ピレネーの山の犬 Zion♪シオン

シオンとともに歩く道、ともに見る風景、暮らしと庭の花たち。

旅立った命へ

2013-04-24 | エピソード
英国を旅すると、公園やちょっとしたビュースポットで
さりげなく置かれた素敵なベンチをよく見かける。
見晴らしや景色のよいところ、湖や水辺のほとり、道端、
古いもの、新しいもの、様々に・・・

それらには、生年から没年、名前などがプレートに刻まれている。



故人を偲んで、家族や親しい人が寄付をするという。
腰を下ろすと、よい眺めに気づいて、じ~んとしたり、
あまり深く考えると、ちょっとコワくなったりもするベンチである。

1990.3.12 ~ 2003.9.2

これは、先代ピレのミルキーの生涯。
自ら逝く時を選んだ・・・そう思えた
潔い生きざまを思い出す。

元気に過ごしていた13才の夏も
終わりに近づく頃、猛烈な残暑が押し寄せた。
残暑は、予想外にミルキーの体力を奪い、後肢への神経にダメージを与えたのか。
立てなくなってしまった。

往診では、馬尾神経の活性化を促すような手当てが施された。
筋肉も落ちずよく歩いていたのに、神経とは・・・

ミルキーは、歳を重ねることを感じさせない犬だった。
誇り高いままでいたかったのか・・・

まだ眩しい光が、夕方の蒸し暑い風の中で、穏やかに揺れた。

「今日は何だか元気がないね・・・ミルキー・・・」

話しかけながら、撫でる母のそばで、静かに、静かに・・・息は消えていった。

介護は、ほんの数日しかさせてくれなかった。
足が弱っただけなのに。
その日の昼まで食事もしたのに。
誰もそんなことになるとは、思ってもみなかった。

白い被毛を神々しいほどに光らせて、自ら選んで去って行った。
そんな気がした。

たくさんの花を咲かせていた庭のハーブに包まれて・・・



そして、先日のこと・・・またひとつの命が、天国へと旅立った。
ふかふかした艶やかな被毛は温かで、眠っているかのようだった。
君もまた、いつものルナぽんのままで逝きたかったに違いない。

様々な生きざまを見せて、旅立って行く命・・・
精一杯、生きた命は、みんな尊い。

その尊さを知るたびに思う。
生きているものは、ただ、精一杯、生きるだけ。

何気ない日を愛おしもう・・・
闘いの日は闘おう・・・
毎日、笑い合おう・・・

愛犬とともに。


今日も会いに来てくれて、ありがとう!




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