其蜩庵井蛙坊

井戸の底より見たり聞いたり喋ったり

清水山観世音寺

2008-12-17 21:02:56 | 日常雑記
観世音寺の正面に額が掲げてあり、「観世音寺」書かれています。これを書かれたのは、三筆の一人といわれた空海―ご存知弘法大師です。
しかし真偽については不明であります。世間には弘法伝説が流布しております。筑後川河口近く大川市には、エツについての伝承もありますし、すぐこの近くには、阿倍晴明の井戸というのもありますから。それら同様の一つかもしれません。
世間には理外の理というものが有ります。昔であろうと、今であろうと信じる信じないの境目は、いたって分明定かではなく、「世間一統旨の判りたる者はなし」と喝破なされたお方もおいでです。現に百年に一度の不測事態だと嘯いて責任逃れをなさるお歴々もおいでですから。経済観測所が世界各地に数多くありながら、この事態を予測できなかったなど、近郷の易者さんにすら劣るのではありませんか。
わたしのお願の筋として、ただ天下泰平無事息災のみです。


狛犬さん 阿 狛犬さん 吽

2008-12-14 12:25:59 | 日常雑記
昨日「太宰府の歴史的建物」について講話を拝聴しました。
門前町の木造三階建(古くは四階建)の建築構造などを含めたお話でした。そのなかで、秋月藩のお抱え絵師斉藤秋圃の末孫がお住みでした家屋が見事に復元されたことも知りました。
ところで、あまり話題にもならないことですが、写真は太宰府天満宮の拝殿左右の狛犬です。造りは珍しくはありませんが、目玉は硝子製のようです。『狛犬のかがみ 文・写真 たくきよみつ』という広範な狛犬写真集にも見当たりません。ここのお宮には、もう一対大門に入ってすぐにある狛犬の目も硝子のようです。
わたしは近在のお宮の狛犬写真を集めています。左右の置き方に疑問があるのを見たことがあります。雨風に曝されると石造とはいえ激しく痛むものですね。

天府のせはしなく

2008-12-05 10:55:55 | 江戸随筆より
早いものだと、歳末になると一年の過ぎ去るのを、嘆息交じりに振り返ります。しかし、この一年息災なかったことを、まずは感謝すべきでしょう。いくらかお寺から戴いた暦のお諭しを、なぞったような感想ですが。
身内に九十三歳の長寿の小母(母の従姉妹ですが)から、先日葉書を戴きました。わたくしなどが及ばぬ明朗な筋の知能を、お持ちだと感心しております。文中引用の和歌です。おそらく自作とは思えませんが、気持ちはよくわかります。
ねじまけばいのちを刻む音がする
父の形見の懐中時計
司馬江漢の春波楼筆記に、次の挿話があります。
ある時、阿部侯へ参りたる時、次の間に近臣の居けるが、予根付時計持ち行きけるに、天府のせはしなく、カチカチと廻りければ、是は命の縮む様なる物と云ふ。即縮むなり、日々死に近よると云ふ事を知らず。
天府とは時計の回転速度を滑らかにし、遅速を調節する装置で,カチカチと音がします。