其蜩庵井蛙坊

井戸の底より見たり聞いたり喋ったり

ウニとラッコ

2008-05-31 21:35:18 | 生き物
ウニは全く貴重品になりました。玄海の海岸あたりでは、ガゼ採りといって春先の磯遊びでした。
ラッコはアワビが好物であり、腹の上に載せた石で割って食べます。テレビなどでよく見かける愛らしい仕草です。ラッコは高級な毛皮のための大乱獲、それを避けて、海藻をベッドにしたのだそうです。カルフォルニヤには二万頭いたラッコが一時は絶滅状態に瀕しました。
カルフォルニヤ沿岸には、巨大海藻が生育し、魚類や、カニ・ウニ・アワビなど貝類が豊富な海です。ラッコはウニを好みます。現在その海の恵みを、日本人と同じ哺乳動物のラッコとが分け合っています。カルフォルニヤには十四~十六のウニ加工会社があって、四百五十トン以上のウニが日本向けに輸出されています(海に潜る永田雅一著1998年出版)。
ウニの採取には規制と極めて厳しい罰則があります。ラッコの保護活動もまた盛んだそうです。


頭に血が上るのは

2008-05-29 12:35:27 | 日常雑記
昭和五三年十一月十五日付西日本新聞の記事ですから、その後同種の研究がなされているかもしれません。京都大学体育指導センターの万井正人教授は、競馬や囲碁による実験で、頭に血が上るのは、意外にも勝ったときだと推測されました。先生の理由は次の通りです。
「その人の性格にかかわらず喜怒哀楽の四つの感情のうち、喜び、期待、怒り、怖さなど喜・怒では血圧が上がる反面、悲しみ、失望、安心・平静など哀楽の際は安定している血圧と情緒には深い関連があるが思考とは全く関係ない。負けているときは対策を考えるなど思考型になっているが、勝っていると思考が中断され情緒的となっているからではないか」
わたしは、掛け値なしのヘボ碁従って、思考型ではなく、情緒型ですから、負けても勝っても頭に血が上っております。平静さは情緒ではなく、感情を抑える思考の働きによるのでしょうから、いつも血圧は上がっているのだ、と自己判断をしております。しかし負けたときに、平静さを装うことは、なお血圧を上げ、良くないなァとも思いました。


ホトトギス

2008-05-28 18:16:06 | 生き物
一昨日の夕刻、大宰府政庁跡で、今年初めてホトトギスの声を聞きました。古代の中国、国を奪われた蜀王が、「帰りたい、帰りたい」と愁嘆し、遂にはホトトギスとなってしまったそうです。
聞き做しには色々あって、「トウキョウトッキョキョカキョク」とか「テッペンハゲタカ」などあります。
真偽の程は判りませんが、以前に耳の傍で開いたお話です。ホトトギスを捕らえる仕掛けの餌は、オケラだそうです。掴まえたホトトギスの毛を毟り、裸身を空鍋で煎りますと、盃一杯の膏油が取れます。これが眼病の妙薬なのです。
抗生物質がないころは、児童のハヤリ眼が眼科の先生を忙しくしました。感染しやすく、朝眼を開けようとしても瞼がこびりついて開きません。夜は夜で電燈のまわりに薄い橙色のカサが見えます。眼をホウサン水で洗浄して、やっと夜が明け、ものが見える始末でした。そんな苦い経験がありました。その眼病の絶妙なお薬がこの膏油だったそうです。
蕪村に、ほととぎす 平安城を 筋違に という梅雨前の明るい空を思わせる句があります。
けれども、夜半に聞くホトトギスの鳴き声は、少々不気味ですね。

烏に反哺の孝あり

2008-05-24 13:09:10 | 生き物
先月四月二十二日午前十時ごろでした。突然烏の群れの鳴き声が騒々しくなりました。窓を開けてみますと、百羽以上の集団が近辺の電線と言わず、屋根の上と言わず、TVアンテナと言わず屯しております。近くの空き地に時々生ゴミの不埒な放置がありますので、念のため見ましたが、その形跡はありません。
花田清輝に「烏に反哺の孝あり」という随筆があります。
その冒頭部分に、花田少年が、中国の童話から得た知識で、雷は、不孝者を見つけ、有無を言わさずその頭上に、落ちるのだと知り、いたたまれないような不安を覚えていたそうです。雷が怖いのはだれしものことで、不孝者に限ったことではありません。
そのなかで「鳩に三枝の礼あり。烏に反哺の孝あり。」は、鳥類学的にみれば、誤謬以外のなにものでもないと断定しています。鳩については知りませんが、烏については、目撃者の新聞への投書を読んだことがあります。切り抜きを持っていましたが、整理がよくないので、所在不明です。反哺の孝とは、烏は雛のときに養われた恩を返すために、親鳥に餌を与える、ということです。
夕暮れ近くになって、夥しい烏の群は、どこかへ散開しました。とても烏合の衆とは思えません。利口な烏ですから、不孝者の戒めになる習性がないとは、云えなさそうです。

