「釣師気質」については、石井研堂には「明治事物起源」の著述があり、序文は五重塔の露伴、経国美談の矢田龍渓と僅に知るのみです。上巻の釣遊文章の語りは巧みで飽かせませんが、釣の技法については全く口を挟む余地もありません。
「九州の釣第一号―第6号」についても釣の技法などはこれまた理解の及ぶところでありません。しかし事は近辺の釣り場が話題ですし、戦後は混沌期の昭和二十三年五月五日創刊であるため、福岡労働基準局の「労働基準法を御存知ですか!」や福岡地方経済安定局・石炭局の「石炭3600万トンを完遂しましょう」などの広告の掲載など興味は魚釣に限定されません。趣味の雑誌としてはなかなか貴重な本だと思います。勿論九州各地の釣り場の紹介記事あります。釣り場案内の詳細図や国鉄・西鉄の時間表の記載があり親切だし、滄海桑田の変わりようを教えられもします。
写真は創刊号裏表紙の広告です。