其蜩庵井蛙坊

井戸の底より見たり聞いたり喋ったり

ナイアガラ

2006-01-29 14:22:35 | 文芸
DVDの「ナイアガラ」を見ました。朝鮮戦争で神経衰弱になった夫(ジョセフ・コットン)と妻ローズ(マリリン・モンロー)がナイアガラ瀑布を背景に繰り広げる夫婦の葛藤、その悶着に巻添いにされた若夫婦のドラマです。以前映画館で受けた感じとは、ずいぶん違いました。 官能的なモンローの容姿に目を奪われた20代と70歳を越えた今とが違うのは当然でしょう。
「セックス・シンボル」をして、欲望を究極まで追う業欲さのシンボルとしたのではと思えました。しかしアメリカの明朗な一面の「バス停留所」は、ぜひともう一度見たいものです。


500円のDVD

2006-01-27 20:10:20 | 文芸
古い映画のDVDが廉くなって重宝しています。日本海軍が真珠湾を奇襲した昭和16年に製作されたハンフリー・ボガード主演「マルタの鷹」を見ました。ハードボイルド映画の傑作ですが、今まで見逃していました。
探偵サム(ハンフリー・ボガード)が、マルタ島の騎士団がスペイン国王に忠誠の証として献上したという黄金の鷹の彫像の争奪に巻き込まれ、同僚アーチャーが殺されたことに始まる話です。
マルタ島は、フェニキア,カルタゴの植民を経て,前218年ローマ領になった。以後ビザンティン帝国,アラブ,シチリアなどの支配を経て,1530年マルタ騎士団(ヨハネ騎士団)領が成立した。1798年ナポレオン軍に占領されたのち,1801年英国が占領し,英国海軍の重要基地が置かれた。(中 略)
そして、ヨハネ騎士団は領土を失った後も国家主権の主体であることを主張し,1994年にはオブザーバーとして国連総会に出席する資格を得た。(マイペデアによる)
まるで映画で黄金の鷹の彫像を奪い合う悪党連中さながらではありませんか。わが国公開は昭和26年、前年8月黒沢明の『羅生門』が公開されています。ころは朝鮮戦争戦時下でもにありました。




困ったオオム

2006-01-20 21:23:27 | 生き物
オオムやインコの仲間は、外の鳥に較べ、厚くて丸い舌を持っている。この舌は人間の舌とおなじように筋肉の塊でできていて、自由に動かすことが出来る。それで口の中で音の響きを自由に変えられるため人真似が上手にやれるんだそうです。子供のための科学誌「かがくる45号―45ページ」を読んだ後でしたので、次の記事はよけい滑稽に思えました。
CNN.co.jp1月18日の「こぼればなし」に、オオムの「物まね」で恋人の浮気判明、英男性の災難という記事がありました。クリス・テイラーさんは8年間も物まね上手なオオムの一種の「ヨーム」ジギーと暮らしておりました。ところが、あろうことか、ジギーはクリスさんの不在中に恋人スージーさんが密会重ねたコリンズという男の名を喋りました。クリスさんは当然恋人と別れ、断腸の思いでジギーを手放したのでした。ジギーがコリンズさんの声音で「愛してるわ、ゲーリー」と叫び続けるためだそうです。
以前新聞にこの種のこぼれ話が毎日のように載っていました。近ごろは世知辛いのか余り見かけません。いくらか余裕が有ってもいいでしょうに。

怖い話

2006-01-17 20:31:19 | 歴史
偶然『ギネス スパイブック』という本を読みました。著者は英国の軍事関係とつながりを持ち、ヨーロッパ、フォークランド、中東で実務についていたマーク・ロイドです。スパイそのものと、スパイ技術の「インサイダー・ストーリー」であると帯に書かれています。
紀元前の孫武のころからのサマセット・モームを含む著名なスパイの簡単な列伝と産業スパイに到るまでの智慧争いが丁寧に述べられています。
脇にそれますが、「孫子」はナポレオンが座右の書とし、武田信玄は「風林火山」を旗印にし、田中首相は、新年会に郎党をして、歌謡曲「武田節」を合唱させたと仄聞します。毛沢東国家主席もまた「孫子」を読まなかったはずはありません。
そのなかに、(戦には)情報が重要であること、間者(スパイ)を使うについて、次のような注意事項を君主に与えています。
間者には、全軍で最も信頼のおける人物をあて、最高の待遇を与え、活動は絶対に秘密にすべきである。
間者を使うには、すぐれた知恵と人格をそなえた人物が必要である。それに加うるにキメの細かな運用があって、はじめて情報活動の実があがるのである。キメ細かく、これが大切だ。どんな些細なことがらも、情報網からもらすことがあってはならない。
間者が集めた情報が外部にもれたとわかったら、情報をもらした間者、および情報の提供を受けた者、この両者を殺す必要がある(中国の思想 孫子・呉子118ページによります)。ちなみに孫武は春秋時代(紀元前772年~481年)の人です。