人 柱

2008-05-20 17:59:33 | 歴史
先週唐津市満島の安養寺前を通りかかり、縁起を読んでみました。浄土宗知恩院派で、天正十二年、宝誉上人開基とあります。唐津城築城に際し、城の東側の外堀として、松浦川の大改修を行いましたが、幾度も工事が失敗しました。初代藩主寺沢志摩守は人柱を立てようと、宝誉上人に相談します。上人は人命の尊さを説き、千本の卒塔婆を以ってこれに代えました。
朝倉市橘田の童子丸水神社の縁起にも、洪水予防のための堤防に、十七歳の少女が人柱となるところを、白衣の童子が現れ、少女を救ったとあります。
仁徳天皇のころ、武蔵の人である強頸(コワクビ)と河内の人である茨田連衫子(マムタノムラジコロモノコ)が、人柱にたてられることになりました。強頸は、泣き悲しんで、水に没して死にます。茨田連衫子は、水神に対して才知で立ち向かい、災厄を免れます。日本書紀にある最古の人柱のお話だそうです。
源平盛衰記には、入道非直人「白馬に白鞍を置き、童を一人乗せて人柱をぞ入れられけるとあり、平家物語経の島工事には、一切経を書いた石を人柱に代えたとなっています。
南方熊楠の「人柱の話」に詳しく、海外の例をも加えられ、「こんなことが外国へ聞こえて大きな国辱という人もあらんかなれど、そんな国辱はどこの国にもある」、と書いています。






2008-05-17 20:59:25 | 生き物
昭和十年代のことです。北九州市門司区大里の麦酒会社裏海岸で、遊泳中の人がサメに襲われ、死亡した事件がありました。父がその麦酒会社に勤務していましたので、いまに覚えているのです。
しかしサメは必ずしも、すべてが人を襲うことでは無いようです。サメに襲われる事故は、ごく限られた状況と、ごく限られた種により発生するとのことです。
むかし対馬海峡を泳いで渡る企てがありました。その折りの防鮫方策は、遊泳者の赤褌垂れ流し作戦でした。サメは自分より大きなものには、襲わないという言い伝えが根拠です。大丈夫だったのでしょうか。
サメの軟骨成分がパウダー状飲み薬となり、ガン発生を防止する健康食品として利用され、効用もあるとされています。サメがあらゆる動物の中で、最も発ガン率が低いことからです。
サメの餌を探す能力は、すばらしく、音・振動・臭い・などによる情報探知の超能力魚です。それはそれとして、狂乱索餌はすざましく、漁獲されたイタチザメの胃袋から、空き缶・ワインボトル・牛の頭・貝殻・テニスシューズ・宝石箱・毛皮のコートなどが未消化のまま残っておりました(海に潜る 永田雅一著による)。
狂乱索餌とは、取りも直さず「食い意地の張った」ことでしょうから、人間も心せねばならない教訓のようです。

ヨワン・シドリッチ

2008-05-11 19:47:39 | 歴史
太宰治の「地球図」に触発されて、新井白石の「西洋紀聞」を読むことにしました。白石が自ら書写した「長崎注進羅馬人事」の下巻を読みますと、イタリヤ人シドッチ(口上書ではヨワン・バッテスタ・シロウテ)が宝永五年八月二十九日、大隅国屋久島上陸以来の艱難辛苦は、全く同情に値します。しかも六年後には牢死します。情報豊富な羅馬切支丹宗門惣司(彼の役目柄はどんなものでしたでしょうか)が、すでに周知事実である切支丹御禁制下の日本へと、四十を越えたシドリッチに、布教を命じたことは、理不尽だと思えました。耶蘇教信徒でないせいかも知れませんが。
彼はフランス船でルソンに着き、衣装・金子・刀などの品々を取りそろえ、月代まで剃り、日本人風体を工夫して、屋久島に上陸したのです。白石は、彼の所持品目録を絵入りで記録しています。ルソンで別れ、北京へ向かったもうひとりの出家の中国での行く末はどうなったのでしょうか。
鎖国の初め、寛永二年五月、筑前地島で捕らえられた、マカオより潜入のイタリヤ人キアラも、月代を剃り、日本風の衣服でしたが、鼻の高さが常にあらずと、見破られました。シドッチ神父は、白石の尋問に明晰な応対をし、周到な用意も怠りなかったのですが、月代の発想はどうかなと思いました。
シドッチ神父は、切支丹牢の中で、殉死したのですが、彼の屍は、屋敷の庭の片隅に埋められ、榎木が植えられました。太宰治は地球図に、そう書いています。


