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図415 2012年11月14日 アイデンティティ
エリクソンが1925年に描いた版画がおもしろいので、アレンジしてイラストにした図柄です。エリクソンは、幼児期をすぎたころ、母と自分だけの世界が確かにあったと記憶しています。この絵は義父と母のハネムーンで船に乗った記憶です。エリクソンは自分の父がだれなのか母に、なんども尋ねますが、母の再婚相手をほんとうの父と言うので、納得できません。母は若くして亡くなり、かれは自分のアイデンティティ探しに、にこだわります。けんめいに捜したものの実の父は見つからず、パリでは、自分の画才で生計は無理とあきらめます。多才なエリクソンですが、さしたる経歴もなく、アメリカに渡ります。人脈に恵まれて、大学講師となり、のちにハーバード大で心理学の教授になります。アイデンティティ、モラトリアム、ライフサイクルなどの現代の人間心理を的確に捉えて、数々のキー概念を生み出した人だと、講演者、翻訳者、やまだようこは言います。
記憶にのこったのは不思議な版画でした。1905年、コペンハーゲン行きの船上で、ハネムーンを楽しむ親を背にして、エリクソンが何か考えているようにみえます。
エリクソンの母は美しい人でした。彼は長身でハンサム、そして彼の話は魅力的で的確で、言葉を宝石に仕上げる表現者でした。人脈は広がり、やがてジョアンと結婚します。たくましい2人の息子と美しい一人娘に恵まれます。しかし秘密があります。わけあって、生まれたときから施設に入れた子供が一人います。エリクソンは、その子と生涯会いませんでした。父となったエリクソン自身もまた、我が子のアイデンティティを否定します。ここから、エリクソンの著名な業績について、やまだようこ教授の講演が本題に入ります。本屋でエリクソンを立ち読みするか、「野いちご」という映画を見た方が良さそうです。きょうも難しい話だね、聞くだけならと、聴講しました。