西鉄宮地岳線

2006-01-15 13:16:00 | 地域
冬らしくない好天気なので、先日西鉄宮地岳線に乗りました。この線は福岡市東区貝塚を起点として博多湾を北に沿って海岸線を走ります。あまりせっかちな路線では有りませんので、わたしの気性に合います。以前の沿線はいまほど住宅が建て込んでいませんでしたし、子供を連れて新宮の浜や雁ノ巣のグランドなど出かけるのに便宜でした。
 久し振りのため、香椎地区の代わり映えにはいささか驚きました。粗末だった駅も改装され、JR線に乗り換えもよくなっていました。それでも三苫からは幾分旧来に近い風景でした。
津屋崎・福間は合併して津福市となっています。津屋崎駅の手前宮司駅近くには、日本一の注連縄の宮地嶽神社があります。それにはかないませんが、津屋崎町古小路に波折神社(祭神住吉大神外)があります。社殿左傍に石造の亀に乗った猿(写真)がおります。どこへお出かけか、どこからのお戻りか、お賽銭を上げながらいつも思うのです。
 

丸 谷 才 一

2006-01-09 19:59:48 | 文芸
お正月は丸谷才一著のコラム集を読んで過ごしました。わたしはこの手のコラムが好きです。理由は、読んでもいない東西の深遠な学識や雑学を安直に仕入れることが出来るからです。もっとも仕入れたものがすぐに役立つことにはなりません。話を聞いて頷く相手にはそれなりのキャパシチィが要ります。エレベーターによく書いてある『容量』というやつだす。
わたしは大学校にいっておりませんので、お喋りの上手な先生の授業を拝聴したことがありません。それが残念ですが、経験者に伺ったところ、それは盲亀の浮木、優曇華の花だ、と聞きました。
かねがね気がかりなのは、敬称のことです。先生は発泡酒と麦酒とごっちゃにしているようですし、さりとてスッピンでは礼儀に反するようです。ご本を購入しておれば、お店と顧客の関係でいいでしょうが、図書館から拝借した係わりではどうでしょうか。
わたしは長編小説は中途で飽きが来るので、読みません。長いのは、平家物語くらいです。でも始めは清盛憎しでしたが、第百一句屋島あたりにくると、人は落ち目になりたくないなァ、今も昔も同じだなァと平家の本当の眼目はこのあたりではと思いました。
さて丸谷才一先生の『絵具屋の女房』、最後の「ちょっと政治的」はよございました。いくらかはわたしが政治的に偏食のせいでしょうか。

 

されど空の青きを知る

2006-01-06 21:25:22 | カエル
昨夜来の雪が屋根に積もって時折溶け落ちる音が日暮れまで聞こえていました。五十年ぶりの大雪の北国は大変だそうです。ここらでは、暮れの二十四,五日の凍りようがより寒かったです。いつもは枯れ葦の茂った洲で見かける黒猫とぶち猫もどこかの軒の下で日和待ちしていることでしょう。
小耳に挟むということは、聞くともなしに聞く、偶然に聞く(広辞苑)となっていますが、小耳とは一体なんでしょうか。むかし猫を飼ったことがありましたが、猫の外耳に小さな耳ようなものが付いていました。あれでしょうか。。
厳寒のころは、水道の水より井戸水がずいぶん暖かかだった、冬眠する蛙は地中の温さをそれで知ったのでしょうか。井戸の中の蛙が大海を知らないのは、自分がいる狭い場所にこだわっているからだそうです。されど空の青きを知るとやせ我慢を張るだって出来ます。
尋常小学校国語読本で牛と身体較べして、腹いっぱい空気を吸い込み、我が身を破裂さ
せた蛙の話を教わりました。

神詣で

2006-01-03 20:29:14 | 日常雑記
わたくしの家の前は天神さまの参道からかなり離れているのですが、大晦日の零時すぎからの足音が絶えませんでした。ところが、いつのころからか自動車でのお参りの数が増え、人通りが減りました。
国立博物館が開館したのと交通規制のためか、今年は車の往来も少なくなりました。全体としては決して減ってはいないようです。去年一昨年あたりは早朝よりヘリコプターの音が騒々しかったのですが、今年は静かになりました。あるいは寝込んでいたので聞こえなかったのでしょう。
わたしは近郷を歩いて廻るのですが、天神様と八幡様のないところは知りません。天神様の社領が昔は多かったことでしょう。しかし当今お神様の維持管理が大変なのか、手水の涸れているのも見かけます。
そう言えば、在郷在所には忠霊塔という忘れてならないものもありましたね。