動物の知力

2008-05-08 20:17:07 | 科学
聴き耳頭巾という民話があります。正直なお爺さんが、氏神様に授けて戴いた赤い頭巾を被ると、鳥や獣の話す言葉が聞き取れ、そのため次々に幸せを得る民話です。
ナショナル・ジオグラフィツク(08.3月号)に「動物の知力」と題する記事がありました。
最初に、人間の言葉を話す、仲間をだます、道具を考え出す―。動物たちは、私たちの想像を超えた知力をもっている。科学者が動物と二人三脚で続けてきた数々の研究で、その実力が少しずつ明らかになってきた、として、智慧のあるカラス・フクロウ・犬・猿・イルカなどの事例が挙げられています。
そうかなと、思わせる話題をテレビでよく見かけることがあります。たしかに聴き耳頭巾の効があれば、ペットは今以上に人気を呼ぶでしょうし、家畜が「お腹が痛いよ」「ちょっと熱があるらしいわ」など訴えてくれれば、飼育も獸医学も容易になると思われます。
認知能力とは、本能だけでは判断できないものを判断する能力だそうです。動物は現在という時間に縛られていて、人間のように、過去、現在、未来を区別できないんだそうです。英語の時間を思い出しますね。日本語はその点楽ですね。確かに時間の経過の認識は、知的柔軟性がなければ、出来ないもののようにもあります。
私の結論。
動物学や認知心理学の知識のない素人判断は、そこで行き止まりです。しかし、理窟は別として、赤い聴き耳頭巾は、欲しいものです。


カメが犯人か

2008-05-06 13:41:12 | 生き物
佐賀城公園のハスが全滅し、カメによる食害説が浮上しているそうです(佐賀新聞2008.05.02)。
在来種のカメでなく、北米原産「ミシシッピアカミミガメ」、幼名「ミドリガメ」ではなかろうか、と佐賀県土木事務所が先月30日夜、水生生物の捕獲作戦を南堀で始めました。
実際に食べるかどうか、佐賀大学や動植物の専門家と連携して調べるそうです。もしも冤罪であれば、アメリカはミシシッピーの故郷から遙々と連れてこられ、最高裁判所に上告する手だてもなく哀れです。
アカミミガメ・アメリカザルガニ・ジャンボタニシなどが、在来種によくない影響を与えていることは、かなり前から聞いてはいました。しかし大和魂がないのかと、クサガメ・イシガメに叱咤激励しても始まりません。
青森県の弘前公園では、ザリガニが原因で、ハスが全滅した事例があり、佐賀城公園南堀でも、カメの他ザリガニ・ソウギョ・ブーギルなども調査する予定です。また在来ハス再生へ向けた種レンコンの植え付けが検討されています。
写真は久留米河川事務所の水槽のアカミミガメです。

青葉若葉

2008-05-03 15:48:39 | 日常雑記
当市の街路樹は楠が多いのです。庭木は、植木屋さんのお手を煩わすほどのものは有りませんが、この時期あっという間に緑一色になりました。庭隅に50センチばかりの楠が生えております。鳥の糞です。
熊谷弥一画伯は、庭に余分な手を加えなかったそうです。そこで、庭中鳥が運んでくれた種子で、様々な植物が生え放題でした。そんな庭で奥様と囲碁をないました。何時果てるとも、勝敗いずれか不明の、と言った案配。羨ましい限りですね。
楠の若葉をちぎって揉んでみました。メンソレータムそっくりな香りです。ユーカリ油の香りでしょう。
幼児の頃、テーブルの角で眉間に怪我をしました。今も傷跡が残っております。凹の部分にメンソレータムを塗り込んだけの治療です。昔とはいえ、ちょっと乱暴な処置だったと思いますねえ。