其蜩庵井蛙坊

井戸の底より見たり聞いたり喋ったり

上善若水

2013-03-30 19:16:23 | 書籍
晩酌で上善如水というお酒を飲みました。いいお酒は偏りのない水のようなものを上善とするという意味合いで名付けられのでしょう。醸造元は新潟県湯沢町です。老子からよく引用される名言を酒の名となさったとは知りませんでした。
心の疲れがすっと消えるとの惹き文句で文庫本「老子」を買いました。そこで上善若水をお酒の名前と思い込んでいた愚を知りました。
宮下真著の「老子」は簡明で読みやすく編集されています。難しいことを分かりやすくのが文筆家の本領だと思います。論語の解説書は世間に遍く拡がり憚りません。しかしおおよそ教育勅語的な発想を出でません。乱世の処世にはならないようです(私見ですがね)。宮下本は
聖人は無為のことに拠り、不言の教えを行う。
有を以て利を為すは、無を以て用を為せばなり。
などにもおっとりとした解説をしています。
上善如水が少々割高なのは残念です。

浅蜊の砂

2013-03-29 11:27:29 | 日常雑記
むかしのように旨くないと酷評されるのは砂を噛むからでしょう。それは養殖のせいだとも言われています。潮干狩りは初春の景物で海近いところではバケツや小型の熊手様器具持参で浜に出かけます。福岡周辺では百道の浜や西公園下などでも気楽に愉しめたものでした。
採れた浅蜊は擂り鉢の塩水に入れ一晩置くと砂を吐きその廻りは貝が吹きあげた汐水で床が濡れていました。貝が新鮮なのは勿論元気溌剌だったからでしょう。
昨日は大潮でした。福津市津屋崎町の浜辺では春休みもあってそれこそ老若男女貝掘りに余念がありません。この浜辺は綺麗な砂浜ではありませんが遠目には満開の桜霞いいお日柄でした。そして帰れば見事な満月でした。
以前福岡あたりではお花見と同様に会社が社員一同を引き連れて柳川あたりに潮干狩りに出かける春の行事の一つともなっていたようです。

追っ駆けっこ

2013-03-27 14:04:44 | 日常雑記
BBC制作の「地球」というDVDがあります。地球温暖化への警告を含めた制作意図があります。大所高所にいるわけではありませんからどうしても生存競争の弱者の立場からの見方で終始します。天敵の必要性や食物連鎖からの観点からでは公平でない事も承知しています。しかしものの考え方は感情に左右されます。空腹の白熊の窮状より襲いかかられる羚羊の逃亡にスリルを感じます。
地球上には生きものがそれなりに日々を過ごしています。穏やかに見えてもそれはお互いに干渉なしでの環境があっての条件です。健康体と病原菌とが各々生存を賭けて苦闘している状況にあるかも知れません。毎日のように新薬が考案されねばならず、新知識の医療技術が開発されつつあらねばならない左証とも考えられます。
日本は勿論欧州でも十九世紀末までは農業所得での生活基盤は80%であったそうです。江戸末期に到り大名の財政困惑状況の原因は高利の支払いにあったとのことです。。この「追っ駆けっこ」は今後も続くことでしょう。

青春再び還らず

2013-03-23 13:36:52 | 日常雑記

中高生の卒業式が終わったようです。その頃のとりとめのない記憶です。私たちの校舎と中学校のそれは殆ど並列でした。中学の先生の朗読であれ叱責の怒声であれ私たちの教室に遠慮なく飛び込んできました。教科内容が違うので気にもなりませんでした。
受持ちは国語担当でしたが、幾分文学青年風の気質があり、織田作之助や太宰治の文壇的な逸話を授業合間に話されたことがありました。
普段はさほど気にはなりませんでしたが、中学生の音楽授業は騒音というか雑音にしか思えませんでした。幾度も反復して教えられているのですが僅かに聞き取り覚え得たのは「青春再び還らず」という歌詞だけでした。この歌詞部分だけを中学生が反復して唱うのです。
「青春再び還らず」に思い入れがあったのか担任の先生が心境を吐露されたことが妙に記憶に残っているのです。この季節のこの時期になると陰鬱な気分になる。勿論先へ進む卒業生お前たちとの別れでもあるが、同時に留まっている自分は果たしてこれでいいのだろうかという思いが深まる。
六〇年以上を経た記憶には自信がありません。しかし卒業を控えての不確かな前途への沈鬱な気分の私ではありました。

