のたのしみをともに追ってくらしてきた人の,実感とは,こういうものか。黒人にはなじめない。日本の国家をつきはなして,まっこうから批判する考え方には,なんかへんなところがある。そういうものかと思う。 このような感じが,敗戦後の今日も,日本人に共通のものとしてあるということからはじめて考えてゆかないと,現代史についての感想をのべるわけにはいかない。となっています。
現在私が持っているのが、昭和47年7月17日発行の第2巻第8号「20世紀の歴史21」から終刊(155)までです。そのころ住んでいた近くの夫婦だけで経営していた小さな本屋さんから、毎週買っていました。読んだり、読まなかったりしているうちに、134冊が全く押入れ積まれたままの状態で重なっていました。
この本の裏表紙は、20世紀トピックスとして、写真入りで、時々の話題を醸した記事が載せられていました。そこでいまとなっては満更でない代物となりました。例えば、終刊155(昭和52年2月9日発行)「超現代の視点」には、鶴見俊輔氏の【歴史と非歴史】と題する文章があります。一部分だけですが、写してみます。
「石坂洋次郎が近ごろ『朝日新聞』につづけて書いていた随筆なかで,黒人に会うと親しめない感じがするし,そういう感じをもたないという日本人を信じられないとあった。もう一つ,この前の戟争に自分は反対だったというような人の話をきくと,その人の人格を信じられない,とあった。
私は,戦争中,『若い人』が出たころから石坂洋次郎の小説を好んで読んできた。その好みは,戦後も,かわらなかった。 長い戦争時代に石坂の小説は決してかなきり声をあげなかったし,おだやかなたのしみを,戦時の許すかぎりえがきつづけた。そういう作品を書きつづけた人の戦後の感想としてきいてみると,胸をつかれる思いする。
戦時の指導者層の掛け声にかならずしも同調することなく,日本の民衆のたのしみをともに追ってくらしてきた人の,実感とは,こういうものか。黒人にはなじめない。日本の国家をつきはなして,まっこうから批判する考え方には,なんかへんなところがある。そういうものかと思う。 このような感じが,敗戦後の今日も,日本人に共通のものとしてあるということからはじめて考えてゆかないと,現代史についての感想をのべるわけにはいかない。となっています。