多摩、ときどき山

多摩の暮らしと山のブログ

【ガイド】南ア/甲斐駒ヶ岳

2016-08-20 19:19:00 | ガイドのこと
18~19日、南アルプス/甲斐駒ヶ岳(かいこまがたけ・2967m)のガイドを行いました。

岳と森の「南アの雄、花崗岩の岩峰へ」。Tk、Tg、Uさんが参加。







今回は、残念ながら登頂することができませんでした。往路の標高約2700m付近、山頂まで一時間ほどの場所で、お一人が転倒してケガをされため。顔面を強打したことによる鼻からの出血、頭部と両膝の打撲。止血と冷却の応急処置をして、念のため、ショートロープで確保して下山。ご本人は「行ける」とのことでしたが、頭部と両膝を打っていること、(前日の雨で濡れた)岩場や急坂が続く下山のことも考えて、断念しました。

過去にも、クライアント(顧客)の体調不良や天候悪化で撤退したことはありますが、いつものことながらその判断は難しいものです。参加された方がお一人であればさほど問題はないのですが、こんな時にガイドの判断を鈍らせるのが、複数のクライアントの存在。元気な人が「頂上に行きたい」気持ちはよくわかります。しかし、特にケガされた方を独り残すわけにはいきません。今回も、親切なお一人が「私が一緒に残りますよ」と促してくれたのですが、私の判断は「全員で下山」でした。

理由は、パーティーを二つに分けることへのリスク、未知の山中にクライアントだけを残すリスク、特定の人のみ登頂する不公平を避けるため…など。

最後に、私の想いもお伝えさせてもらいました。
-長く山に登っていると、天候や体調、仲間のケガなど様々な事情で登頂できないこともある
-アクシデントの際に無理をすると、取り返しのつかない(最悪の)結果を招いてしまうことがある
-できるだけ冷静かつ適切な判断を下して、“次につなげる”山登りを楽しんでほしい
-ケガしたり体調の悪い仲間を置いて自分たちだけ登頂する、先行する、という人にはならないでほしい。パーティを組む、仲間と行くということは、そういうこと

私自身も改めて肝に銘じます。


ご協力をいただき、本当にありがとうございました!(最後までガス晴れぬ駒津峰にて)

この経験と悔しさを、お一人おひとり次の山行に活かしたいですね。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 三ツ峠、夏の花 | トップ | 魅力の小屋と縦走路、中ア南部へ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