六一〇ハップ

2013-03-22 12:24:51 | 日常雑記
筑後市尾島の矢部川沿いに船小屋温泉があります。バスを降りてしばらく行くと小さなお社の若宮八幡宮があります。ここらあたりでは六一〇ハップの強い臭いがします。近くに「雀の地獄」という鉱泉が湧き出しています。その傍に蛇口の付いた鉱泉水くみ取り所があります。
図らずも六一〇ハップを思い出したのですが、ウィキペディアのおかげでその歴史や効能成分などを知ることが出来ました。入浴剤のみの薬効しか知りませんでしたが、温泉の効能に等しいなどありながら水素ガス発生させるなどの悪質な使用によって販売が出来なくなったのは惜し事です。鉱泉水を持ち帰る人もあることから今日でもその効用が信じられているようです。
橋を渡るとみやま市になるのですが中之島公園は河川工事のため使用出来ませんでした。桜土手の眺望よろしき処なので残念です。
新幹線駅があるのですが、温泉郷の賑わいは取り戻せてはいないようでした。以前には検番の古ぼけた表示(勿論その営業実態はありませんが)がありました。そもそも船小屋が全国的な知名度を得たのは明治三七年に陸軍の転地療養所に指定されたことによるそうです。
六一〇ハップの考案者武藤鉦八郎氏は旧日本軍の衛生兵であったそうです。湿疹に悩む者としては妙薬として信じたい六一〇ハップですね。

八女シビエ

2013-03-18 15:21:47 | 生き物
八女伝統工芸館でイノシシカレーを買って来ました。猪は何度か口にしてはいますがイノシシカレーは初めてです。
「ジビエとは、ヨーロッパで猪・鹿・鴨など狩猟による鳥獣肉を使った伝統料理で、ジビエシーズンには狩猟肉がマルシェ(市場)に並び、レストランでは高級食材として使用されています。古来日本でもジビエ料理は食文化のひとつであり、山の男たちは狩猟し冬の貴重な食料としてきました。日本の里山に伝えられたジビエをどうぞ」と表装箱に書いてありました。その説明でジビエとはなんであるかを知ることができました。
近辺でも猪の害を避けるため菜園に電線を張り電流の危険を注意書きで表示しているところがあります。野獣の害はおおよそ人間のせいであるようにも思えますが、近くには飼犬散歩の糞害もあり素人菜園も難儀なことです。自然に慣れ親しむには快適な生活圏外の分別がいるようです。農家育ちの若い世代で金肥以外の肥料をご存知の方がどれほどおいででしょうか。
ところで猪の肉は牛肉に較べ低カロリーで高タンパク質、飽和脂肪酸は牛肉の半分、DHA・EPAは牛肉の約一倍半という凄くヘルシーな食材であります。しかも鯨のように過分な補助金をふんだんに使う必要のない国内資源です。2,3年前に福岡県庁窓口にも猪・鹿などを食材として使いましょうとのパンフレットが置かれていしました。
日本の食文化の復興はまずは八女ジビエからということでしょうか。

土 筆

2013-03-15 11:35:05 | 日常雑記
一昨日バス停を降りると近くにすつくり二本の土筆が立ち上がっていました。八百屋の店先では土筆を見かけてはいたのですが、車の往来頻繁なところですから、春の先駆けを感じました。
春の野に慇懃講のはじまりて
まづつくづくし袴をぞきる
まだお花見には早すぎる日和ですが、その日の気温は二十度を超えていました。犬筑波集春部にある句に拙い注をつければ、「春の野原では礼儀正しい慇懃講の酒宴が始まっている。出席者らは礼儀正しく袴をつけている。そこで土筆もまた袴を着けている」といったところでしょうか。
私たちのお花見はおおよそ無礼講ですが、そろそろ季節も近づいて来ています。我が家の源平桃は頻りと目白や鶯を誘っているようです。

和音ハーモニカ

2013-03-13 12:24:33 | 日常雑記
市内にさまざまな教室があります。ウクレレ・フラダンス・絵手紙・カラオケ等々に加えて書道・絵画などの技能教授もあります。書道となるといくらか実利を兼ねています。冠婚葬祭には入場に際して一筆書かねばなりません。
以前履歴書は筆書きでした。現在の就活のように面接で意地悪い諮問は受けませんが、効果の有無を念じながら悪筆での履歴書書きには難儀しました。ついでに思い出したのですが、教育勅語も書かされました。「大東亜戦争開戦の詔勅(記憶が正しくないかもしれませんが)」は長いので一層難儀な試練でした。
そのころどんな発想からか学童に和音ハーモニカが渡されました。和音が三組だけの短いハーモニカです。へ・イ・ハ・ハ・イ・ へ・ハ・ハはドレミを使わないハニホヘトイロハでの音符の「鉄砲かついだ兵隊さん」です。和音の違いの聴き分けによって空襲の際敵機とわが友軍機の爆音を分別する耳の訓練だったようです。今でもハ長調とかイ短調とか使いますね。果たして効果有りや否や!!高学年になると手旗信号やモールス信号など覚えさせられました。これらは場合によっては平穏な現在でも充分使えるかもしれません。凝っては思案に能わずとか言いますね

重さは一万トン

2013-03-11 12:41:48 | 科学
先ごろロシアのウラル地方に落下したチェバルク隕石の重さはNASAの計算によると、一万トンでツングウースカに次ぐ大きさであり、このような現象は百年に一度ほどの頻度で発生するそうです。気にするかしないかは夫々人の気質の問題でしょう。
ところでそれほどの隕石は別にして地球に落下したというか衝突した隕石の数は多いようです。「隕石の見かた調べかたがわかる本 藤井旭著」にある日本の隕石の頁には落下地点図があり、現象は稀有なものではないようです。
場所近いところから挙げると、直方市須賀神社には世界最古の落下目撃隕石があり、福岡市東公園で拾われた石英質隕石はイギリス大英博物館に重さ僅か二十九.五グラムですが保管されています。岩国市の玖珂院隕鉄は国立科学博物館に買い上げられコンクリートの橋架設の資金となりました。ところによっては、マラリヤの妙薬とされたり、見世物小屋に出されたり、はやり歌になったりした隕石もありました。
しかし軽微な被害も処々にあり、屋根瓦やトタン屋根を突き抜け落下したり、隕石雨などが路上に降り注いだ例もあります。人体に直接落下した不幸な事例がこの本にはないのが不思議な気さえします。

語呂合わせ

2013-03-08 10:21:40 | 日常雑記
 一五四九年にフランシスコ・ザビエルが布教を始めてからかれこれ五〇〇年近くなります。日本には基督教の信者さんもかなりおいでのようです。しかし仏教徒の数には及ばないでしょう。私もどうやらその一人です。バチカン放送を聞いたことはありますが、それ以上の関心はありません。
 法王選日程めぐり紛糾という記事に目が入ったのは性的虐待問題が拍車という見いだしによってです。ローマ法王を決めるのは枢機卿会議だそうです。その会議を「コンクラーベ」と言うのだそうです。
「一票の格差」が「違憲状態」にあるとした判決が札幌高裁でありました。「違憲状態にある」議会で法律を審議するのは何だか腑に落ちないようです。こちらも選挙民の「コンクラーベ」ということでしょうか。